女性が希望するライフコースに変化 1987〜2021年までの変遷
女性が希望するライフコースは、時代時代の景気や政策の影響を受けて変化する。最近のトレンドは、長らく首位だった「再就職コース(※)」が低下し、代わって「両立コース(※)」が上昇。まだまだ課題は山積しているものの、仕事と育児を両立できる環境が徐々に整ってきたことが背景にある。国立社会保障・人口問題研究所は、18〜34歳の未婚女性を対象に希望する将来のライフコースについて定期的に調査を行っており、約35年間の推移を見ると、女性たちの生き方・働き方に対する明らかな意識変化を読み取れる。1987〜2021年まで、女性が希望するライフコースはどのように変化してきたのか?(※)「再就職コース」は、結婚・出産を機に専業主婦となり、子が大きくなってから再度働き始めるライフコース。「両立コース」は、産休・育休後に職場復帰して仕事と育児を両立するライフコース。ライフコースの詳細はこちら。
<女性が期待するライフコースの変遷、概要>
- かつて大多数の女性が選択していた「再就職コース」は、2015年の女性の活躍推進法の成立以降に顕著に減少し、34.6%(2015年)から26.1%(2021年)へ。代わって「両立コース」が首位となり、34.0%(2021年)。家事と育児の両立支援が進んだことが背景にあり、今後も政府の子育て支援が大きな後押しとなり、この差はさらに広がると考えられる
- 働く女性の増加に伴い多様な生き方や働き方を選択する女性が増え、それまで1割を切っていた「非婚就業コース」は、5.8%(2015年)から12.2%(2021年)へ上昇。女性の未婚率は今後も上昇する見込みであることから、「非婚就業コース」はさらに上昇すると思われる
- かつては希望する女性が最も少なかった「DINKs」も、「非婚就業コース」と同時に上昇。全ライフコースの中で最下位の状況は変わらないが、4.1%(2015年)から7.7%(2021年)へ。子を持たない選択をするカップルが増え、また晩婚化が進んでいることから、今後も「DINKs」は上昇傾向が見られると思われる
- バブル崩壊と就職氷河期を境に「専業主婦」を希望する女性は急減。減少傾向は今なお続き、バブル経済が始まった1986年の33.6%から、13.8%(2021年)へ。「専業主婦」の増減は景気に大きく左右されるが、女性が仕事を持つことがスタンダードとなった今、今後も減少傾向が見られると予測される
- 男性が将来のパートナーに求めるライフコースを見ると、女性の希望と意識差があることを読み取れるが、求めるライフコースの順位変化の傾向やタイミング、減少率は女性のそれと概ね同じ。女性が働きやすい社会になったことで、男性にも女性同様の意識変化が起きていると言える
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