アプリでお化粧!メイクアプリが人気の理由と市場の動向とは?

スマートフォンの利用者が増加している今、メイクアップの方法やメイクアイテムの購入方法も大きく進化している。最近は、はじめにアプリで仕上がりを確認してから、実際に購入したりメイクするのが若い人の間でトレンドに。現状、10~20代中心に広まっているが、80代以上の高齢女性への販促にもメイクアプリは役立つ可能性がありそう。新たな販促方法としてメイクアプリは期待のツールだ。

バーチャルで化粧ができるメイクアプリとは?

メイクアプリの特徴

メイクアプリとは、スマホを使ってバーチャルメイクができるアプリのこと。ARメイクアプリともいう。 カメラで自撮りをするか、あるいは、保存してある自分の画像にカラコンを入れてみたりリップに口紅を塗ってみたりなどバーチャルな情報を追加していくことで、バーチャルメイクが完成していく。こうしたアプリには最新の顔認証技術が用いられている。

「MakeupPlus」「LOOKS」「YouCamメイク」など、ヒットしているアプリの多くは、中国や韓国、台湾の企業が手掛けている。資生堂のように国内の化粧品メーカーが提供しているアプリもあり、販促につなげている。

メイクアプリの主な機能

メイクアプリの主な機能は、自動でメイクを施し加工をする機能。 ファンデを塗ったり、眉毛を描いたり、マスカラやアイシャドウ、チークなど、パーツごとに調節することが可能だ。

有名人のメイクを自分の顔に施せる機能を搭載したアプリもあり、まるで本人になったような気分を味わえる。国内ブランド・海外ブランドの好きなブランドアイテムを試す機能では、 リアルタイムに使用感を知ることができ、そのまま気に入ったアイテムを購入できるアプリも。試すところから購入まで、すべてをスマートフォンで完結できてしまうのがイマドキの買い方だ。

メイクアプリが人気を集める理由

自撮り写真や動画をアップする際の手間が減る

メイクアプリの人気の理由は、メイクアプリを使えば、わざわざ写真や動画を加工・修正する手間なく、あるいは事前にフルメイクをすることなく、SNSに写真・動画をアップできること。女性であれば自撮りするなら少しでもきれいに映りたいと思うもの。メイクアプリを使えば、メイクが上手ではない人でも、メイクをするのが面倒な人でも、アプリで自然なメイクを施せる。 フィルターをかけるだけで肌をきれいに見せられるものもあり、美肌が一瞬で叶う。 アプリによってはすっぴんからフルメイクを施すことも可能。動画撮影が可能なアプリもあるし、より機能性の高いアプリは、 輪郭を調整したり、顔のパーツの位置を変えたり、まぶたを二重にできる顔補正機能がついているものまで幅広い。

普段と違うメイクを試すことができる

メイクアプリは、いつもの自分のメイクとはまったく違ったメイクを気軽に試せるのも魅力。普段使わない色も、アプリ上なら簡単に試せる。短時間で複数のパターンを試し、いろいろなメイクを楽しめる。髪色やカラーコンタクトのシミュレーションができるアプリもある。気にはなっているけれど実際に試すのは勇気がいるようなものでも、アプリなら気軽にチャレンジできる。気になるトレンドメイクが自分に合うか試せるアプリを使えば、「こんなメイクはちょっと恥ずかしい」と思うようなメイクにも、スマートフォンの画面上でこっそりと挑戦できる。

気になるブランドのアイテムを試せる

高価なブランドのメイクアイテムを気兼ねなく大量に試せるのも、メイクアプリが人気の理由。デパートコスメ(デパコス)など、カウンターに行かないと試せなかいアイテムでも、アプリなら使用イメージがすぐにわかる。デパコスは「敷居が高い」「目の前に店員がずっといるから試しづらい」「ファンデやアイシャドウ、マスカラなど、クレンジングで都度落とさないと試せないアイテムは面倒」などの声は多い。

