理系女子が少ない理由とは?あるあるイメージと支援事業

女性の大学進学率は高くなっているが、理系に進む女子学生の割合はいまだ高いとは言えない。そんな少数派の理系女性を表現する言葉として生まれたのが、”理系女子”。一方で近年は理系進学者を増やそうと女子中高生に向けたユニークな取り組みが行われている。Twitter投稿「#理系女子あるある」を交えながら紹介。

理系女子とは?

理系女子の定義

「理系女子」とは、理系の学科へ進学した女性や、理系の仕事に就職した女性を指す言葉。理系女子を略して「リケジョ」と呼ぶこともある。旺文社教育情報センターのレポートによると2015年の大学入学者に占める女子の割合は、文系44%に対し理系36%。1975年の大学入学者に占める女子の割合が文系21%、理系9%であったことに比べれば40年で4倍に増えているが、いまだ文系優位の傾向は強い。

理系女子が注目されたきっかけ

「理系女子」が話題になったのは2011年10月14日、物理化学専門誌の「The Journal of Physical Chemistry」に、茨城県立水戸第二高校の卒業生(女子学生)らの論文が掲載され世界的に注目されたことだろう。水戸第二高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、理系教育に重点を置く学校だ。同校の数理科学同好会に所属していた生徒が書いた「BZ反応における新たな発見」が海外の専門誌に取りあげられたことで、科学を研究する女子学生の姿が注目され、各種メディアで「リケジョ」として報じられることとなった。

理系女子の特徴 世間が抱く一般的イメージ

少数派である「リケジョ」には、“あるあるリケジョイメージ”が定着している。多くの人が抱く一般的なイメージは以下。

  • 物事を理詰めで考えるのが好き
  • 論理的に思考するのが得意
  • 数字に強い
  • 常に理性的で感情的になることが少ない
  • いつも冷静で落ち着いた雰囲気
  • 派手なメイク・トレンドメイクよりも、薄化粧またはすっぴん派
  • 服のおしゃれに疎く、落ち着いたファッション・地味なファッションが多い
  • 興味や関心のあることに没頭しやすい
  • 人付き合いよりも、自分の時間に没頭したい・大切にしたい

他、SNSには以下のような「あるある」が投稿されている。

理系女子が少ない理由と支援体制

理系女子が少ない現状

高等教育機関への進学率の男女差は小さくなってきたが、理系学部で学ぶ理系女子は少なく、世界的に見ても理系業界で活躍する女性は男性と比べて少数派だ。大学・大学院の各専攻分野における女子学生の割合は、理学・工学が特に低い。2015年度の理学分野の女子学生の割合は大学で26.8%、大学院で21.7%。2015年度の工学分野の女子学生の割合は大学で13.6%、大学院で11.6%。一方、2015年度の人文科学分野の女子学生の割合は大学で65.5%、大学院で59.8%となっており、文系志向の女子学生が多数派であることがわかる内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書(概要版)平成28年版」

理系女子が少ない理由

理系女子が少ない理由はいくつか考えられる。

理由1.女子の進路として選択されづらい

理系の職業=男性の職業、女子=文系に進む、というイメージを持つ人は多い。また、一般的に女性は数字や論理的思考が男性と比べて不得手であることも理由として考えられるが、いずれにしても、進路として理系を希望する女性は少ない。高校や大学でそれを肌で感じたという人は多いのでは。

理由2.幼児期に理系への関心が育ちにくい

文系・理系の選択には幼少期の環境も影響するといわれている。幼少期に与える玩具などが、成長したときの興味関心に影響を与える。たとえば男の子はブロックやミニカーを、女の子は人形やおままごとセットが与えられることが多い。そのため、大きくなって理科の授業で力学台車や機械が登場したときに、台車や機械に小さい頃から馴染んでこなかった女の子は興味を持ちにくい傾向にある。女の子でも、兄弟がいて一緒にブロックやミニカーで遊んでいたような場合には、理系分野に興味を持ちやすいだろう。

理由3.身近にロールモデルがいない

身近に理系分野で活躍する女性がいないことも、理系の進路を選択しづらい要因の一つだ。中高生は、親や親戚など身近な人の影響を受けて自分の将来像をイメージする。理系女子はそもそも数が少ないので、身近にロールモデルがいないためにイメージしづらい。

理由4.友人に理系女子が少ない

理系女子は少数派な上に、さらに理学・工学・農学・物理・化学・生物・地学・数学・建築などさまざまな専門分野に分かれるため、興味・関心を共有できる友人を作りにくいという面も。

国内の理系女子の支援体制

理系の人材を増やそうという流れの中、少数派である理系女子の進路選択や情報収集を支援するプログラムやサービスも多数存在する。

女子中高生の理系進路選択支援プログラム

(独)科学技術振興機構(JST)による、研究開発を行う機関に支援金を支給するのが「理系進路選択支援プログラム」。女性研究者・女性技術者・女子学生が所属する。女子中高生が科学技術分野で活躍する女性と交流することで、理系分野への関心を高め、理系進学を促すことを目的としている。 1件あたり年間300万円の支援費が2年間に渡って支給される事業で、平成30年には10件が選ばれた。

交流会、実験教室、出前授業など、活動内容は幅広く、立教大学での「科学の未来を創る女子中高生チャレンジ・ラボ」、同志社大学での「科学するガールズ養成プログラム」などがある。立教大学では、理学部で「美しき化学の世界〜色が変わる金属錯体〜」という実験体験講習会が行われたり、企業見学で最新技術のセミナーや理系出身社員との交流会が行われている。同志社大学では、ガールズサイエンスキャンプを実施し、企業から女性技術者を招聘して、女子中高生や保護者と交流したり、大学施設を利用して科学の実験講座を行っている。

Rikejo(リケジョ)

講談社による理系女子のニーズに特化した情報を配信する民間サービス「Rikejo」。理系に関心がある女性なら誰でも無料で会員になれる。科学ニュースや進学・就職情報、理系に進学するための勉強方法など多彩なコンテンツを配信。「Rikejo Q&A」では、理系特有の悩みを先輩リケジョに相談することも可能だ。

リケジョの興味をかき立てるような科学イベントも開催している。「ミライリケジョ〜ものづくりカフェ〜2019」では、女子中高生100名を対象に女性研究者のトークセッションや小型ロボットを使ったワークショップ、現役大学生・大学院生を迎えての交流会などを実施した。

「理系女子」表現に疑問の声も

注目が集まる「リケジョ」だが、そのネーミングに疑問を頂く声も。

どちらにせよ、女性だからといって理系関連に興味関心を抱かないわけではないし、男性主体だった場で女性も同じく活躍できるようになっているのはプラスの潮流だ。以下動画は「リケジョの就活事情」。論理的な回答はさすがリケジョ!

 

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