ホワイトニング製品で歯にダメージ、米研究で示唆

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輝くような白い歯を手に入れるためには、「歯の健康」という高い代償を払わなくてはならないかもしれない―。米ストックトン大学化学科准教授のKelly Keenan氏らによる研究から、市販されている歯のホワイトニングストリップ(歯のホワイトニング用テープ)が歯に構造的なダメージを与える可能性があることが示された。この研究結果は実験生物学会(EB 2019、4月6~9日、米オーランド)で発表された。

歯は複数の層で構成されており、一番外側は歯を保護するエナメル質で覆われ、その下には象牙質がある。象牙質には大量のタンパク質が含まれており、そのほとんどはコラーゲンと呼ばれる物質が占めている。

Keenan氏らは今回、市販されているホワイトニングストリップを用いて3つの実験を行った。まず、歯を人工唾液に浸して口腔内に似た環境を再現し、ホワイトニングストリップを推奨されている通りに20~60分間にわたって歯に装着した。この実験は20回行った。

その結果、ホワイトニングストリップに含まれる過酸化水素への曝露によって、象牙質の主なタンパク質がより細かな断片に変化する様子が観察された。また、別の実験ではコラーゲンそのものを過酸化水素で処理したところ、コラーゲンは消失したという。

Keenan氏は「市販のホワイトニングストリップを用いると歯のタンパク質が失われることが分かった」と説明している。今回の研究では市販品のみが検討されたが、歯科医が使用するホワイトニングストリップにも過酸化水素が使用されていることから、同氏は「歯科医による治療でも同様のダメージがある可能性は否定できない」と指摘している。

一方、この研究には関与していない米ニューヨーク・プレスビテリアン・ブルックリン・メソジスト病院歯科門長のJames Sconzo氏は「歯に有害なものは、どんなものでも問題だ。また、ホワイトニングによって歯の硬度が落ちるとする報告書も読んだことがある」と話す。ただし、同氏は、ホワイトニングをした人でう蝕の罹患率に上昇は認められていないとし、「臨床的には、ホワイトニングよりも加糖飲料などによる歯への悪影響の方が問題だ」と指摘している。

また、Sconzo氏は、今回の実験で使用された製品よりも高い濃度の過酸化水素を使用したホワイトニングを長年にわたって行ってきたが、危険を感じたことはなかったという。そのため、「私の経験では、臨床的にホワイトニングによる歯のダメージが見られたことはない」と同氏は話している。

なお、口腔内の自然な状態の歯が過酸化水素に曝露した場合、タンパク質が再生されるかどうかについては、今回の研究では検討されなかった。しかし、Sconzo氏は「象牙質は生きた細胞マトリックスだ」として、再生される可能性が高いとの見方を示している

今回の研究結果について、HealthDayは米国歯科学会に取材を試みたが、回答は得られていない。なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.

 

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