障がい者の恋愛・結婚事情、交際や子育てってどうしてるの?

今月24 日に東京2020パラリンピックが開幕した。マスメディアによる報道も手伝い障がい者スポーツへの関心が高まっているが、今回、パラリンピックを通じてもう一つ注目されているのは「WeThe15」。IPC(国際パラリンピック委員会)やユネスコなどの国際組織によって8月19日に立ち上げられたキャンペーンで、世界に12億人いる障がい者への差別をなくすことを目的とした、今後10年間にわたる人権運動だ。パラリンピックの時だけではなく、そしてパラアスリートだけではなく、普段の社会生活で毎日を生きるあらゆる障がい者へ目を向けようという世界的なインクルージョンを目指している。

以下動画はパラリンピック直前にIPCが公開したWeThe15のキャンペーン動画で、アスリートではない普通の人々が障害とともに生活を送る様子が流れる。皆が口を揃えて言うのは「私たちは特別ではない」「壁を壊そう」。

このキャンペーンが訴えるのは「障がい者を、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも特別視していないか?」「普段から障がい者に目を向けているか?」「障がい者の日常を理解しようと努めているか?」といった、健常者や社会に対するメッセージだ。

さて、あなたはどうだろう?障がい者のリアルな日常生活や意識・ニーズに目を向けたことはあるだろうか?どこか「他人ゴト」になっていないだろうか?マーケティングを考える時に、障がい者を無意識にターゲットから外していないだろうか?

障がい者のインクルージョンを目指し、障がい者のリアルな意識・行動・生活を覗いてみよう。今回は、障がい者の恋愛事情・結婚事情について。

障がい者の恋愛事情

障がい者の恋愛事情がわかる調査結果がある。障がい者総合研究所(株式会社ゼネラルパートナーズ)が行なった「障がい当事者に聞いた恋愛意識調査(2018)」で、交際相手の有無、交際希望の有無、交際相手を欲しいと思わない理由、交際相手と出逢うためにとった行動などを、身体障害・精神障害・知的障害のある20〜60代以上の男女478人に聞いた。主な調査結果は以下。

  • 現在交際相手がいる人は2割。8割は交際相手がいない
  • 交際相手には障害が無い人は68%、何らかの障害がある人は32%
  • 現在交際相手がいない人のうち、7割以上が交際を望んでいる
  • 交際相手は「学校や職場」「一般の婚活・恋活サービス」で探す人が多い
  • 交際相手を欲しいと思わない理由は、「恋愛が面倒」「交際がこわい」

質問の一つである「交際相手を欲しいと思わない理由」については、身体障害と精神障害の障害別に調査結果をまとめており、障害によって恋愛に対する意欲や考え方が異なることがわかった。

【出典】障がい者総合研究所

「交際相手を欲しいと思わない理由」について「その他」を選択した女性たちは、その理由について次のように答えている。

  • 人と深く関わりたくない。一人でいたいため(女性/20代/精神障害)
  • 他者と過ごすと疲れるため(女性/20代/精神障害)
  • 理解されにくい病気のため、病気のことを話すのが怖いし、先に結婚の無い交際は年齢的に難しいと思うので(女性/30代/身体障害)
  • 障害を受け入れてもらえないと思う(女性/40代/精神障害)
  • 障害への理解を得るのが難しく、理解を得る努力が病状的に辛く負担となる。また毎週会うなど約束が難しい(女性/40代/精神障害)
  • 日々を過ごすだけで手一杯(女性/40代/身体障害)

 

調査結果を踏まえ、同研究所は次のように述べている。

今回の調査を通じ、多くの障がい者が、恋愛したいと考えていても交際できていないことが分かりました。(中略)交際や結婚につながる出会いを促進するだけでなく、幸せな恋愛ができている事例など、安心して前に踏み出せるような情報を提供していくことも必要だと思われます。

 

障がい者の結婚事情

同研究所は、障がい者の結婚に関する調査も実施している。「障がい当事者に聞いた結婚意識調査(2017)」で、上記調査同様に、身体障害・精神障害・知的障害のある20〜60代以上の男女478人に聞いた。主な調査結果は以下。未婚か既婚かで、結婚に対する懸念の度合いが異なることがわかった。

  • 既婚者…26%
  • 未婚者…74%
  • 未婚者:一生結婚するつもりはない…34%
  • 既婚者:結婚を決断、または結婚生活を送る上で、障害は何らかの支障になった…25%
  • 未婚者:結婚を決断、または結婚生活を送る上で、障害は何らかの支障になると思う…71%
  • 既婚者:結婚に際し障害以外でハードルになると思うのは「健康のこと」…24%
  • 未婚者:結婚に際し障害以外でハードルになると思うのは「健康上のこと」…48%

質問の一つである「結婚を決断、または結婚生活を送る上で、あなたの障害は何らかの支障になったか?あるいはなると思うか?」については、次の回答が寄せられた。

  • 空気が読めない。身なりを気にしないなどを容認してくれないと続けられないと思う(30 代/女性/精神障害)
  • 仮に誰かと付き合っても障害をカミングアウトすれば別れに繋がりそう。遺伝するかもしれない障害だから結婚はしてくれなさそう。子供がいらない人を探すしかない(20 代/女性/精神障害)
  • 一般の車では無理なので福祉車両になる。セックスの際に自分が骨折する危険がある(40 代/女性/身体障害)
  • 障害の理由を伝えるために、病気について話をしたら、無理と言われた(30 代/女性/身体障害)

 

子育てに奮闘、身長100cmの女性のリアル

障害のある女性が出産し子育てをしているのは、珍しいことではない。だがその実態を詳細にイメージできる人はそう多くないのでは。

骨が弱い障害「骨形成不全症」を抱える身長100cmの車椅子ユーザー伊是名夏子さんは、ツイッターで1.1万人のフォロワーを抱えるコラムニスト。ハフィントンポストに掲載されたコラム記事「『障がい者と結婚なんて、大変そう…』 夫と私を苦しめた『〇〇なんだから』の思い込み」では、妻であり2人の子の母でもある彼女の本音が赤裸々に語られており、夫との関係や子育てのリアルをうかがい知れる。以下は彼女の著書。

ママは身長100cm

 

体が動かないカップル、どうやって手をつなぐの?

障害と言っても、障害の程度やADL(日常生活動作)の自立度は人それぞれ。ADLが低下している障がい者の場合、パートナーとどのようにスキンシップを図っているのだろうか?その様子を、NHKのテレビ番組「バリバラ」が取材している。番組が追ったカップルは、進行性筋萎縮症を患う女性と、筋ジストロフィーの男性。2人とも難病で全身をほとんど自力で動かせないため、手をつなぐにもキスをするにも、介助者の助けを必要とする。その様子はYouTubeで公開されている。

 

 

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