フランスでは米国よりも腎臓ドナー不足の解消に積極的

臓器移植に利用する腎臓の提供は世界的にも不足しているが、フランスでは米国よりもこの問題に対して積極的に対処しているようだ。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院のPeter Reese氏らが実施した新たな研究から、米国に比べてフランスのドナーは平均年齢が大幅に高く、比較的リスクが高い腎臓を移植に用いることで臓器不足の解消に取り組んでいることが分かった。研究の詳細は米国腎臓学会・腎臓週間(ASN 2018、10月23~28日、サンディエゴ)で報告された。

非営利の民間組織である全米臓器分配ネットワーク(United Network for Organ Sharing;UNOS)によると、米国では現時点で9万5,000人を超える患者が待機リストに載っている。一方で、提供された腎臓のうち年間約2,000個が廃棄されているという。UNOSのDavid Klassen氏は「その中には実際は移植に適しているものや、移植されるべき腎臓も含まれていると考えられる」と述べている。

Reese氏はフランスの研究チームと共同で、フランスと米国で提供されている腎臓の健康状態と移植後の転帰を比較した。その結果、2004~2014年に米国では約15万6,000個、フランスでは約3万個の腎臓が移植のために提供されていた。

分析の結果、フランスでは米国に比べて質の低いドナー腎臓を受け入れていることが分かった。腎臓の評価基準であるKDPI(Kidney Donor Profile Index)をみると、フランスではKDPIスコアの中央値は65だったのに対し、米国では42と低かった。なお、KDPIスコアが低いほど移植後に腎機能が持続する期間が長いとされ、例えばスコアが0~20の腎臓は平均11.5年、スコアが21~85の腎臓は約9年持続すると考えられている。

また、フランスではドナーの平均年齢が米国よりも17歳高かった。この点について、Reese氏は「ドナーの年齢を引き上げることで臓器不足の解消に対処している」と指摘している。また、フランスでは高血圧や糖尿病などの慢性疾患を有するドナーから摘出した腎臓も多く受け入れていた。そのため、フランスでは過去10年間でKDPIスコアの平均値は54から67へと増加したのに対し、米国では42から44とほぼ横ばいで推移していた。同氏によれば、米国ではこの10年間にドナーの年齢にも質にも変化はみられていないという。

Reese氏は「たとえ臓器の質が最善でなくとも、レシピエントに適した腎臓を選ぶために米国ではもっとできることがあるはずだ」と述べている。例えば、80歳のドナーから提供された腎臓を30歳の患者に移植するのは最適とはいえないが、その腎臓が適した70歳以上のレシピエントを待機リストから見つけるのは難しくないはずだと同氏はいう。しかしKlassen氏は、米国の移植センターは規制当局と対立して認定を失うことを避ける傾向があると指摘している。

フランスと米国では臓器提供と移植システムが大きく異なるため、臓器の質などを直接的に比較するのは難しい。そのため、一方の国の結果を他方の国に直接当てはめることはできないが、「各国で規制の緩和や変更を検討する価値はあるのではないか」とKlassen氏は述べている。(HealthDay News 2018年10月29日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

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