AIで進化する最新メイク事情 バーチャルメイクが人気の理由

AIがメイク業界に新しい販売機会をもたらしている。企業側は、商品購入前のタッチアップや試し塗りを必要としないメリットを強みに、個々に似合うメイクアップアイテム販売につなげている。一方で女性たちは、「色選びに失敗しない」「自分の顔に似合う・似合わないを事前にチェックできるので、納得してから購入出来る」「新しいメイクや色にチャレンジしやすい」と購入意欲を掻き立てられ、メイク選びをより一層楽しむように。AIメイクで、業界も女性もどちらもハッピー!

AIの活用でバーチャルメイクが可能に

AI・AR技術を活用したメイク機能、「バーチャルメイク」

AI(人工知能)によって化粧品の特徴を分析し、その後AR(拡張機能)によって実際のメイクのような仕上がりを瞬時に画面上に画像投影するのが「バーチャルメイク」。もっとも身近なのはスマートフォンのアプリ。バーチャルメイク機能を搭載したアプリで、スマホのカメラを通じて画面上に自分の顔が映し出され、アイシャドウやリップなど選択した色を自分の顔にのせていく。どんな色が自分の顔に合うのかを確認できる。

百貨店の売り場にバーチャルメイクを試せるスペースを展開した例もある。専門店の前に設置された画面に自分の顔が映し出され、実際に店舗内で販売されている商品を選択しイメージを確認できる。

ネット通販では2019年「Amazon」が、モバイルサイトやショッピングアプリ上でも試せる“バーチャルメイク機能”を導入している。フランスの化粧品会社ロレアルグループの傘下であるモディフェイスのAI技術とARを活用し、890点以上のリップアイテムの試用を可能にした。対象商品は、5つの化粧品会社(日本ロレアル、資生堂、カネボウ、コーセー、花王)の計18ブランド。リップアイテムからの導入となった背景には「購入前に色味を確認したい」というユーザーの強い要望があったとのこと。

AI・AR技術を活用したメイク機能でできること

バーチャルメイクのメリットは、顔の特徴から最適なメイク方法を導き出したり、使用したことのないメイクアップアイテムをバーチャルで試せる点。これによって購入前に実際の商品の色味や質感、仕上がり具合を確認できる上に、気に入ればそのまま購入できる。モデル画像に試し塗りするのではなく、自分自身が写るライブ動画で試せる場合は、商品をつけた状態をさまざまな角度から客観的に見れる。コスメカウンターのライトやその時のファッションに左右されない印象を確認できるので、より満足度の高い購入ができる。

 

AIを活用したバーチャルメイクが普及している理由

バーチャルメイクが普及している理由には、どんな人でもスマートフォン一つで時間や場所にとらわれず化粧品のタッチアップを楽しめる“手軽さ”が大きい。またネットショッピングにおいて購入前の不安要素を払拭する点も、普及している理由の一つだ。

さまざまなブランドの化粧品を試せる

従来は、いくつかの商品を試すには一度顔に塗布したアイテムを落として次の商品をつけたり、百貨店であれば複数のブランドのコスメカウンターを歩いて回らなければならなかった。バーチャルメイクであれば、リアルではなかなか試すことがないブランドの化粧品も気軽にトライできる。クリック一つで、短時間で複数ブランドのアイテムを試すこともできる。唇や肌が弱く商品を何度も塗りなおせないような人でも、バーチャルメイクであれば気にせずに好きなだけ試用できるのも嬉しい。「試したのだから何か買わないと気まずい…」といったタッチアップ後の販売員への変な遠慮・気遣いやプレッシャーに振り回されないことも、バーチャルメイクが受け入れられている理由だ。

商品購入前に色を確認できる

ECサイトで化粧品を購入する際にこれまでネックとなっていたのは、「色味」を試せないことだった。特にリップやアイシャドウといったカラーが豊富なアイテムは、商品イメージを見るだけでは実際に自分の顔や肌にのせた時のイメージは湧きづらい。モデルが使用しているのを見て「あの色かわいい!」と思っても、実際に自分の顔にのせると「あれ?なんかイメージとだいぶ違う…」というのはよくある。イメージと実際の乖離を防ぐ方法として最近は自分の肌が「イエベ」なのか「ブルベ」なのかをカラー選びや購入の基準にする女性が増えているが、それでもやはり、実際に肌にのせてみないと不安だ。バーチャルメイクは、ネットショッピングにおけるそんな課題をクリアにした。

 

AIでメイクアドバイスも(オルビス)

顔の特徴や比率を明確にデータ化できるAI技術は、よりパーソナライズ化したメイクの提案も可能だ。オルビスはAI技術を活用し、スマートフォンでプロのパーソナルカラー診断をするサービスを提供。「ORBISアプリ」内で使用できるサービスで顔写真を撮影すると、4パターンのパーソナルカラーのどれに当てはまるかを診断。そこからさらに顔のパーツや比率に合った色や商品を提案し、自身の理想のイメージに合わせたメイクの仕方をアドバイスしてくれる。

AIメイク

出典:オルビス株式会社

時短×こだわりを実現したバーチャルメイク

時間も場所も関係なく、そして他人の目を気にせず化粧品を試せるのは忙しい現代人にとって一番のメリット。自分らしいカラーに出会うまでとことん試し続け、見つけたらすぐに買うことができるバーチャルメイクは、一見矛盾にも思える「時短」と「こだわり」を同時に実現する化粧品の新しい見つけ方だ。今のところ、バーチャルメイクを導入しているのは、アプリ、通販、専門店が主で、利用者はデジタルや新しいものに抵抗のない若い世代に多いが、メイクブランドや商品数を豊富に揃えるドラッグストアでも普及すれば、年代関係なく多くの女性たちが購入前のステップとして利用するはずだ。

 

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