化粧品市場、価格の二極化が進行 需要は「高価格帯」と「低価格帯」で拡大傾向に
富士経済は先月末、化粧品市場の動向を発表した。2024年はマスクを外す日常が戻ったことで、ベースメイクの需要が本格的な回復に入った。スキンケアではシートパックの使用習慣拡大や、ヘアケアのプラスワンアイテムの発売活発化など、スキンケアやヘアケア・ヘアメイクにおける行程数増加が図られ、市場は前年を上回った。また訪日外国人観光客の増加で、内資系ブランドに留まらず、為替の影響で外資系プレステージブランドのスキンケアやフレグランスも需要が増加。市場はコロナ前の2019年を上回る3兆2,246億円となった。
2025年は、コロナ禍からの回復が一巡し市場の伸びは鈍化。しかし、配合成分や処方技術に対する消費者の関心が高まり、機能性訴求による単価アップがスキンケアやヘアケア・ヘアメイクなどの複数のカテゴリーで進んでいることに加え、行程数の増加が続いていることから、市場は拡大を維持すると見られる。
化粧品7カテゴリー(スキンケア、ベースメイク、ポイントメイク、ヘアケア・ヘアメイク、ボディケア、フレグランス、メンズコスメティックス)について、「高価格帯」「中価格帯」「低価格帯」に分類し、価格帯ごとの市場動向も明らかにした。価格帯は、高価格帯と低価格帯の二極化が進行。2019年時点では中価格帯がボリュームゾーンだったが、2025年には高価格帯が約40%、中価格帯が35%、低価格帯が25%を占める見込み。
■高価格帯市場:「メリハリ消費」「失敗しない買い物」で拡大
高価格帯では、2024年は前年比5%以上の増加となった。原料高騰などで値上げが相次ぎ、消費者の一部は中価格帯へシフトしたが、スキンケアやベースメイクでは品質を重視する消費者の意向も根強く、美容液などのスペシャルケアアイテムで高価格帯商品を選択する”メリハリ消費”が見られた。また、ヘアケア・ヘアメイクでは”美髪課金”がSNSなどで発信されたことで、スキンケアと同様に、成分や処方を訴求する効果の期待感が高い商品が伸びた。2025年は、失敗しない買い物への志向が一層強まっており、効果に定評のあるスター商材のリニューアルや派生品の投入が活発に。市場はさらに拡大すると見られる。
■中価格帯市場:苦戦も、機能性と価格のバランスに評価
高価格帯と低価格帯への需要二極化によって苦戦しているのが、中価格帯。だが、スキンケアやベースメイクのマス向けカウンセリングブランドが、機能性と価格のバランスが取れた商品として評価され2024年は好調に。また、従来低価格帯での展開を主軸としてきた韓国ブランドのスキンケアが成分を訴求して中価格帯で展開するケースが増え、市場は拡大。2025年も引き続きマス向けカウンセリングブランドや、韓国ブランドのスキンケアが成分や機能性で支持され市場をけん引すると見られる。一方で、ポイントメイクやヘアケア・ヘアメイクは、価格二極化の影響で苦戦。複数のマス向けカウンセリングブランドの終了もあり、苦戦が続いている。
■低価格帯市場:韓国ブランドなどトレンドメイク需要を取り込み拡大
2024年は、前年比5%以上の拡大となった。スキンケアはシートパックの日常使いが定着、ポイントメイクは韓国ブランドの取り扱い拡大が加速し、トレンドメイクを求める消費者の需要を取り込んだ。ベースメイクではカバー力やラスティング効果を訴求したクッションファンデーションが伸びた他、コンシーラー、ハイライトなどのプラスワンアイテムを取り入れる消費者が増加し好調だった。2025年も市場は拡大する見通し。引き続き、シートパックやクッションファンデーションの需要が伸びている他、ポイントメイクでは、リップカラーやマスカラなどで1,800円前後の比較的高単価なアイテムの投入が増加。ミニサイズアイテムの展開で、トライアルや複数買いの促進が見られる。
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