ヘルスケアビジネスとは?市場規模と国の政策コンセプト(1/3)

2025年には市場規模が33兆円にまで成長すると見込まれているヘルスケア産業。今後、国内のヘルスケアビジネスの市場チャンスはどこにあり、どのようなポイントで事業を進めていけば良いのか?ヘルスケア産業の定義、政策、注目のヘルスケア企業を見ると参考になる。本稿ではヘルスケアビジネスの全体像を確認したいビジネスパーソンに向け、ヘルスケア産業を網羅的に解説する。最後に、女性向けヘルスケアビジネスの市場チャンスと考え方について紹介。

ヘルスケアビジネス、拡大する市場規模

ヘルスケア産業の市場規模は33兆円へ

高齢化率の上昇、平均寿命の延伸、健康ブーム、IT技術の発展を背景に拡大を続けるヘルスケア産業の市場規模は、2016年の約25兆円から2025年は約33兆円にまで成長すると予測されている(経済産業省推計)。これまでヘルスケアとは関連のない企業がヘルスケア事業に参入する事例や、ヘルスケアを軸にコラボレーションし新しいヘルスケアビジネスを創出する事例が増え、ヘルスケアベンチャーも次々に誕生している。成長市場として熱い視線が寄せられているヘルスケアビジネスだが、そもそも、その領域とは?国はヘルスケア産業の領域を「直接健康に働きかけるもの」と定義し以下2カテゴリーに分類している。

  • A)健康保持・増進に働きかけるもの
  • B)患者/要支援・要介護者の生活を支援するもの

これはさらに分野別に分類される。各分野の定義と各分野の市場規模を見てみよう(以下画像をクリックすると拡大します)。

なお現時点で定義されているヘルスケア産業の中には、健康志向住居、健康関連アドバイスなど、” 今後新たに産業化が見込まれるが、現時点では定義されていない商品・サービス ” や、” 化粧品・美容グッズといった美容関連商品 ” は含まれていないので、それらも含めると市場規模はさらに大きくなる。ヘルスケア産業の各分野の定義・市場規模・商品・サービス事例は、「平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業 調査報告書(平成30年3月)(p.482〜493)」から確認できる。

ヘルスケアビジネスとは?女性のヘルスケア領域

国が定義・分類しているヘルスケア産業は上述の通りだが、女性のヘルスケアビジネスを考える際はここに美容領域も加えたい。健康ブームにより健康的な生活が美容に良い影響をもたらすという考えが広まったことで、美容と健康をセットで考えるのが一般的になってきた。また企業も、美容商品・サービスをヘルスケアと捉えマーケティングを行う事例が増えている。健康と密接に関係している美容領域も広義ではヘルスケア領域と捉える空気が醸成されていることを考えると、美容関連ビジネスもヘルスケアビジネスに含めることができる。

経済産業省によるヘルスケアビジネス加速に向けた政策

国内の現状と課題

国がヘルスケア産業の加速に力を入れている背景には、国内の以下の状況がある。現状と課題を見てみよう。

1.高齢化率の急激な上昇

高齢化率の急速な上昇により、将来的に労働力が減少し経済活動が停滞することが懸念されている。労働力を確保する施策が急務。

2.社会保障給付費の増加

社会保障給付費は年々増加し、2016年度は118兆円(経済産業省)。医療給付費は、現在の36兆円から2025年は54兆円へ、介護給付費は現在の9兆円から2025年に20兆円にまで増える見込み。増大する社会保障給付費を抑える施策が必要だ。

3.1人あたりの年間医療費、65歳以降で増加

1人あたりの年間医療費は65歳以降で急速に増加し、80歳以降は入院にかかる費用の割合が高くなる。高齢者の医療費を抑える施策が必要だ。

4.医科診療費の3分の1以上が生活習慣病

医科診療費の3分の1以上は生活習慣病関連で、次に多いのが老化に伴う疾患。生活習慣病の予防と健康寿命延伸の施策が必要だ。

5.特定健康診査の未受診者数2,790万人

40〜74歳の人を対象にしたメタボ健診「特定健康診査」の未受診者数は2,790万人にのぼる。男性は定年退職の時期にあたる60歳以降で未受診者の割合が高くなり、女性は全年代において半数以上が未受診者という状況だ。専業主婦やパートタイマーで働く女性たちが健診機会を逃していると考えられる。医療費抑制と高齢期の健康づくりのためには、特定健康診査の受診者数を増やし、未病の早期発見・早期治療を促すことが重要だ。

6.平均寿命と健康寿命の差が約10年

平均寿命と健康寿命の差は、男性9.02年、女性12.49年。長生きをする女性の方が要支援・要介護の期間が長い。健康寿命を延伸させ、平均寿命との差を小さくすることが重要。

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