「見えない副作用」の可視化で患者のQOL向上を、鍵はデジタル活用とPRO

医薬産業政策研究所は今月、製薬企業や医療機器企業を対象に今月8月に開催したフォーラム「“国民の皆様にとっての医薬品・DTxの価値”について考える」の中で発表された各セッションの要旨を、レポートに取りまとめ公開した。

フォーラムは、医薬品とDTx(デジタルセラピューティクス/治療用アプリ)の多様な価値や評価を整理するとともに、その価値を国民に周知する方策を議論することを目的に開催したもので、会場とオンラインを合わせて500人強が参加した。生活者を対象に実施した「医薬品の価格や制度、価値に関する意識調査」の結果や、DTxの特徴・医療的価値・社会的価値、医師や患者の医薬品の価値を高めるための産業側からのアプローチ方法などについて、同研究所の研究員やアカデミア、オンライン診療サービスの事業者などが発表した。

がん罹患と就労に関する政策提言を行うキャンサー・ソリューションズ(東京・千代田)の発表は、「ペイシェント・ジャーニーに寄り添う医薬品とDTx」。がん患者目線での、医療・健康領域のデジタルにおける課題と期待について語り、デジタルの活用によって、治療中における”見えない副作用”が可視化されることを期待していると述べた(詳細はpp.4-7)

“見えない副作用”とは検査による数値化が難しいもので、例えば「吐き気」「倦怠感」「便秘」「立ちくらみ」「生理不順」「ホットフラッシュ」「不安感」「不眠」などがそれにあたる。「脱毛」「むくみ」「体重増の増減」など、医師が検査や目視で確認できる”見える副作用”と比べると評価されづらく、医師や周囲から軽視されがちであることが課題とされている。この解決については、医師が評価するのではなく患者自らの主観で症状を評価・報告する「PRO(Patient Reported Outcome/患者報告アウトカム)」が重要とされている。

今後、PROとDTxを組み合わせた”見えない副作用”の可視化が進めば、患者のQOLは大きく向上しそうだ。

 

 

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