健康経営企業が取組む、女性の健康施策ランキング(企業規模別)

健康経営の選定基準に「女性の健康」に関する取組みの項目が追加されたことで(2019年)、社内の女性ワーカーの健康に注力する企業が増えた。具体的に各社はどのような取組みを実施しているのか?2021年の健康経営優良法人認定に際し経産省が調査・集計したデータを参考に、編集部にてランキング化した。なお大手法人と中小規模法人では、女性の健康づくりに関する取組み項目が若干異なるため、大手と中小で分けてランキング化している。

大手が取組む女性の健康施策、ランキング

調査対象の法人は、健康経営優良法人2021(大手法人部門)の認定申請にあたり健康経営度調査に回答した大手法人2,523社。

この中で女性の健康施策に取組んでいない法人は5.7%(145社)と少数。健康経営に取組む法人であれば、大手なら女性の健康づくりはスタンダードになってきた印象だ。女性の健康施策の項目別実施割合を見ると、半数あるいは半数以上の法人が取り組んでいるのは11項目中6項目。1割を切っているのは1項目のみで、「月経随伴症をモニタリングするツールやアプリの提供(5.6%)」。

項目によって実施割合の高低は見られるものの、大手では女性の健康施策が順調に進んでいる様子がうかがえる。

順位 項目 実施社数 %
1 婦人科健診・検診への金銭補助 2089 82.8
2 婦人科健診・検診の受診に対する休暇等の設定 1471 58.3
3 保健師等による女性健康専門の相談窓口設置 1373 54.4
4 生理休暇を取得しやすい環境の整備 1355 53.7
5 女性特有の健康課題に対応可能な体制構築 1241 49.2
6 母性健康管理のためのサポートの周知徹底 1238 49.1
7 不妊に対する支援(通院への休暇取得など) 944 37.4
8 女性専用の休憩室の設置 690 27.3
9 女性の健康作り推進部署やプロジェクトチームの設置 674 26.7
10 更年期症状や更年期障害への支援 592 23.5
11 月経随伴症状をモニタリングするツールやアプリの提供 141 5.6
その他 689 27.3
特に実施していない 145 5.7
無回答 4 0.2

 

中小が取組む女性の健康施策、ランキング

一方、中小はどうだろう?大手ほどは女性の健康施策は進んでいないのが現状で、明らかな違いが傾向として見られる。

調査対象の法人は、健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)の認定に申請した中小法人9,404社。

女性の健康施策の項目別実施割合を見ると、半数以上の企業が取組んでいる項目は11のうちわずか1つで、「婦人科検診等受診勧奨・受診しやすい環境整備(57.3%)」のみ。それ以外の実施割合は全て半数を切っており、1割未満は6項目も。女性の健康施策そのものに取組んでいない法人の割合も大手より高く、13.6%(1280社)。

大手ではもはや常識になっている健康経営も、中小にはまだまだ浸透しておらず、「健康経営そのものを知らない」法人も未だ3割いるという調査結果もある(アクサ生命,2021.3)。さらに「聞いたことがある程度で取り組んでいない」法人も3割近くいるというから、中小の場合、女性の健康施策に取組む以前に、健康経営そのものの周知が必要だ。

※ただし女性ワーカーがいない法人もあるので一概に同列で比較はできない。

順位 項目 実施社数 %
1 婦人科健診等受診勧奨・受診しやすい環境整備 5393 57.3
2 妊娠中従業員への業務配慮規定の明文化・周知 3514 37.4
3 生理休暇等を取得しやすい環境の整備 3337 35.5
4 保健師等による相談窓口設置等の体制構築 1990 21.2
5 女性専用の休憩室の設置 1536 16.3
6 妊婦健診など母性健康管理のサポートの周知徹底 820 8.7
7 健康課題等に関する理解促進の為の研修実施 655 7.0
8 更年期症状や更年期障害への支援 654 7.0
9 不妊に対する支援(通院への休暇取得など) 486 5.2
10 女性の健康づくりを推進する部署の設置 247 2.6
11 月経随伴症状をモニタリングするツールやアプリの提供 59 0.6
その他 389 4.1
特に行っていない 1280 13.6
無回答 52 0.6

 

 

【編集部おすすめ記事】
働く女性向けの健康経営ソリューション、なぜ定着難しい?
「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」の違い
働く女性の健康管理 「お金をかけないケア方法」ばかりがランクイン
働く女性ほんとの格差

PAGE TOP
×