健康・自然食品通販の成功事例 緻密な計算が女性の心を掴む

プロテインというと、「筋肉でムキムキになっちゃうのでは…」「スポーツジムで鍛えているような男性が摂取するものでしょ?」というイメージが強く、敬遠する女性も多い。そんな中、女性に人気の美容・健康の自然食品に特化した通販サイト「タマチャンショップ」が春の期間限定で発売する美容のためのプロテイン「タンパクオトメ~ふんわり春バニラ」が、発売早々すでに人気を集めているようだ。

マーケティング戦略が参考になる点が多い。「思うように販売個数が伸びない」「類似商品を他社も出しているので差別化したいが難しい」とお悩みの販売企業だけでなく、制作会社やデザイナーも参考になる点が多いだろう。

女性心を掴むヒントが満載

健康食品や自然食品は競合が多く、また表現の規制が厳しいことからも販売に苦戦する企業は多い。そんな市場背景がありつつも、楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2016総合賞部門で7位を受賞したタマチャンショップは、女性心を掴むヒントが満載だ。

1.ネーミングがかわいい

商品の名前は「タンパクオトメ」。「タンパク」を「乙女」と繋げることで女性的な雰囲気を醸し出す言葉に変身。カタカナで読みやすく、覚えやすいネーミングが印象的だ。

2.プロテイン=筋肉をつけたい男性のもの、というイメージを払拭

「プロテインは筋肉をつけたい男性が摂取するもの」「筋肉ムキムキ」という印象が強く、女性にプロテイン摂取の必要性を訴えたところで既存イメージを瞬間的に覆すことは難しい。同店は「美容専門プロテイン」と表現することで、「プロテインは知ってる。でも男性のものだよね?」というイメージを持つ女性の興味関心を引き寄せる。

また、購入検討者が抱くであろう「筋肉ムキムキになるのでは?」という疑問に、ホームページ内で「あらかじめ」答えている点も安心感を与えてくれる。

3.ページの先頭では機能性ではなく「視覚訴求」を重視

商品の機能性や消費者の悩みを前面に訴求するメーカーや販売者は多い。しかし、機能性や理論で購買を決定するよりも、直観で特定の商品やサービスに興味関心を持つ女性にとっては、その商品が自分の生活に入り込んだときに「オシャレな自分を演出できそう!ワクワクする!」ことも重要だ。視覚訴求は特に20~40代女性には響きやすい(ただし、美容や健康悩みが深刻化してくる中高年女性の場合には当てはまりづらい)。

同商品の商品紹介ページを見てみよう。桜×ピンクで「ぱっと目に留まる」デザインを採用している(多くの商品が並ぶ中、いかに突出した存在になるかどうかは、「ぱっと目に留まるかどうか」が重要だ)。春は「今までの自分をリセットし、新しいことを始めるシーズン」。特に、健康食品やスポーツジムなど習慣化を目的とした商品やサービスは、女性の興味喚起を促す効果を期待できる。

4.ロゴ、瓶、色が可愛い

ロゴマーク、各フレバーが見せる淡い色、そしてビンに詰めて見せる点がかわいい。保存用ガラスビン「メイソンジャー」の人気ですっかり女性の間で馴染みになった「ビン」スタイルを採用する工夫で、女性の目を引き付けている。

そもそもメイソンジャーに野菜をカラフルに詰め込むジャーサラダが人気になったのは、保存性が高いことと、「瓶にサラダを入れることでオシャレに見える」という点だった。同様にこちらのただのプロテインドリンクも、ビンに詰め込むことで今ドキ感がアップしている。

5.プロテインを摂りたいのではなく、たんぱく質補給を手軽にできる点がいい

「食生活で不足しているものは?」というアンケート調査で度々1位にランクインする栄養素の一つが「たんぱく質」だ。肉や魚などのたんぱく質食材を使った調理は面倒になりがちで、摂取量も少なくなりがちだ。中には、ダイエット目的で極端に肉の摂取量を減らす女性もいる。

しかし健康・美容のためにたんぱく質は必須だ。そこで同商品は、筋肉増強のためのプロテイン摂取を提案するのではなく、たんぱく質が不足しがちな女性に向け、不足分を補うためのプロテイン摂取を提案している。前者の打ち出しが響きやすいのは、筋肉を鍛えたい男性。後者の打ち出しが響きやすいのは、キレイな肌・体を「維持・改善したい」女性だ。

6.他社のプロテインとは異なる打ち出し方で差別化

女性向けプロテインは以前より各メーカーから発売されている。では同店のプロテインと他社の違いは何なのか?答えは見せ方だ。

「鍛えて引き締まったボディ!」という筋肉増強を軸に提案する商品が多い中、同店のプロテインは「美容食として/不足分のたんぱく質補給として」提案している。

ウーマンズにお寄せ頂くご相談で「この商品は既に他社も類似商品を展開しているから価格勝負になってしまう。ただし価格勝負では売り出しくない。どうすればいいのか?」というお声が多いが、今回の事例のように、「固定概念」や「先行イメージ」から視点をずらすことで差別化できることもある。成分やジャンルは他社と酷似していても、視点をずらすことで、消費者にとって新しい魅力的な商品に映る可能性は十分にある。

7.機能性を打ち出すのは最後

健康食品の最も要となる機能性や摂取するメリットに関しては、同商品の場合はページの下部に持ってきている。全体的なページ構成はこうだ。

1.ネーミング・色づかい・オシャレ感で女性の興味関心を惹き寄せる
2.女性が抱きがちな「あるある疑問」に答える
3.「健康・美容に大切なたんぱく質の摂取量が少ない方は、不足分を簡単に補える食品として使ってみて!」と、日頃の面倒な肉・魚料理の代替えになることを訴え、手軽感を説明
4.機能性を説明

この順に商品の解説が進むことで、興味を引きつけ、共感を得、女性が苦手とする理論や機能性に関しても、すっと理解できる流れになっている。

同じ商品でも戦略次第では簡単に選ばれる商品になる

今手元に全く同じ健康食品AとBがあったとしよう。価格も成分、知名度、ブランド力も同じものと仮定した場合、この2商品の差はどこで出てくるのか?その答えの一部が上記で解説した6つのポイントだ。タンパクオトメの類似商品は他通販サイトでも多く見られる。しかし、同店が5年連続ショップオブザイヤーを受賞していることからも分かる通り、人気商品・人気店には、商品そのもの以外の部分での魅力が多いのだ。

女性に人気になる通販サイトの構築をお考えの企業様はぜひ「タマチャンショップ」をのぞいてみよう。参考になることは多い。

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