女性を華やかなVR空間へ、美容企業のバーチャルマーケ事例3選

近年のVRブームにCOVID-19による全国的な自粛も手伝い、イベントやプロモーションをバーチャル開催する事例が各業界で増えている。音楽、観光、ゲーム、ファッションなど、映像映えのする業界は相性が良く特に積極的。ヘルスケア業界はというと、若年・中年世代をメイン顧客に抱える美容系企業での採用が目立つ。華やかで洗練されたVR空間づくりは、やはり美容企業が得意とするところ。クオリティの高い体験を提供している。美的、資生堂、コーセーが公開しているVR空間を、実際に当記事で体験してみよう。

バーチャルイベント(美的)

美容3大誌の一つ「美的(小学館)」は、今年で創刊20周年を迎えることを記念し、バーチャル空間でのイベント「バーチャル美的フェス 2021 Spring」を、4月24日(土)より開催している。コロナ禍でリアルイベントの開催が難しいことから、バーチャルでの開催を決めた。

【出典】美的

【出典】美的

バーチャル空間は全6フロアで構成されており、スマホやパソコン上でビルに入館後は、エレベーターで自由に移動できる(このビルは実在しない建物)。各フロアには美的ならではの美容コンテンツが用意されており、それぞれのゾーンで出現するアイコンをクリックすることで、視聴や雑誌の表紙作成、プレゼント応募などを楽しめる。以下は各フロアのコンテンツ。

  • 1階:美的の創刊からこれまでの20年分の表紙・目次を閲覧できる
  • 2階:自身の画像を組合わせた美的のオリジナル表紙を作成できる
  • 3階:人気美容家5名が厳選した美容アイテムを閲覧できる
  • 4階:おすすめの美容情報を読める
  • 5階:スペシャル動画を視聴できる
  • 6階:美的の誌面を飾るモデル等のメッセージ動画を視聴できる

各フロアにはプレゼントボックスが置かれ、来館者を館内で回遊させる工夫も。ボックスを開けると”文字”が入っており、各フロアで見つけた文字を一つの単語に繋げると、美容アイテムのプレゼントキャンペーンに応募できる。

実際に来館した女性たちの反応は良く、クオリティの高さや充実したコンテンツに満足している様子。SNSには次のようなコメントが。

・クオリティがすごい!
・美容情報や美容家さんの名品紹介がたくさん載ってて見応えあります
・各フロアにあるプレゼントボックスを見つけるのも楽しかった
・楽しくて何時間も見てしまった
・バーチャルなので好きな時間に参加できていい
・またやってほしい!

 

事前申し込みなどの登録の必要はなく誰でも自由に入館できるので、ぜひ読者の皆様も体感してみては?今月24日までオープン。

 

ブランド旗本店のバーチャルストア(資生堂)

資生堂は昨年7月、「SHISEIDO」初のブランド旗艦店「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」を東京・銀座にオープンした。その時に同時オープンしたのが、店舗に行かなくてもコンテンツを体験したり商品を購入できるバーチャルストア。前述の美的とは違い、こちらは実在する店舗をバーチャル化。実店舗をそのままVRで再現している。まずは、銀座にある実店舗の様子から見てみよう。

この実店舗をそのまま再現したのが、バーチャルストア。実店舗同様に3フロアで構成され、スマホやパソコン上で入館すれば、店内を自由に歩き回ることができる。

  • 1階:商品を画像・動画で閲覧できる。購入する場合は動画に表示された商品をクリックして、ECサイトに遷移する
  • 2階:BC(ビューティーコンサルタント)による、季節の肌状態に合わせたアドバイスやメイクのテクニックを視聴できる
  • 地下階:実店舗で体験できるメディテーションポッドの紹介動画を視聴できる。VR上での体験はできないが、映像と音が織りなす世界観はVR上でも十分癒される

実際に体験するとわかるが、まるで本当に実店舗の中を歩いているよう。VR内の各所にクオリティの高い様々な音・映像・情報が仕込まれているので、各コンテンツをついクリックしたくなる。

また、実店舗の清潔感あふれる華やかな世界観がそのまま再現されているので、パソコンやスマホ上でも満足度ある買い物体験ができる。もちろん、買い物をせず館内を回るだけでも楽しい。まさにコト体験。

 

コンセプトストアのバーチャルストア(KOSÉ)

コーセーも昨年、バーチャルストアをオープンした。銀座にあるコンセプトストア「Maison KOSÉ」をバーチャル化したもので、資生堂と同様に、ネット上で商品・美容情報・ECを連携したVR空間を実現した。

【出典】コーセー

【出典】コーセー

こちらのバーチャルストアも、音と映像で来館者を神秘的な世界へと誘う。資生堂のバーチャルストア地下階のメディテーションポッドが「宇宙」を思わせる空間なら、こちらの1階は森林・深海のイメージで、コーセーを代表するスキンケアブランド「雪肌精」の世界観を体感できるゾーンが用意されている(現在は実店舗での体験は終了)。さらに中に進むと、雪肌精のCMやヒストリー紹介を閲覧できるコンテンツも。もちろん商品も並んでおり、クリックするとECサイトヘ遷移する。

2階・3階には同社の他ブランドが陳列され、1階同様に商品の閲覧・購入ができる。他、インスタグラムを活用したライブイベントの案内、実店舗で行なっているヘアブローサービスの予約など、オフラインへの導線を敷いたコンテンツも用意している。

バーチャルマーケの強み

バーチャルイベントや実店舗を再現したバーチャルストアなど、バーチャルマーケティングの強みは、遠隔地にいる人や外出が困難な人もプロモーションの対象にできる点。VR空間内に設置した各コンテンツから、商品購入やサービス利用などのオフラインへ自然に誘導できる点も強い。ゲーミフィケーション要素もあるため、一般的な通販サイトやコーポレートサイト、あるいは動画広告よりも、滞在時間を大幅に伸ばせる点もメリットだろう。明確な世界観を持つブランドなら、バーチャルマーケティングはうってつけだ。

 

 

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