進化する睡眠プラン、ホテル業界で広がるスリープテックの活用

睡眠を前面に打ち出した宿泊プランが、ホテル業界で広がっている。”宿泊中の快眠”を訴求した寝具や香りなどの空間づくりやアメニティ用品の提供といった従来のコンセプトとは異なり、”宿泊後の快眠”のために現状の睡眠状態を解析するのが、最近のトレンドだ。自宅では揃えることができない専門機器の活用や医師によるアドバイスなど、プラン内容は、医療機関を受診しているかのように本格的。事例を見てみよう。

最新鋭のスリープテックホテルを開業(NTTデータ)

ホテル事業や睡眠事業を手がけるナインアワーズ(東京・千代田)とNTTデータは今年8月、品川にスリープテックホテルを開業する。全70床のすべてのカプセルユニット内にナインアワーズが提供する睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」を実装。宿泊した人の睡眠データを、赤外線カメラや集音マイク、体動センサーで収集し、心拍数やいびき、無呼吸になった回数、時間などのデータを睡眠レポートとして客に提供する。今後は脳波や深部体温センサーなど最先端のセンサーテクノロジーを活用するほか、Fitbitによる日常の睡眠モニタリングやGoogle Cloudを活かしたビッグデータ解析と連携し、各種データの統合解析を実現する予定。今月より予約受付を開始HP

NTTデータが開業するスリープテックホテル

【出典】ナインアワーズ

 

 

AIが脳波解析、チェックアウト時に医師のアドバイスも(ホテル椿山荘)

ホテル椿山荘(東京・文京)が今年3月に提供を開始したのは、脳波計測デバイス「InSomnograf」を用いた宿泊プラン。宿泊者は、宿泊前の自宅と宿泊中の客室内の就眠時に脳波を計測。取得したデータをAIが解析し入眠までの時間や眠りの深さ、中途覚醒の時間など約20の睡眠指標を算出する。チェックアウトの際に、ホテル館内にあるクリニックの医師から睡眠改善に向けたアドバイスを受ける。判定付きのレポートは後日、WEB上で閲覧できる。提供は2024年12月末までHP

ホテル椿山荘 睡眠脳波計測付きステイ

【出典】S’UIMIN

 

 

客室で「睡眠専門検査」、結果レポートは自宅へ(東横イン)

通常は医療機関に申込みが必要な「睡眠専門検査」を、客室で受けられるプラン。 宿泊者は検査機器(パルスオキシメーター)を手首に装着し就寝。「酸素飽和度」と「脈拍数」を測定し、主に睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかどうかを判定する。検査データの解析は、睡眠や呼吸器内科を専門とするクリニックが行い、後日レポートを自宅へ届ける。総合的な評価を希望する人に向けては、測定に加え、睡眠問診に基づいた分析がされるプラスアルファのプランも。提供は横浜エリアと新大阪駅東口の東横インのみで、2021年4月より開始しているHP

 

 

 

 

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