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妊婦や高齢者に迫る暑熱リスク深刻化、メンタルヘルスにも影響 「気候変動報告書2025年度版」環境省

環境省は今月16日、気候変動が国内にもたらす影響を科学的知見に基づき評価した第3次「気候変動影響評価報告書」を公表した。農業や自然災害など全7分野80項目を対象に、影響の重大性や緊急性を、それぞれの情報の確信度とあわせて3段階で評価。健康分野では、暑熱による死亡リスクや熱中症について、現状から将来にわたって最も深刻な「レベル3」と判定し、対策の緊急性を強く訴えている。

報告書は気候変動適応法に基づきおおむね5年ごとに作成される。今回は前回2020年の約1.7倍にあたる2186件の学術文献を根拠とし、評価項目も9項目増やした。重大性の評価を従来の2段階から3段階に細分化し、「現状(約1℃上昇時)」「1.5〜2℃上昇時」「3〜4℃上昇時」の三つの場合でそれぞれ影響を分析した。

健康分野では、暑熱に関する評価項目「死亡リスク」「熱中症」「疾病発生・悪化、死因別死亡リスク」の3項目が、いずれも最も深刻度が高い評価となった。報告書によると、24年の熱中症による救急搬送者数は過去最高の9万7千人超を記録し、人口動態統計に基づく死亡者数も2千人を超えた。高齢者の割合が高く、住宅内での発症が多いことや、重症化しやすい傾向を指摘した。将来予測では、温室効果ガスの排出削減がほとんど進まないシナリオの場合、21世紀半ばまでに搬送者数が現在の最大4.5倍に増える可能性がある。暑熱に対して特にぜい弱な集団として、報告書は高齢者、小児とともに妊婦や胎児を明記した。高温環境が妊婦や胎児の各種の健康リスクを高めることが確認されていると指摘している。

今回新たに独立した評価項目となったメンタルヘルスへの影響も注目される。気温の上昇に伴い自殺リスクや自傷行為による救急搬送リスクが増加することが報告され、重大性は「レベル3」と判定された。自然災害の激甚化がもたらす精神的影響も含め、気候変動と心の健康の関連に科学的根拠が積み上がりつつある。感染症分野では、デング熱を媒介するヒトスジシマカの生息域が16年以降、青森県まで北上していることを確認。将来的には国土の75〜96%に拡大する可能性を示した。

同省は本報告書を踏まえ、26年度中に気候変動適応計画を改定する方針。報告書は「気温上昇を2℃未満に抑えれば、気温に関連した死亡の大幅な増加を抑制することが可能」としており、緩和策と適応策の両輪による対応が急務となっている。

 

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