働く女性の更年期障害、受療率は6年で約1.4倍に 全国約583万人の保険請求データを分析

更年期に対する社会的関心の高まりや健康意識の向上が、女性の受診行動にも影響しているのかもしれない。秋田大学などの研究グループが、働く女性の更年期障害の受療率の上昇を確認した。ただ、受療率は一般的に報告されている更年期障害の有病率よりも低く、症状があっても受診していない女性は多いとみられる。受診につながる環境づくりや啓発が、引き続き課題だ。

働く女性の更年期障害の受療実態を分析

秋田大学大学院医学系研究科の野村恭子教授らの研究グループは、働く女性の更年期障害の受療率や併存症、医薬品の処方状況を、全国の診療報酬請求データから分析。更年期障害の受療率は2016年~2022年にかけて約1.4倍に増加した。また、診断を受けた女性の約6割には睡眠障害などの併存疾患があり、約4人に3人が医薬品の処方を受けていた。研究成果は、今年6月、国際学術誌『Maturitas』に掲載された。

働く女性約583万人のデータを分析

更年期にはさまざまな心身の不調が現れるが、症状があっても医療機関への受診や相談につながるとは限らない。働く女性がどの程度受診し、どのような併存症や処方の実態があるのか、全国規模のデータに基づく把握が求められていた。そこで研究グループは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の診療報酬請求データを用いて、2016~2022年度における45~57歳の被保険者女性、約583万人を対象に分析。更年期障害の受療率を年ごとに調べるとともに、診断を受けた女性にどのような併存症があり、どのような医薬品が処方されているかを調査した。

更年期障害の受療率は約1.4倍に

分析の結果、更年期障害の受療率は、10万人を1年間観察した場合に換算すると、2016年の約6800人から2022年には約9500人へと増加した。年齢別に見ると、45〜49歳よりも50〜57歳の女性で受療率が高かった。

また、更年期障害の診断を受けた女性の約58%には、少なくとも1つの併存症があった。併存症で最も多かったのは睡眠障害(約26%)で、次いで高血圧(約21%)、頭痛(約18%)だった。

医薬品の処方状況では、診断を受けた女性の約75%が少なくとも1種類の医薬品を処方されていた。薬剤では漢方薬が最も多く、診断を受けた女性の約40%に処方されていた。次いで、ホルモン補充療法(HRT)に関連する医薬品が多く、約30%に処方されていた。

秋田大学大学院医学系研究科「働く女性における更年期障害の受療率と併存症、処方実態に関する研究」

【出典】秋田大学大学院医学系研究科「働く女性における更年期障害の受療率と併存症、処方実態に関する研究」

 

更年期女性の包括的な健康支援に向けて

研究グループは、診療報酬請求データから推定された更年期障害の受療率が、一般的に報告されている有病率よりも低いことから、更年期症状があっても医療機関を受診せず、適切な治療を受けられていない女性が多く存在する可能性を指摘。また、本研究では症状の重症度を考慮できていないほか、対象者も限られることから、今後はさまざまな背景を持つ女性を対象に、さらなる検証が必要としている。

 

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