ヘルスツーリズムの人気事例・認証制度・企画のポイント(1/3)

ヘルスツーリズムは、個々の健康力アップ、医療費削減、新市場創出、地域活性などが期待されている。需要に対してまだ供給が追い付いていない感は否めず、また、収益の点からヘルスツーリズム導入を見送る地域・旅館・ホテルが多いが、数年前と比較すると確実に広がりを見せている。消費の形態がモノ消費からコト消費へ移行していることもヘルスツーリズムニーズの広がりを後押ししている。ヘルスツーリズムの企画に役立つ基礎知識と事例を紹介。

ヘルスツーリズムとは

ヘルスツーリズムとは

ヘルスツーリズムとは健康増進を図ることを目的にした旅行のこと。従来の観光といえば、「ホテル・旅館に到着→食事→温泉→就寝→チェックアウト」が一般的だったが、ヘルスツーリズムはこれら一連の流れの中の随所にヘルスケアプログラムが組み込まれている。滞在型と日帰り型に分類される。日本ヘルスツーリズム振興機構では、次のように定義している。

「健康・未病・病気の方、また老人・成人から子供まですべての人々に対し、科学的根拠に基づく健康増進(EBH:Evidence Based Health)を理念に、旅をきっかけに健康増進・維持・回復・疾病予防に寄与する」もの。(引用:NPO法人 日本ヘルスツーリズム振興機構)

ヘルスツーリズムは、「ウェルネスツーリズム」「ウェルネストラベル」とも呼ぶが、今のところ広く認知されているのは「ヘルスツーリズム」。日本のヘルスツーリズムの主な資源は和食、温泉、森林で、これらを活用して企画されるケースが多い。日本の湯治文化はヘルスツーリズムと相性が良いので温泉がプログラムに組み込まれているのがベストだが、必ずしも必要なわけではなく、温泉がない地域や施設でもヘルスツーリズムを提供することは十分に可能だ。

ヘルスツーリズムはニューツーリズムに含まれる

ヘルスツーリズムとあわせてよく耳にする「ニューツーリズム」は、旅先での人や自然との触れ合いを重視する旅行のこと。テーマ性が強く、地域の特性を活かす体験型に重きを置いている。ヘルスツーリズム、産業ツーリズム、グリーンツーリズム、エコツーリズム、ボランツーリズムなどが含まれる。現在、観光庁は「ニューツーリズムの振興」に代わり、「テーマ別観光による地方誘客事業」に取り組んでいる。

なお、ヘルスツーリズムと似た用語に「メディカルツーリズム」があるが、メディカルツーリズムは、主に海外で医療サービスを受けたり治療を目的とした医療観光を指すため、ヘルスツーリズムとは区別して使用する。

ヘルスツーリズムの分類

ヘルスツーリズムを企画する際は、「基本プログラム単体」にするのか、それとも基本プログラムを複数組み合わせた「複合プログラム」にするのかを決めておくと検討を進めやすい。

ヘルスツーリズム事例

ヘルスツーリズムに期待される「行動変容」

ヘルスツーリズムそのものに心身の健康維持増進の効果を期待できるが、他に期待できるのが、ヘルスツーリズムを通して行動変容を促すこと。行動変容には5ステージあり、特に「無関心期」から「関心期」へとステージが移行するきっかけになることが多い。ヘルスツーリズムで提供される各健康プログラムの体験を通して、健康行動の楽しさに目覚め、健康に対する興味関心が高まるからだ。

行動変容ステージモデル

ヘルスツーリズムの主な利用者

ヘルスツーリズムは「一般的な旅行や宿泊」に「ヘルスケアプログラム」が追加されるプランになるため、価格は高くなりがち。そのため、全てではないがヘルスツリーズムの多くは価格帯の高さから、中間層上位~富裕層の利用が目立つ。

また、もともとヘルスリテラシ―は、低所得者層よりも高所得者層の方が高いことからも、ヘルスツーリズムに関心を寄せるのは所得に余裕がある層になりやすいという特徴がある。そのため、ヘルスツーリズムの企画においては、所得にある程度余裕のある層をターゲットにそえると、集客しやすい傾向にある。

なお、当サイト運営会社である当社「ヘルスケア女性マーケティングのウーマンズ」の分析では、富裕層女性を8クラスターに分類している。同じ富裕層でもそれぞれ特徴が異なるので、ヘルスツーリズムの企画において、富裕層女性を対象にすることを検討している場合は、ぜひ当社分析レポート「富裕層女性の分類」もご参考にして頂きたい。

 

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