友人がいない日本の高齢者、どんな交流を求めている?

日本の高齢者は友人が少ないことが国際比較で分かっているが、友人の有無はクラスターによって異なり、また、性別・年齢によって求めている交流が異なるなど、人間関係にまつわる実態やニーズはまちまち。マーケティングの参考に、高齢女性のコミュニティ事情を探っていこう。

友人がいない日本の高齢者

国際比較で最多、「友人はいない」3割

家族以外の人との付き合いを国際比較した調査がある令和3年版高齢社会白書,内閣府。各国の60歳以上の人に「家族以外の人で相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人がいるか?」と聞いたところ、「同性・異性の友人、いずれもいない」と回答した人は31.1%で、日本が最も高かった。他国と比べると、日本人は親しい友人がいる人が少ない傾向にあることが明らかに。

【出典】令和3年版高齢社会白書,内閣府

【出典】令和3年版高齢社会白書,内閣府

友人が多いクラスター、少ないクラスター

もう少し詳しく高齢者の友人関係を見てみよう。別の調査では、クラスターによって友人の有無や程度が異なることが明らかになっている。

60歳以上の男女3,000人を対象に行った生活環境・生活状況等を聞いた調査で平成30年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果,内閣府、「親しくしている友人・仲間を持っている程度」を聞いたところ、クラスターによって違いが見られた。以下は「友人・仲間を沢山持っている」と回答した割合が高いクラスターと、「友人・仲間を持っていない」と回答した割合が高いクラスター。特に注目は、健康状態の良し悪しによって友人の有無が異なる点。

<親しい友人・仲間がたくさんいるクラスター>

  • 【年齢】75〜79歳女性(32.0%)
  • 【ライフステージ】既婚女性/配偶者あり(25.8%)
  • 【ライフステージ】未婚女性(25.0%)
  • 【同居形態】夫婦のみ世帯の女性(25.0%)
  • 【同居形態】子・孫と同居の三世代世帯の女性(26.2%)
  • 【健康状態】健康状態が良い(32.7%)
  • 【健康状態】健康状態がまぁ良い(27.3%)
  • 【仕事】会社または団体の役員(41.7%)
  • 【仕事】自営業者・個人事業主・フリーランス(35.9%)
  • 【子の有無】同居の子あり(24.3%)
  • 【子の有無】別居の子あり(25.0%)
  • 【住居形態】持家・分譲マンションなどの集合住宅(29.1%)
  • 【都市規模】小都市(28.0%)

<親しい友人がいないクラスター>

  • 【年齢】80歳以上女性(7.7%)
  • 【ライフステージ】既婚女性/配偶者と離別(15.2%)
  • 【健康状態】健康状態が良くない(18.8%)
  • 【健康状態】健康状態があまり良くない(12.3%)
  • 【仕事】無職(7.6%)
  • 【子の有無】子なし(10.9%)
  • 【住居形態】賃貸住宅(11.1%)
  • 【都市規模】 中都市(7.4%)

上記では特徴的なクラスターのみを抽出して並べたが、その他のクラスターについても確認したい方はこちらp.20-図表2-1-5-2へへ。

 

高齢女性が望む交流

次に、高齢女性が他者とどのような交流を求めているのか?についても見てみよう。高齢期のライフスタイルを研究するNPO法人老いの工学研究所が、「高齢者が望んでいる交流」について調査を行なっている高齢者が望んでいる交流,2020.12

同世代との交流

65〜93歳の男女301人に「どの世代との交流を望んでいるか?」と聞いたところ、男女ともに最多は「同世代との交流」。若い世代との交流は、同世代との交流ほどは求めていないことも明らかになった。

【出典】老いの工学研究所

【出典】老いの工学研究所

 

趣味仲間・近所

続いて「望む交流相手」を聞いたところ、男女ともに「趣味仲間との交流」「近所の人との交流」を求めている人が多いことがわかった。一方、「仕事や地域活動での交流」や「お店などの店員・スタッフとの交流」は、男女ともに4割程度にとどまった。

【出典】老いの工学研究所

【出典】老いの工学研究所

 

高齢女性の人間関係のリアル

高齢女性が家族以外の人間関係で求めているのは、同世代の趣味仲間や近所の人との付き合い。では、具体的にはどのようなコミュニティに所属しているのだろうか?高齢者サロン、フィットネスジム、ボランティア、趣味(歴史、旅行、裁縫、家庭菜園、習字、ペン字、俳句・川柳・短歌など)がその代表例で、最近ではCOVID-19による生活変化が影響し、オンライン上で各コミュニティに参加している高齢女性も増えている。

だが、これはあくまで一例。調査では見えてこない高齢女性の人間関係のリアルを覗きたい方は、当社ウーマンズが今月末に開催するイベント「60~100歳の高齢女性マーケティングに 高齢女性のお金×健康×人間関係のリアルとは?」へご参加を。

 

【編集部おすすめ記事】
2025年の高齢者市場は101兆円、それでも乗り込まない企業の理由
高齢者の若返りに男女差、より若返っているのは?
孤立による健康リスクを抑える話題のVR メインターゲットは高齢者
単身高齢女性が1人で過ごす時間はどれくらい?

PAGE TOP
×