バーチャル大腸内視鏡検査、利用者の9割が女性 受診率向上と新たな予防医療の手段に
八王子クリニック(東京)が提供する「バーチャル大腸内視鏡検査」が、日本テレビの人気情報番組「ヒルナンデス!」で4月に放映されてから、多くの反響が寄せられているという。
バーチャル大腸内視鏡検査は、内視鏡を大腸に挿入する必要のない検査で、AIとマルチスライスCT撮影による3D画像処理で大腸内を観察する。体への負担を大幅に軽減しながら、一般的な大腸内視鏡検査と同等の精度で検査できるのが特徴で、大量の下剤を飲む必要もなく、検査中の不快感や痛みもないため、これまで検査を避けていた人にとって、新しい選択肢となっている。
同クリニックによると女性の利用が圧倒的に多く、同検査を受診した人のうち女性が85%を占めるという(4月7日〜30日の受診者を集計)。これについて同クリニックは、従来の検査方法を避ける傾向は男性より女性に多い可能性を指摘している。背景にあるのは、女性の受診控え。一般的な大腸内視鏡検査では肛門からカメラを挿入し10〜15分ほど検査を行うため、恥ずかしさから受診しない女性は多くいるという。バーチャル大腸内視鏡検査でも肛門を露出する必要はあるが、わずか20秒ほどと圧倒的に短い。体への負担が少ないことに加え、こういった露出時間の大幅な短縮も、女性からの支持を得ているようだ。
患者側のメリットはそれだけではない。バーチャル大腸内視鏡検査は、大腸の病気はもちろん、大腸以外の病気も見つけられるのが特徴で、一度に幅広い病気の検査ができる。同クリニックの集計によれば、4月に検査を受けた男女66人のうち、病気が見つかったのは64%で42人。内訳を見ると、「大腸ポリープ」「大腸憩室」「慢性大腸憩室炎」など大腸の病気は18件、「子宮筋腫」「脂肪肝」「腎結石」など大腸以外の病気は42件で、大腸の病気よりも大腸以外の病気が見つかるケースの方が多かった。
集計結果を踏まえ同クリニックは、「本検査が、従来の検査方法以上に幅広い病気の早期発見につながる可能性があることを示している」とし、「バーチャル大腸内視鏡検査が単なる『大腸がんスクリーニング』を超えた、新しい予防医療の手段となり得る」とコメントしている。
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