それらを全てカバーしているのがメイクアプリ。店頭では、時間の制約や都度試し塗りしたアイテムを落とさなくてはならないなどの理由から数種類しか試せないが、アプリ上なら好きなだけ試せる。店頭で試す場合と違ってアプリなら好きなものを選択してタップしていくだけなので、時間もそれほどかからない。提供されているアイテムが豊富なのもうれしい。

人気のメイクアプリと市場の動向

チェックしておきたい人気のメイクアプリは以下。購入前提で欲しいメイクアイテムを探すなら「MakeupPlus」「ワタシプラス カラーシミュレーション」。変身を楽しむなら「LOOKS」「SimFront」がおすすめ。バーチャルメイク以外にもビューティコンテンツを幅広く楽しみたい・他ユーザーのメイクも知りたいなら「YouCam メイク」。今のところ、最も機能が充実しているのは「YouCam メイク」。

人気のメイクアプリ

アプリ名:MakeupPlus

  • 開発:Xiamen Meitu Technology Co., Ltd.
  • 特徴:試したいメイクをブランド・メイクアイテムから選べる。価格も表示されるため商品購入を検討しやすい

アプリ名:LOOKS

  • 開発:SNOW INC.
  • 特徴:有名人のメイクをそのまま試せる。輪郭修正、デカ目効果などの整形加工もあり

アプリ名:SimFront

  • 開発:TAKAYUKI ARAKI
  • 特徴:メイクだけでなく髪型、髪色、サングラス、眼鏡まで楽しめる

アプリ名:ワタシプラス カラーシミュレーション

  • 開発:SHISEIDO
  • 特徴:SHISEIDOの人気ブランドのアイテムを試せる、新商品シミュレーションを用意しているので新商品をすぐに試せる、通販サイト(watashi+)と連動

アプリ名:YouCam メイク

  • 開発:Perfect Corp.
  • 特徴:百貨店などとのコラボを行っており、リアル店舗でもYouCamメイクを試せる。肌チェック機能あり。他のユーザーのメイクハウツーを掲載したコンテンツが充実。好きなユーザーのフォロー機能あり

以下はYouCam メイクの現状。

ダウンロード数は、世界で38000万、国内で520万を突破。導入ブランドも世界で延べ200以上、国内30以上にのぼる。(略)「国内では2017年以前まで24歳以下のF0層がユーザーの6割を占めたが、この12年で百貨店をはじめリテールとの取り組みや『デパコス』とのコラボが加速して、実売層でもあるF1層の割合が3割以上に増え、F01層で7割を占めている状況」(略)。国内の月間利用者は約40万人、タッチアップ回数約2500万回にのぼる。(引用:化粧品・トイレタリーの専門誌CT BeautyScience p.71

不満と評価ポイント

メイクアプリ全体の、主な「不満」と「評価ポイント」は以下。

<不満>

  • アイメイクやチークの位置がずれるときがあるので位置調整機能が欲しい
  • メイクの種類が少ない
  • メイクをしたイメージだけでなく、メイクの方法まで教えてほしい
  • ナチュラルといいつつ、濃い仕上がりになることが多い

<評価ポイント>

  • 実際に販売されている化粧品を試せる
  • 不自然さがなくナチュラルに盛れる(ナチュラルメイクが好まれる傾向)
  • 豊富に試せるから普段は使わないアイテムやカラーなどを試すことで発見がある

メイクアプリの市場動向

新たに期待したい機能

機能の違いは多少あるが共通で提供されているバーチャルメイクアイテムは現状、「口紅」「チーク」「アイシャドウ」「アイライナー」など「カラーを顔にのせる」ものが主流。女性たちが最も“ジプシー”に陥りがちなのが「メイク下地」と「ファンデーション」なので、この2つのアイテムも試せるようになると喜ぶ女性は多そう。口紅やチークは単純に「自分の顔に合うカラーかどうか?」の視点で選択を行うが、メイク下地やファンデーションはカラーの他に「カバー力」「持続力」「保湿力」「ツヤ感・マット感」「シワの目立ちやすさ」などが重視されるため、なかなか自分に合うアイテムを見つけられずに永遠に買い替え続ける女性は多い。バーチャルメイクアイテムにそれら二つが追加されることを期待したい。

