「女性の生き方の複雑化」が社会構造・経済・企業に影響する理由
女性マーケティングの強化を行う場合、最初に理解すべきは女性の多様化・複雑化した各ライフコース。ライフコースを理解することは、社会構造や経済動向をマクロで理解・予測することにもつながるためだ。当メディアを運営する「ウーマンズ」では20~70代の女性を20にセグメントしており、各ぺルソナ女性は異なるライフコースで人生を送っている。各ライフコースの女性はニーズや価値観、消費行動などが全く異なっており、彼女たちのライフコース理解があるか否かで、戦略の成功率は大きく変わってくる。今回は女性が理想とするライフコースと、現実のライフコースについて理解しよう(参考:国立社会保障・人口問題研究所調べ 18歳~34歳の男女未婚者対象)。
女性の理想・予定のライフコース調査結果
各ライフコース説明
調査結果概要
- 女性の理想のライフコース「専業主婦コース」は第1回目の1987年から大幅に減少
- 反対に「両立コース」が年々増加
- しかし実際のところ、理想は「両立」だが現実では「両立コース」よりも「再就職コース」を歩む女性の方が多い
- 理想では「非婚就業コース」は少ないが、現実では同コースは21%と、今回初めて2割を上回った
女性の「生き方の変化」は社会のあり方を変える
「女性の生き方の複雑化・多様化」がなぜ社会全体・企業に影響を与える程の力があるのか?以下の例を見てみよう。
まず、上記のグラフの「女性の予定ライフコース」の「専業主婦コース」を見てみよう。急激に減っているのが分かる。専業主婦を選択する女性は急激に減少しており、それに伴い専業主婦を対象とした女性誌は次々に廃刊・休刊となった。続いて「女性の予定ライフコース」の「両立コース」。こちらは急激に増加しているが、仕事と育児を両立する女性が増えたことで「家事代行サービス」「食材の宅配サービス」「ベビーシッターサービス」など時短をテーマにしたサービスが各社から次々に登場している。同時に、企業は出産後も女性が活躍できる環境整備を積極的に進めるようになった。
「非婚就業コース」についても、急激に増加していることが分かる。非婚女性の増加により、少子化が進み社会問題となっている。同時に働く女性の増加により女性の消費力は上がり、マンション購入、海外旅行、投資など積極的に消費をするお一人様女性が増えている。そんな彼女たちをターゲットに様々なサービスや商品を展開する企業が増えている。
これらは一例にすぎないが、女性のライフコースの多様化・複雑化は、単純にマーケティング設計が難しくなっただけでなく、社会構造を変え、企業が生み出すサービスや商品を変え、人口動態にまで大きな影響を及ぼすようになるほどのパワーがある。女性マーケティング理解を深めることは、市場全体・社会全体・経済動向をマクロに理解・予測することでもあるので、引き続き「女性マーケティング」に関する情報はチェックしておきたい。他、女性のライフコースに関する記事は本稿下部に掲載。
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