広がる介護予防体操、目的・効果・事例(1/3)
長寿社会を迎え、いかに元気な状態で長生きするかが重視される中、健康体操の一つとして「介護予防体操」の取り組みが全国各地で増えている。各教室では介護予防体操のプログラムが組まれ、多くの高齢者が参加する。実際、介護予防体操により認知機能のうち注意力が改善したり、歩行速度改善が見られるなど、取り組み効果が出てきている。
目次
介護予防体操とは?目的・効果・実施場所
介護予防体操の目的
介護予防体操とは高齢者の介護予防を目的に行う体操のことで、要介護状態にならないよう、加齢とともに衰えていく身体機能の維持・向上を図る。介護予防体操は主に以下を目的としている。
- 要介護状態になることをできる限り防ぐ(遅らせる)
- 要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐ
- 要介護状態の軽減を目指す
- 生活機能(活動レベル)の向上により高齢期のQOLの向上を目指す
介護予防体操の重要性が高まっている背景
介護予防体操が近年多くの場所で行われるようになっている背景には、介護予防の重要性の高まりがある。
背景1.平均寿命と健康寿命の差
日本は平均寿命と健康寿命(※)の差が大きい。平均寿命と健康寿命の差は男性で8.84年、女性で12.35年。介護に頼って生活しなければならない期間が男女ともに10年前後あることになる。長生きしても自立した生活を送れなければ、医療費や介護費の負担増に加え著しいQOL低下を招く。平均寿命と健康寿命の差を縮める必要がある。(※)健康寿命=日常生活に制限を受けず自立して生きられる期間のこと
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背景2.増大する社会保障給付費
65歳以上の要支援者・要介護者は年々増え続けており、特に75歳以上の要支援・要介護認定者の割合が高い。
今後も高齢化が進むと予測される中、介護給付費は2025年には20兆円に達すると試算されており、要支援者・要介護者の増加を食い止め社会保障給付費を抑える施策は急務である。
主に上記2つの背景から、介護予防体操の重要性が近年急速に高まっている。