コロナ太りで続く「摂取カロリー」検索、ヘルスケア企業が知っておきたい成人女性のカロリーのこと(1/2)
新型コロナによる外出自粛や在宅勤務で運動不足が世界各国で指摘されている中、個々人レベルでそれを実感するのが体重変化。国内の30〜50代女性を対象に2020年8月に実施したダイエットに関する調査では、新型コロナによる生活変化で体重が増加した人は46%で、約半数が太ったという結果に(調査:アスマーク)。
実際にネット上の関心度合いを確認すると、4〜5月の緊急事態宣言期間をピークに「ダイエット」「生活習慣病」「摂取カロリー」など、ダイエット関連のキーワードで検索ボリュームが上昇。体重増加の対策に励む人が増えている様子。
今回はそんな注目キーワードのうち、「摂取カロリー」に着目。通年ダイエットに励む女性が年齢問わず多い割には、実は適正摂取カロリーをきちんと数値で理解できている人はわずか。「痩せすぎず、太り過ぎず、健康を維持できる体重」に必要な摂取カロリーはどれくらいなのか?厚労省が昨年末に公表した「日本人の食事摂取基準2020」をベースに、適切な摂取カロリーの考え方を見ていこう。
目次
成人女性のカロリーの考え方
摂取カロリーと消費カロリー
- 摂取カロリー
食べ物や飲み物から摂るエネルギー摂取量のことで、3大栄養素である「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」の各エネルギーを合計した数値を指す。エネルギーがあるのはこの3大栄養素だけなので、3大栄養素の含有量=総カロリー摂取量、という事になる。 - 消費カロリー
エネルギー消費量のこと。基礎代謝(覚醒状態の生命活動を維持するために最低限必要な熱量)、食後の熱産生、身体活動の3つそれぞれでカロリーが消費されている。なお、身体活動は「運動・日常の生活活動・自発的活動」の3つに分類される。
- カロリーの収支バランス
摂取カロリーと消費カロリーの収支バランスは「摂取カロリー」-「消費カロリー」で求められ、摂取カロリーがプラスの状態が続けばカロリーオーバーとなって太り、マイナスの状態が続けばアンダーカロリーとなって痩せる。つまり、痩せたい場合は摂取カロリーより消費カロリーを多くし、太りたい場合は消費カロリーより摂取カロリーが多くなるようコントロールすればよい。カロリー摂取量は、食品入手の利便性、ストレス、摂食速度、美味しさ、食欲関連ホルモン、性別など、さまざまな因子の影響を受けて増減するため、同じ年齢でも個人差が大きく、また同一人物であっても常に収支バランスが年中一定しているわけではない。
健康を維持するための適正体重とは?
健康体重を知るのに役立つ指標、BMI
日々の体重に大きな変動が見られない成人は、カロリーの収支バランスはほぼゼロに保たれている。しかし、体重を維持できているから健康とは言い切れない。大切なのは、健康の保持・増進、生活習慣予防のために必要な体重を維持すること。
そこで指標となるのが、BMI(Body Mass Index)。肥満度を表す体格指数として用いられている国際的な指標で、日本では男女ともに目標とすべきBMIは18.5〜24.9に設定されている(以下表)。この範囲内であれば、健康を維持し生活習慣病の発症を予防しやすい、ということになる。なお「18.5以下なら痩せすぎ」「25以上なら肥満」となる。65歳以上の目標BMIが若年世代より高めに設定されているのは、低栄養によるフレイルを予防するため。
年齢(歳) | 目標とするBMI (㎏/㎡) |
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65〜74 | 21.5~24.9 |
75以上 | 21.5~24.9 |
表1:目標とするBMIの範囲 〜18歳以上/男女共通〜
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版)
女性のBMI
自分は健康体重の範囲内?BMIの計算方法
BMIは身長と体重で算出できる。今現在の自分の体重が健康を維持できる適正体重かどうか、例を参考にチェックしてみよう。
- BMI(㎏/㎡)=体重(㎏)÷身長(m)2
例えば、身長160㎝・体重55㎏・40歳の女性のBMIは、55kg÷(1.6m×1.6m)≒21.5。目標BMI(20.0〜24.9)の範囲内なので、彼女の体重は健康を維持できる適正体重と言える。もし彼女のBMIがこの目標BMIより低ければ痩せすぎ、高ければ太り過ぎ、となる。
自分が目標とすべき健康体重
前述のBMIの算出は、今現在の体重が健康面で適正範囲内かどうかを確認する方法。範囲外であれば、自分が目標とすべき体重はどれくらいなのか?それも簡単に計算できる。表1に記載の目標BMIを用いる。
- 健康体重=身長(m)×身長(m)×目標BMI
例えば、身長160cm・30歳女性の場合。30歳の目標BMIの範囲は18.5~24.9なので、以下の計算となる。
- 下限:1.6×1.6×18.5≒47.4kg
- 上限:1.6×1.6×24.9≒63.7kg
つまり、彼女の健康維持に必要な体重の範囲は47.4〜63.7kgということになる。
日本人女性が理想とする体重
前述の女性の例を見て、「健康体重って、ぽっちゃり体型」「上限が63kg?太っているのでは?」と感じる人は多いはず。目標BMIから算出した体重では、世界的に見て痩せている人が多い日本では「ぽっちゃり」「太っている」という印象を持つのが普通だろう。日本女性が一般的に「スリム」「スタイルが良い」「細い」「理想」といった印象を持つBMIは17〜18。
いわゆる“モデル体重”の算出に指標とされる数値で、前述の160cmの彼女にこのBMIを当てはめると、体重は43〜46kg。日本人女性の中でもとりわけ痩せ志向の強い10〜20代が理想とするのはこのあたりだ。だが健康面から言うとBMI17〜18は「痩せ」に入り健康リスクを抱える可能性があるので、本来であれば目標とすべきではない。最低でも目標はBMI18.5とするのがベスト。
プラスサイズの体重の上限
近年、世界的なダイバーシティの広がりや女性のエンパワーメントを背景に“プラスサイズ”モデルが人気を集めているが、健康面から見ると、プラス過ぎるのはそれはそれで健康リスクを抱えるので危険。プラスサイズを目指すにしても、BMI24.9は超えないようにしたい。前述の彼女が健康リスクを抱えずにプラスサイズを目指すなら、63.7kgは超えないのが安心。