訪問介護、従事者1.7万人減 事業所微増も「人」不足深刻 厚労省調査
厚生労働省は昨年12月、全国の介護サービスの提供体制を把握する介護サービス施設・事業所調査(※1)の2024年結果を公表した。在宅での医療ケアを支える訪問看護ステーションが前年比9.9%増の1万8042事業所となり、過去最多を更新。長期療養が必要な高齢者を受け入れる介護医療院も同15.9%増と大幅に伸びた。一方、ホームヘルパーらが働く訪問介護事業所の従事者数は減少傾向にあり、医療ニーズへの対応が進む一方、生活を支える基礎的な介護力の不足が浮き彫りとなった。
顕著だったのは、医療的なケアを含めたサービスを提供する拠点の増加。自宅で療養する高齢者に対し、看護師などが訪問して点滴や床ずれなどを処置する訪問看護ステーションは、前年から1619カ所増えた。高齢化に伴い、住み慣れた自宅で最期を迎えたいという希望や、退院後の在宅医療ニーズが高まっていることが背景にある。病院の空き病棟などを改修し、医療ケアが必要な要介護者向けの長期療養施設へと転換した介護医療院(※2)は、126施設増えて917施設となった。’24年3月末で廃止された旧来の介護療養型医療施設からの移行が完了し、医療と介護を一体的に提供する施設の整備が進んだ形だ。
制度の改正による数字の急増も見られた。要支援1・2の認定を受けた高齢者のケアプランを作成する介護予防支援事業所は、前年比39.4%増の7475事業所と急伸。’24年4月の介護保険制度改定で、従来は地域包括支援センターが主に担っていた要支援者のケアプラン作成業務を、民間の居宅介護支援事業所も指定を受けて直接担えるようになった影響が大きいとみられ、実際のサービスの担い手が広がったことを示している。
一方で、懸念されるのが在宅介護の足腰とも言えるホームヘルパーの不足。入浴や食事などの生活援助を担う訪問介護の事業所数は3万7264カ所と、前年から1.0%、359事業所の微増にとどまった。さらに深刻なのが働き手の状況。職種別の従事者数を見ると、ホームヘルパーは52万612人だった。前年の調査結果(約53万8千人)と比較すると1万7千人近く減少しており、事業所数は横ばいでも、現場で働く「人」が減り続けている実態がうかがえる。全産業平均より給与水準が低いことや、訪問先でのカスタマーハラスメントなどの課題から人材確保は難航しており、サービスの維持が危ぶまれる地域も出ている。
施設・事業所別に見ると、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)が8621施設(0.9%増)、老人保健施設が4214施設(0.8%減)と、横ばいの傾向が続いている。調査は’24年10月時点の状況を集計した。
(※1)介護サービス施設・事業所調査:全国の介護施設や事業所の数、働いている職員の数などを把握するため、厚労省が毎年10月1日時点で実施している統計調査。介護保険制度や報酬改定の基礎資料として使われる。
(※2)介護医療院:2018年に創設された介護保険施設の一つ。長期にわたり医療・介護を必要とする高齢者を対象に、日常的な医療管理から看取りまでを担う機能と、生活の場としての機能を併せ持つ。
【編集部おすすめ記事】
■育児・介護・ダブルケア就業者、2035年に女性677万人へ
■働く女性のためのサポートマップ、キャリア・育児・介護など50支援団体・企業を可視化
■家族が入居する介護施設のICT導入、どう思う? 「望む」理由と「望まない」理由
■介護を自分ゴト化させる取り組み、活発化 イオンリテール・MC・みんなの介護の事例
■女性ヘルスケアビジネス戦略ハンドブック2025 市場全体像とマーケティング基本施策






