メイクアプリによる販促

「ワタシプラス カラーシミュレーション」は通販サイトと連動しているため、バーチャルメイクでお気に入りを見つけたらそのまま商品購入ができる。「YouCam メイク」は百貨店など実店舗とのコラボを通じて、店舗のメイクアイテム販売促進につなげている。メイクアプリを活用した販促は、今後化粧品業界で広く浸透していくと考えられる。現状メイクアプリは10~20代をメインターゲットにしているが、購買力が高い50~70代女性をターゲットにしてみるのも良さそう。

メーカー・ブランドには新製品や新色のプロモーションなどで採用事例が広がり、リテールでは顧客の来店促進、購入額・購入頻度の向上をもたらしている。日本では、阪急百貨店うめだ本店の化粧品フロアの来客平均年齢が導入前に比べて「-10歳」若返り、月間平均エンゲージメントが9万回以上、20188月にオープンしたHANKYU BEAUTY STUDIOでは月間13万回以上を記録した。(引用:化粧品・トイレタリーの専門誌CT BeautyScience 「グローバルで人気のアプリ YouCamメイク~日本ではリテール導入事例でも好事例を頻発~」p.71

今後、メイクアプリに期待されている役割

今の若い世代は、買い物するための移動時間と移動のためのお金を“コスパが悪い”と見る。自宅にいながら何でもできる時代に育ってきた世代なので、そう思うのは当然だろう。そのような若い世代特有の消費行動にメイクアプリはマッチしている。店舗まで出かけることなく新商品を自宅で次々に試すことができ、そのまま通販サイトで買い物できるのだから。

一方で、例えば過疎地の移動困難者にもメイクアプリは喜ばれるかもしれない。足腰が弱く店舗に買い物に出かけるのが難しい80~90代の高齢女性にとって、街中の百貨店まで出かけてコスメカウンターで新色の口紅を試すのは相当な体力が必要だ。しかし、自宅でバーチャルメイクを試しそのまま購入までできるとしたら、メイクをしなくなった80~90代女性も再びメイクを楽しむようになるかもしれないし、トレンドのメイクアイテムを購入するかもしれない。「80~90代女性がスマホ操作をするか?」という課題は当然あるが、ラインを使って孫と英語の勉強に励む高見澤さんが以前話題を集めたように、娘や孫がお手伝いをするかもしれないし、80代90代で新たなことに挑戦する高齢女性が増えていることを考えると、スマホを活用した買い物提案は意外にもささるかもしれない。

以下は100歳代女性のリアルボイス。100歳を超えてもオシャレを楽しんだり、女性として身だしなみをきちんとしている女性はいるもの。医療技術の発展・ヘルスケア産業の活性化で今後、元気な後期高齢女性が増えるのは必至。彼女たちの「いつまでもメイクを楽しみたい」「キレイでいたい」ニーズに応えられる一つのツールが、メイクアプリかもしれない。

今でも出かけるときはアクセサリーを必ずつけますし、夜寝るときも、何かあったときに眉毛がないとおかしいので、眉毛を描いたままで寝ています。(引用:キューサイ「100歳まで楽しく歩こう」

メイクアプリの新たな可能性

メイクアプリは現状、若い世代向けだが購買力が高い中年女性、メイク離れをした高齢女性もターゲットにすると、新たなビジネスチャンスを獲得できそうだ。メイクには認知機能低下予防の効果もあると言われている。「介護美容」を後押しする可能性も期待できるかもしれない。

 

 

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