ダブルケアの介護に疲弊する女性たち ケアラーの平均年齢は39歳(1/3)

女性の社会進出が進み、非婚化や晩婚化、晩産化、意図的に子を持たないなど、結婚・出産事情が多様化する中、新たな問題として浮かび上がってきたのが「ダブルケア」。「ダブルケア」とは晩婚化による女性の出産年齢が高齢化したことで「子育て」と「両親や義父母の介護」が重なってしまう状況のことを指す。ダブルケアの実情を数値データやネット上の声とともに探っていき、その負担を軽減するための取り組みや支援について見ていきたい。

介護と育児が同時期に ダブルケア人口25.3万人

ダブルケアとは?

ダブルケアとは介護と育児を同時期に担うことをいい、晩産化が進む今日、社会問題へと発展しつつある。その背景には「晩婚化」「晩産化」「少子高齢社会」「核家族化」「女性の社会進出」などが挙げられる。ダブルケアはさまざまな要素が複雑に絡み合うことで浮上した新しい社会問題だ。ダブルケアをする人すなわち「ダブルケアラー」は増加傾向にあり、今は直面していなくとも数年先にダブルケアラーとなる予備軍は多いと考えられる。

ダブルケアの現状 ダブルケアラーは25.3万人・平均39.65歳

平成28年度に内閣府男女共同参画局が発表した統計によるとダブルケアラーの人数と年齢は以下の通り。30代後半がダブルケアに突入する時期で、ダブルケアラーは女性が多いことが分かる。

  • ダブルケアラーは推計25.3万人
  • ダブルケアラーの男女比は、男:女=8.5万人:16.8万人
  • ダブルケアラーの平均年齢は39.65歳(男性41.16歳、女性38.87歳)

ダブルケア 3つの問題

問題1.仕事とダブルケアの両立・経済的負担

ダブルケアの第一の問題は仕事との両立の難しさ。ダブルケアラーの有業率を確認すると、男性は約9割越えに対して女性は約5割程度(ただし「有業者 仕事をおもにしている」のみを見ると、女性はわずか2割ほど)。これは「育児のみを行う女性」「介護のみを行う女性」と同水準となっている。この数値の低さは、ダブルケアが女性に偏っていることが多いことを示している。

ソニー生命保険が発表した調査によると、現在ダブルケアに直面している人の介護と育児にかかっている平均負担額は月額75,518円とされ、ダブルケアの経済的負担の大きさが窺える。さらにはダブルケアによる疲労や負担による離職も存在し、やむを得ず離職したことによる所得低下の危険性が指摘されている。

問題2.精神的負担 介護側が「うつ」になる可能性も

ソニー生命保険が行った調査によると、ダブルケアで女性が負担に感じることで最も多かった回答が「精神的にしんどい」で57%。この数値は年代が上がるにつれて上昇し、体力的な低下も関係していると考えられる。ダブルケアでは介護と育児の両立で精神的に追い込まれ、介護をする側がうつになるケースも存在する。

以下は、介護うつを訴える女性の声。

90歳の祖母の在宅介護をはじめて2年半になります。私、主人、5歳、7歳の子どもと祖母の5人暮らしです。去年、うつになりそうになり、介護放棄したりしました。介護殺人して終わってしまうんじゃないかと、思っていたこともあった。(ちびさん・30代)引用:NHKハートネット福祉情報総合サイト「育児と介護を同時に “ダブルケア”時代の到来」

問題3.身体的体力

同調査で次に多かったのが「体力的にしんどい」で、こちらも半数以上の55.2%(上記図)。親兄弟などの頼れる者が身近におらず、育児と介護を一人で抱え込む事態が起こりやすいダブルケアは、ダブルケアラーの高齢化も相まって身体的体力の不足が弊害となりやすい。

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