2025年女性トレンド最前線!ペルソナ別インサイトで見る消費動向
本稿は、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィ(東京・港)による寄稿記事です。女性視点マーケティングで30年以上にわたり企業の商品開発やマーケティングを支援する同社の豊富な知見と女性調査をもとに、2025年の女性市場の意識トレンドと消費トレンドをクラスター別に解説します。
目次
2025年女性トレンドの分析に向け調査を実施
現在までの1年間で起こった買い物の変化と、新年である2025年への展望について調査を行い傾向を分析したところ、2025年に向けて女性たちは「穏やかさ」「幸せ」「和」を求め、日常の小さな幸せや、家族とのつながりを大切にしたいと考えていることがわかった。これからの企業に求められるものの一つは、「身近な幸せ」を提供する商品・サービスの提案だ(10代~70代の女性647人にインターネット調査を2024年11月に実施)。
2025年は「穏・幸・和」を願う年
女性たちが2025年の社会や身の回りに願うこと
「2025年はどのような年になってほしいですか?象徴する漢字を一文字でお答えください」というアンケートをとったところ、1位「穏」、2位「幸」、3位「和」という結果に。2024年は元旦に発生した能登半島地震で始まり、その後も異常な暑さや、大雨による被害などが各地で発生した。これらを背景に、2025年には穏やかな日々を願う姿が際立った。
来年に期待する漢字で見る、3年間の心の変遷
過去3年間に実施した同様のアンケート結果(来年はどのような年になってほしいですか?)を振り返ると、「希望」「平和」「穏やか」という言葉が多く見られる。2023年のコロナ禍からの回復期には、「新」「光」「挑」などのポジティブな変化や新しい挑戦を象徴する言葉が多く含まれていた。コロナ禍からの回復が徐々に進む中で、希望や未来への期待を感じる結果で、希望と光と挑戦の年だったといえるだろう。続く2024年は、2022年終わりから続くロシアのウクライナへの侵略といった、世界情勢が反映された結果に。特に「和」「平」「安」といった平和や安心・安全に関する言葉が意識された。平和を望み回復を目指す年だった。そして2025年は、「穏」「幸」「和」という結果から、穏やかな日々の継続を望む年に。
2025年に女性たちが買い物で重視するポイント
安いだけではない!コスパの高さが判断基準
2025年は、女性たちは何を重視して買い物をするのか?買い物に求めるものをアンケートしたところ、女性全体で1位は「楽しい気持ちになれる」、2位「節約できる・安い」、3位「安心・安全で間違いのない品質を得られるもの」という結果に。このことは、女性たちが感情的満足感(楽しさ)と経済的メリット(安さ)の両方を求めていることを示している。特に現在の経済環境下では、「価格以上の価値」=「コストパフォーマンスの高さ」を感じられるものが重視される傾向が強いといえる。
クラスター別、特色が出た項目
続いて、クラスター別の傾向を見ていこう。ハー・ストーリィでは、女性たちをライフコース(職業・家族構成を加味した人生コース)とライフステージ(年齢・年代という人生の立ち位置)の交点から10のクラスターに分類しており、毎月実施しているトレンド調査では、その10のクラスター別に分析を行っている。まずは、以下図で10クラスターの確認をしてほしい。
上記のクラスター別に「買い物に求めるもの」を分析したところ、全体の結果と比べ以下の6クラスターについては、特徴的な傾向が見られた。
- 若手シングル層 (単身者/25~39歳)
企業のポリシーやメッセージ性を感じられる商品・サービスに関心が高い - 中堅シングル層 (単身者/40~49歳)
楽しい気持ちになれることを何よりも重視している - ミドル夫婦層(既婚/40~64歳の夫婦二人の家庭)
SDGsや環境問題の改善につながる商品・サービスを評価 - ベテランシングル層 (単身者/50~64歳)
節約志向が最も強く、「節約できる」「安い」がキーワード! - 乳・幼児期ママ層(既婚/第一子:0~6歳)
安くて節約できることと、他社との違いを実感できる商品・サービスであることが購入基準 - セカンドライフ層 (65歳以上)
健康につながることが最重要。自分の視野や知識を拡げてくれる商品・サービスも好む
2025年の重要テーマは、自宅時間・趣味・推し活・防災意識
続いて「住まい(日用品・家電・災害用品・通信など)」「美容・ファッション」「趣味・余暇」「食」「健康」「お金」について、現在までの1年間でかける費用にどのような変化があったのかについてアンケートをとった。その中でも、2025年に引き継がれる特徴的な4カテゴリーが以下。
- 自宅で過ごす(ゲーム、YouTubeを含む)
回答者全体の約4割が自宅で過ごす時間にかける費用が「増えた」と回答。「自宅時間の充実」というキーワードは今後も継続の見通し - 手作りのもの(料理・お菓子作り・ハンドメイドなど)
手作りに関する費用は、「変わらない」と「増えた」を合わせると回答者全体の6割に上っており、手作り活動が人気を集めていることがわかる - 推し活
若年(15歳~39歳)のシングル層で、推し活消費の増加傾向が顕著だ。また、若手シングル層(単身者/25~39歳)では、出費が「変わらない」も約3割おり、推し活に関する消費が安定している様子がうかがえる - 備品・災害用品
回答者全体の約4割が、防災関連の費用が「増えた」と回答。クラスター別では乳幼児から中学生の子どもをもつママの防災意識が高い
2025年のクラスター別の女性の消費傾向
「食」「ファッション」「住まい・暮らし」「ファミリー・キッズ」「美容」「健康・運動」「マネー・仕事」「学び・余暇」というカテゴリーにおける、2024年に増えた消費・減った消費をアンケートし、クラスター別の傾向をまとめ、2025年の消費にも影響を与えると予想されるキーワードを整理した。
- プレ社会人層(単身者/15~24歳):“今だけの体験”に情熱を注ぐ!
