ヘルスケア企業を支えてきた”ソーシャルバイヤー” トレンドは下降?

WeChat(ウィーチャット)などのSNSを通じてフォロワー(中国人顧客)に商品販売を行う“ソーシャルバイヤー”。日本や海外で商品を購入し、中国に持ち帰り販売する。日本での爆買いの火付け役とも言われ、日本製の医薬品・化粧品などの中国人気はソーシャルバイヤーに支えられてきた部分が大きい。

ソーシャルバイヤーはフォロワーからの信頼を得られないと商品を購入してもらえないため、「丁寧な対応」「明確な価格設定」「迅速な商品発送」などを徹底して心がけており、「安心して本物を購入できる買い物スタイル」として中国では広く知られている。

ソーシャルバイヤーを悩ます、電商法

注目すべきはソーシャルバイヤーを通じたそのような消費スタイルが今後さらに上昇するか、それとも下降するか。今年1月1日に中国で施行された「電子商務法(通称:電商法)」は、電子商取引の事業者や消費者の権益、責任などを規定した法律で、電子商務経営者が経営活動に従事する場合、行政許可の取得が必要になり、納税義務が発生する。ソーシャルバイヤーたちは、日本を含む海外で購入した商品の価格を引き上げざるを得なくなり、今後は価格優位性を維持することが困難になる。電商法の施行により日本国内の小売り・メーカーを支えてきたソーシャルバイヤーは減ってしまうのか?それとも引き続き日本国内で活動を行うのか?注目が集まる。

ソーシャルバイヤー市場は引き続き拡大?

中国向けマーケティング支援を行うトレンドExpress(東京・千代田)は、ソーシャルバイヤーの市場は今後も拡大していくとの見解を示している。

「小遣い稼ぎ程度で取り組んでいる代購者は、法規制により減少する可能性はあるが、中国の消費者側の心理として、法律ができたのでバイヤーからの購入を止めるということはない。したがって、既にEC店舗を構えてビジネスを展開しているミドルバイヤー以上の層は、法規制に従ってビジネスを続ける意思は強く、まだ事業化していないソーシャルバイヤーもこれを機に本格的にビジネスとして取り組もうとするはずだ。(略)ソーシャルバイヤーを組織化するといった動きも見られる。本物を扱うことで顧客からの信頼を得ている健全な代購者の層が厚くなることで、市場はさらに拡大していくのではないか」(引用:粧業新聞 2月18日号)

ソーシャルバイヤー継続意向率は3割に減少

一方で、ソーシャルバイヤー本人に今後の活動意向を尋ねると、以下のような結果が。バイドゥ(東京・港)が、日本在住の中国人103人を対象に昨年12月、ソーシャルバイヤーに関するアンケート調査を行ったところ、電商法施行後のソーシャルバイヤー継続意向率は29.1%で、「休止する」は70.9%という割合になった。

ソーシャルバイヤー規制、電子商取引法の施行に関するアンケート調査

出典:バイドゥ

 

ソーシャルバイヤーの仕入れ商品と仕入れ場所

同調査によると、販売品の上位を占めるのは「スキンケア」「栄養補助食品」「メイクアップ化粧品」で主な仕入れ場所は「ドラッグストア」「Amzon.co.jp」「ショッピングモール」「スーパー」「百貨店」。

ソーシャルバイヤー規制、電子商取引法の施行に関するアンケート調査2

出典:バイドゥ

小売店は、夏休みシーズンに注意か

1月1日に電商法が施行されて2ヵ月半が経過。ソーシャルバイヤーや、中国インバウンド消費には実際にどのような影響が出ているのか。小売店は夏休みシーズンの注意が必要と分析するのはこちらの記事。⇒【詳細】春節インバウンドにイエローカード!? 中国のソーシャルバイヤー規制法「電商法」が与えたインパクトを分析(インバウンドニュースサイト「訪日ラボ」)

 

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