「着るだけでヘルスケア」、機能性アパレルブランドの躍進

ヘルスケアができる衣類と言うと例えば、むくみケアの着圧ストッキング、暑さ対策の冷感インナー、寒さ対策の温感ウェア、骨盤矯正ショーツ、最近だと生理用吸収ショーツなど。以前から市場には様々なヘルスケア衣類が出回っているが、特に近年はテクノロジーの進化により、ヘルスケア業界に進出するアパレルブランドの躍進が目覚ましい。アパレル業界だからこそ発想できるヘルスケア商品の企画・開発は、脱帽もの。衣類でどんなヘルスケアを提供しているのか?どんなヘルスケア悩みを解決しているのか?各社の事例を見ていこう。特に注目は、アパレルブランドと製薬会社のタッグで開発した患者特化の衣類。マス市場ではないものの、これまで置き去りにされてきた患者ニーズを確実に捉えた視点が実に参考になる。スモールマス市場で勝負をかけたい企業は必見。

着て疲労回復(イオン)

まずはイオンの事例から。イオンは今年9月、「着る、疲労回復」を訴求したパジャマを発売した。2019年に発売開始したリカバリーウェア「セリアントウェア」のシリーズで、一般医療機器登録商品としてこれまでにインナーウェア、トレーナー、パンツなどを発売してきた。セリアントとは数種類の鉱石を練りこんだ素材で、継続的に着用することで疲労回復・血行促進・筋肉の疲れを軽減するといった効果を期待できる。今回は睡眠に着目し、レディース向けとメンズ向けのパジャマを開発した。以下はセリアントウェアの紹介動画。

 

着てスキンケア(帝人フロンティア)

繊維商社の帝人フロンティアが開発したのは、着るだけでスキンケアができる衣料品型の化粧品ラフィナン®。肌に直接触れるように着用することで、肌荒れを防ぎ皮膚に潤いを与える。化粧品製造販売届け出済みで、化粧品として製造販売。2016年に発売を開始し、ヒップ、かかと、バスト、足・脚、手・腕など、部位別に順次商品化している。以下はラフィナン®の紹介動画。

 

乾癬患者に特化、製薬会社が衣類開発(ヤンセン)

ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門会社であるヤンセンファーマ(東京・千代田)が着目したのは、慢性の皮膚疾患である乾癬(かんせん)患者の衣類に対する不満・ニーズ。乾癬が理由でファッションを楽しめない患者の悩みを解決するアパレルブランド「ファクトファッション」を昨年11月に立ち上げた。

【出典】ヤンセンファーマ

乾癬は慢性の皮膚疾患で、日本では約50〜60万人の患者がいるとされている。特徴的な症状は、皮膚が赤くなる、皮膚が盛り上がる、細かいかさぶたができる、フケのようにボロボロとはがれ落ちる、関節の痛みや腫れ。同社の調査によると患者の約7割が、こういった症状を背景に衣服に関するストレスを抱えていることがわかった。例えばこんな悩みだ。

  • 衣類の襟元の擦れ・刺激により、首回りの症状が悪化する
  • 剥がれた皮膚片が襟元や肩などに溜まる
  • 剥がれた皮膚片が襟や裾から落ちる
  • 衣類が肌に擦れる刺激から、症状が悪化する
  • 関節炎・爪の変形が起きることで、衣服の着脱が難しくなる
  • 皮膚からの出血で血液が衣服に付着する

こういった乾癬患者特有の悩みに特化したのが、乾癬患者会とサザビーリーググループのメゾンスペシャル(東京・渋谷)の協力のもと、ヤンセンファーマが立ち上げた「ファクトフアッション」。製薬会社が乾癬患者とアパレル企業とともに衣服ブランドを立ち上げたのは日本初。実際の商品はファクトファッションのHPより確認できる。悩みを解決しながらファッション性にもこだわったデザインだ。以下動画ではプロジェクト担当者やデザイナーらが開発背景や想いを語っている。

 

障がい者に特化、アダプティブファッション(トミー・ヒルフィガー)

最後にご紹介したいのは、アダブティブファッション。アダブティブファッションとは障がいのある人がスムーズに着脱できる衣類を指す言葉で、アパレル大手のユナイテッドアローズや、世界的ブランドのトミー・ヒルフィガーなどが牽引している。知名度の高い人気アパレルブランドが手がけたとだけあって、機能性とファッション性の両立はパーフェクト。特にご覧いただきたいのがトミー・ヒルフィガーと、障がい者のランジェリーに特化した米国のインティメトリー。

障がい者や高齢者向けというと、実用性ばかりが追求されデザインへの配慮が大きく欠けているものが多いが、上記2ブランドはそんな空気を一切感じさせない。詳細は以下の記事に掲載。

 

 

 

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