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妊娠前の肥満、新生児のビタミンK欠乏のリスク因子に 神戸大学が初の確認

神戸大学の研究グループは、妊娠前の母体の肥満(BMI25以上)が、新生児のビタミンK欠乏(VKD)の独立した危険因子であることを初めて明らかにした。肥満合併妊娠もVKDリスクとなる新たな因子であることが確認できたのは、本研究が初。研究成果は、今年9月に国際学術誌「Nutrition」に掲載された。

新生児はもともとビタミンKが不足しやすく、重篤な頭蓋内出血などを引き起こすビタミンK欠乏性出血(VKDB)のリスクを抱えている。これまで、母体の低栄養や消化器疾患が主なリスク要因とされてきたが、肥満は注目されていなかった。そこで本研究では、2018〜2023年にかけて神戸大学医学部附属病院に入院した新生児2,694例のうち、出生当日にビタミンK欠乏の指標となる血清マーカー(PIVKA-II)を測定できた症例を解析。その結果、母体のBMIが25以上であることと出生児のビタミンK欠乏(VKD)の発症は有意に関連し、肥満が独立した危険因子であることが示された。また、母体の妊娠前BMI値が高いほど、新生児の血清マーカー(PIVKA-II)の濃度も上昇するという正の相関関係も確認。肥満の妊婦は、体内の脂肪組織にビタミンKを取り込んでしまい、胎児への供給が不足する可能性が示唆された。

成果を踏まえ研究グループは、「本研究は、単施設・後方視的であるため、今後は多施設共同の前向き研究が必要。妊娠前肥満に対する周産期でのビタミンK評価や補充戦略の有効性を検証することで、新生児ビタミンK欠乏性出血(VKDB)の予防につながることを期待したい」とコメントしている。

 

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