【事業者向け】女性の健康課題に対応するマニュアル公開、厚労省
厚生労働省は今月、働く女性の健康課題に対応するため、定期健康診断(健診)の問診運用に関する2種類のマニュアルを公表した。健診の問診票に月経や更年期に関する項目が追加されることを見据えた措置で、企業に対し、これまで「個人の問題」と片付けられがちだった女性特有の不調を、組織の生産性に直結する経営課題として捉え直し、具体的な支援体制を構築するよう求めている 。
公表したのは、健診機関が問診する際の手順を示したマニュアルと、健診の結果を受けて事業者が講ずべき対応策をまとめたマニュアルの2種類。
このうち事業者向けのマニュアルでは、健診を単なる病気の発見にとどめず、従業員への就労支援のきっかけとして活用する手順を体系化した。具体的には、健診機関が問診で「女性特有の健康課題で仕事に困っているか」を聞き取り、該当者には専門医の受診を促す。本人の同意がない限り、個別の問診結果が企業に伝わることはない。このため企業は、従業員が医師の診断を受けた後に安心して相談できる体制を整えておく必要がある。
マニュアルは、女性特有の健康課題がホルモン変動という医学的要因に基づくものであり、個人の資質や管理不足によるものではないと明記した。日常生活に支障をきたすほどの月経困難症や、精神的な浮き沈みを伴う月経前症候群(PMS)、さらにホルモンバランスの激変で心身が乱れる更年期障害などは、治療が必要な病態であるケースも多い。 これらの課題を放置することは、出勤していてもパフォーマンスが低下する「プレゼンティーズム」を招き、企業にとって見えない損失になると指摘。従業員が自身の健康課題に早期に気づき対処することは、企業の生産性維持に不可欠とした。
職場での具体的な配慮例も示した。物理的な環境改善としては、更年期のホットフラッシュやのぼせ対策として、空調の柔軟な設定や個人が調整しやすい座席への移動など。制度面では、業務量や業務内容の調整、在宅勤務や午後出社・早退を認めることなどを挙げ、症状に応じた柔軟な働き方を推奨している。
支援策を導入する際、壁となりがちなのが社内の不公平感。特に男性の従業員から「女性だけ優遇されているのではないか」といった声が上がる懸念がある。この点についてマニュアルは、明確な回答指針を示した。性別に関わらず全ての従業員の健康を支援するのが会社の方針という前提に立ち、「女性特有の健康課題について専門家につながるきっかけを作るための国が推奨する取り組み」と説明するよう求めている。多様な人材が能力を発揮できる環境整備の一環という位置づけだ。
企業の担当者は、制度設計と同時に、管理職研修などを通じて健康課題への配慮はマネジメントの一環という意識改革を全社的に進めることが急務となる。
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