がん統計 罹患数・死亡数、男女で年間21万人の差はなぜ?

国立がん研究センターによる最新のがん統計予測では、1年間でがんに罹患するのは101万人、がんで死亡するのは37万人と発表している。「男性は2人に1人」「女性は3人に1人」が生涯のうちにがんに罹患すると言われており、男性の方ががんに罹患する確率も死亡する確率も高いが、具体的に、男性はどのようながんにかかりやすいのか?反対に、女性はどのようながんにかかりやすいのだろうか?

<参考情報>
2016年のがん統計予測(国立がん研究センターがん対策情報センター)

男女で異なるがん罹患の部位と人数

以下では、2016年の1年間で新たにがんになると予測される人数を部位別にグラフで示している(1位から10位まで)。

女性に多いのは、女性特有のがんと甲状腺

まずは女性から見てみよう。2016年の1年間でがんになる女性は434,100人。圧倒的に多いのが「乳房」、続く5位には「子宮」、トップ5に女性特有のがんが並んでいる。他、男性と比較して女性の罹患率が高い部位は「甲状腺」だ。もともと甲状腺関連の病気は男性よりも女性に多いが、それが関係しているのかもしれない。

女性の癌罹患数 2016年

2016年のがん統計予測(国立がん研究センターがん対策情報センター)より作成

男性は、女性と比較して全体的に罹患数が多い

次に男性を見てみよう。2016年にがんになる男性は576,100人。女性よりも約14 万人も多くがんになるという計算だ。男性特有のがんである「前立腺」が最も多いが、続く「胃」「肺」「大腸」は、女性と比較するといずれも圧倒的に多い。他、女性と比較して男性に多いと言われている「肝臓」「食道」もトップ10に並んでいる。

2016年のがん統計予測(国立がん研究センターがん対策情報センター)より作成

男女間で開きのある、がん死亡数

次のグラフでは、2016年の1年間でがんにより死亡する予測人数を部位別上位10までを示している。女性は153,700人、男性は220,300人が死亡すると予測されている。罹患数と同様やはり男性の方が多く、7万人もの開きがある。

男女ともに、がんに大腸・肺・胃がトップ3

女性の癌死亡数

男性の癌死亡数

2016年のがん統計予測(国立がん研究センターがん対策情報センター)より作成

がん罹患数・死亡数の男女差の要因は、生活習慣と健康意識

がん罹患数予測は男性が57万人、女性が43万人。がん死亡数に関しては男性が22万人、女性が15万人。罹患数と死亡数を合わせると男女で21万人もの差がある。男女間でのこの大きな開きは何が関係しているのだろうか?

「健康意識の差」が罹患数、死亡数の男女差をもたらす

がんのリスク要因は、食生活、喫煙、生活習慣、生殖要因、体質など様々で、さらに寄与レベルにも個人差があるが、性差医学的要因を除外したとしても、男性の方ががん罹患率や死亡率はやはり高いと言われている。女性と比較して喫煙率が高く飲酒量が多いからだ。しかしそれ以外にも考えられる理由がある。それは「健康意識の差」だ。

体に悪いとわかっていながら健康行動を起こさない男性

一般的に、男性は女性よりも健康意識が低い。周囲を見れば理解しやすいだろう。体に悪いとわかっていながらタバコを吸う男性、夜遅くまで食べて飲んで帰宅してバタンキューする男性、太っても気にしない男性、お腹が出てメタボ体型になっても気にせずむしろネタにする男性、面倒な料理よりも簡単な中食や外食で夕食を済ませる男性(実際に、ラーメン屋、立ち食いそば、牛丼屋チェーンなどに入るのは圧倒的に男性が多い)、栄養バランスや野菜の彩りなどよりもボリューム重視の男性、髪の毛が抜けても肌がカサカサになっても気にしない男性ー。ヘルスケアに興味関心を持たない男性は、世の中見渡せば大勢いる。

日頃から美容や健康に気を配る女性

一方で女性はどうだろうか?老化が進むからタバコは吸わない。夜遅くまで飲んで食べたら「太っちゃう!」と罪悪感いっぱい。太って体型が崩れたら好きな洋服着れないし、恥ずかしい!と、理想の体型維持に向けて日頃から体重管理。周囲に負けずキレイな自分でいたいから日頃から体型管理。自炊は面倒だけど、美容と健康のためにできるだけ外食は避けたい。自分や家族の健康のために添加物の入ったものは食べない・買わない。ボリューム重視よりも栄養バランスがいつも気になる。キレイになるために、健康のために、サプリを飲む。話題のヘルシー食材を取り入れる。老化対策のために、毎日のヘアケア、スキンケア、ネイルケアは大事ー。これが一般的な女性の思考だ。

女性は、ダイエット、メイク、スキンケア、ネイル、ファッションの追及などを通じて、このようにして若いうちから自然と健康意識が身についているのだ。「他人の世話ができる。よく気がつく」という女性本来の本能的特徴も、自分や家族の健康管理ができる理由と言えるだろう。

助かる命は多い、がんの半数近くは予防可能

不治の病というイメージが強いがんだが、実は、がんの多くが予防可能だ。飲酒、喫煙、食習慣、運動習慣などの生活習慣ががんのリスク要因となっていることは国内外で明らかになっており、言い換えれば、がんによる死は回避できるのだ。しかし、残念ながら「生活習慣の改善次第でがんを予防できる」という認識を持つ生活者はまだまだ少ない。「予防可能」であることをもっと早く知っていれば、助かった命はどれだけの数になるだろうか。特に、がん罹患率・死亡率の高い男性は、これだけの大きな男女差がある事実をしっかり認識したい。健康意識が高まりもっと若いうちからヘルスケアに取り組むことで、がんに罹患する確率はぐんと下がるはずだ。

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