ファッション、美容、ライブ・コンサート、推し活、旅行など、「今しかできない楽しみ」を優先する消費が増 - 若手シングル層(単身者/25~39歳):自分磨きと趣味を両立
美容院や推し活、運動、文化的なアクティビティ(美術館・映画館)に積極的。「一人時間」を充実させるための支出が目立つ - 中堅シングル層(単身者/40代):静かな時間を愛する
読書や漫画、旅行、自宅での時間を楽しむ傾向が強まり、推し活も人気。内食や中食にシフトする姿勢が見られ、洋服などの消費は控えめに - ヤング夫婦層(既婚/39歳以下の夫婦二人の家庭):夫婦の時間と手作りの楽しさを大切に
買い物や旅行、内食・中食を中心に、「家庭で楽しむ」消費が伸びている。外食や飲み会、アルコール関連の支出が減り、DIYや手作りに目を向ける動きが増加 - 乳・幼児期ママ層(既婚/第一子:0~6歳):子どもと一緒に楽しむ、家族優先消費
遊園地やテーマパーク、中食、内食といった「家族で過ごす時間」に関連する支出が増加。逆に、ファッションや美容など「自分磨き」に割ける時間は減少 - 児童・思春期ママ(既婚/第一子:7~15歳):忙しくてもきれいでいたい
子どもの学校行事や習い事の送迎、家族での外出が増えるこの時期、メイク・化粧品の消費が増加。遊園地や映画館、買い物、推し活といった家族や自分のための活動も活発 - セカンドライフ層(65歳以上):健康に気をつけながらアクティブに楽しむ
園芸やガーデニング、運動・フィットネス、旅行など、アクティブな趣味への投資が目立つ。健康グッズやスポーツ用品など、「生涯現役」を目指す姿勢が顕著
2025年の女性インサイトとビジネスへの示唆
ここまでの調査結果から、2025年は猛暑や災害、物価高騰といった社会的不安を背景に「穏やかに過ごす活動」や「身近な幸せを感じられる活動」「災害に備える」を意識した消費が引き続き市場を牽引すると予測される。企業は、「身近な幸せ」を提供しつつ、長期的な信頼を築くことが、これからの市場競争を勝ち抜く鍵となるだろう。
消費者インサイトの予測
- 「心地よい日常」の追求
女性たちは自分や家族が穏やかに過ごすための商品やサービスに価値を見出している。特に「小さな贅沢感」や「身近な幸福感」を提供することが、引き続き重要となる - 「未来への備え」の高まり
災害や環境問題への関心が消費行動に大きな影響を及ぼし、防災関連グッズやサステナブル商品などの需要が拡大する見込み。特に災害時だけでなく、普段にも取り入れられるような実用性とデザイン性を兼ね備えた商品(フェーズフリー商品)が消費者に受け入れられると考えられる
ビジネス施策の提案
- 「身近な幸せ」を提供する商品・サービスの提案
<例>自宅でのリラックス時間を豊かにするアロマやスナック、日常を彩る雑貨など - 「未来への備え」を意識したマーケティング戦略
<例>単なる機能性だけでなく、デザイン性やストーリー性を加えることで差別化を図るなど - ライフステージ別のマーケティングの徹底
<例>若手シングル層(単身者/25~39歳)では体験や楽しさ、企業のメッセージ性をSNS広告で訴求など
【提供】 株式会社ハー・ストーリィ
女性インサイトマーケティング業歴・実績共にNO.1の専門会社、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィです。日本の女性5,515万人を対象にオリジナル開発した10クラスター・29ペルソナで女性インサイトを定点的に追い続けています。最新の統計データと独自の定量調査、定性調査、トレンド分析、SNS分析に基づき、生活者の潜在ニーズ(インサイト)を的確に捉え、企業のビジネス機会に繋げることで、社会課題解決と企業発展の両立を目指しています。
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