スリープテック市場は前年比175%で100億円を突破、参入企業は多様化

2023年のスリープテック市場は前年比175%の105億円、2026年に175億円に達するとの推計を、矢野経済研究所が発表した。事業者売上高ベースで、製品・サービス・システム利用料・アプリ使用料を対象とした。

AI・ITなどの技術を活用して睡眠改善を目指すスリープテック市場は、寝具・家電・アプリ・ゲームなどの個人向け製品や、健康経営などの法人向けサービスで構成され、睡眠が健康や生産性などと関連があることを示唆する研究が蓄積されていることに加え、睡眠への社会的関心が依然として強いことから、今後も市場は成長すると見ている。​

製品開発はこれまで医療機器メーカーを中心に行われてきたが、近年ではヘルスケア企業・寝具メーカー・電機メーカー・通信サービスを提供する企業に加え、大学発のスタートアップなども参入し多様化している。健康経営サービスも増えており、計測デバイスや睡眠改善への介入方法などで差別化を図っている。中には、主観的な睡眠評価をもとに、睡眠改善アドバイザーなどの専門家が介在するサポート型のソリューションを展開する企業も見られるという。

睡眠領域で伸びている注目の関連市場は、睡眠をサポートする健康食品の市場。2023年は前年比147.7%で768億円へと急拡大しており、2025年には1,000億円に到達する見込み。この市場は2015年の機能性表示食品制度の開始によって形成が始まり、コロナ禍による良質の睡眠へのニーズや、睡眠の質向上などを訴求する「Yakult1000」の大ヒットにより市場が急伸した。だが先月に始まった小林製薬の紅麹を巡る問題で、人々の健康食品全般に対する消費マインドが変化する可能性があり、快眠ニーズを安心・安全な方法で満たすソリューションとして今後、スリープテックを選択する動きが目立つようになるかもしれない。

また、今年2月に改定された睡眠ガイドラインも、スリープテック市場に影響する可能性がある。今回の改訂ポイントは、「こども」「成人」「高齢者」「妊娠期」「子育て期」「更年期」と、ライフコースやライフステージの視点から睡眠時間や睡眠課題、対策などをまとめた点で、各属性特有の課題やニーズが顕在化するとともに、企業各社による機能開発やマーケティングに新たな視点が生まれることが期待される。

 

 

 

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