コロナ禍で刻々と変化、女性の消費は今後どうなる? 最新レポート3選

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想定以上に長引くコロナパンデミックにより、人々の消費意識・消費行動は刻々と変化している。国内のコロナ感染者が報道された当初は全国的に買占めが起き、1回目の緊急事態宣言発出時は、新しい生活様式の始まりと同時に人々の健康・衛生・自宅内関連の消費が活発に。やがてテレワークや各社のDX化により、ネット上の様々なサービスを利用する人やコミュニケーションをとる人が増加。そしてワクチン接種が広がる今、外食や旅行ニーズが復活ー。と、わずかこの1年で人々のニーズ・消費意識・消費行動は目まぐるしく変化してきた。はてさて、ここからは人々の消費はどうなっていくのか?今後のマーケティング設計に役立つ最新レポートを3つ、ご紹介したい。

新しい生活様式は一時的ではなく歴史的な転換に(PwC)

コンサルティング会社のPwCは今年8月、調査レポート「世界の消費者意識調査2021〜より良い暮らしを求めて変化する世界の消費者〜」を公表した。コロナ禍における世界の消費者意識の変化を調査したもので、コロナ禍により生まれた新しい消費意識・消費行動は、一時的なものではなく、消費者行動の歴史的かつ根本的な転換につながっていると結論づけた。それを踏まえレポートでは、以下5つのファインディングスを挙げている。

  1. よりデジタルに
  2. より健康志向に
  3. より環境に優しく
  4. より価格志向に
  5. よりローカル志向に

特に着目したいのは「よりデジタルに」。国内においても、コロナ禍を背景にデジタルユーザーは増えており、これまではパソコン・スマホの利用やオンラインショッピングを避けていた高齢者なども積極的に利用する姿が見られるようになった。図らずしてデジタルデバイド問題の解消に寄与する形に。また企業サイドもDX化を進める動きが加速。ネットショッピングの充実化、ライブコマースによる販売、店舗スタッフの遠隔対応サービス、バーチャルイベントの開催、AIを活用したアプリ開発など、オンライン上でできることはこの1年で格段に増えた。

人々の生活をより便利に・豊かにしたことで、「よりデジタルに」のトレンドは、上記5つの中でも特に定着・進化がアフターコロナでも続くのでは。各項目の詳細はレポートに掲載。

 

コロナ禍の消費を性別・年代別に調査(消費者庁)

消費者庁は今年7月、消費者問題の現状や消費者の政策ニーズを把握することを目的とした「令和2年度 消費者意識基本調査」の結果を公表した。日頃の消費意識・行動、消費者事故・トラブルの経験等を聞くもので、毎年実施している。今回は、コロナ禍における新しい生活様式に着目した意識・行動を主な調査項目とした。

前述の通り国内においてもコロナ禍を背景にデジタルユーザーは増えており、当調査結果では、その実態を性別・年代別に整理している。「コロナ禍で増えたオンラインショッピングの項目」「オンラインショッピングで心配なこと」「商品・サービス購入時に重視すること」「コロナ前後で変化した、商品・サービス購入時に重視する項目」など、コロナ禍におけるマーケティングに役立つ調査結果が多数掲載されている。

なお同調査結果をより詳細に分析・考察してまとめたものが、消費者白書。最新は「令和3年版 費者白書」。

 

コロナの状況別、消費増減を未来予測(Ponta)

共通ポイントサービスのPonta(ポンタ)を運営するロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)が、興味深い視点で今後の消費予測を行なった。「コロナ禍が続いた場合の消費増減」と「ワクチン接種が進んだ場合の消費増減」を商品群別に予測したもので、今後のコロナの状況によって健康・美容関連の消費増減が異なることを明らかにした。

<コロナ禍が続いた場合>

コロナ禍が続いた場合は、「自炊のための食費」「冷凍食品」「菓子類」「中食/食品デリバリー」「水道・光熱費」など、自宅内関連の消費が20%前後増加すると予測。「衛生用品(15%)」「薬・サプリメント(13%)」「医療費(11%)」などの健康・衛生関連の項目も上位に入り、他項目より増加傾向が見られると予測。一方で、コロナ禍が続くと外出機会が減ることから「化粧品」の消費増加はさほど見られず6%にとどまると見ている。

【出典】コロナ禍が続いた場合の消費行動予想(ロイヤリティマーケティング)

【出典】コロナ禍が続いた場合の消費増減予想(ロイヤリティマーケティング)

<ワクチン接種が進んだ場合>

ワクチン接種が進んだ場合は「外食費」「娯楽/遊興費・交際費」「交通・移動費」が20%以上と突出して増加すると予測。外出を伴う消費が活性化するということだ。外出が増えることから女性たちのメイクの機会も増えるため、「化粧品」の消費も10%増加すると予測している。一方でヘルスケア関連消費の増加幅は小さくなり、「衛生用品」「医療費」「薬・サプリメント」は7〜8%ほどと予測。コロナ禍で人々の健康・衛生意識は一気に高まったものの、ワクチン接種によって危機意識が落ち着くからだろう。

【出典】ワクチン接種が進んだ場合の消費増減予測(ロイヤリティマーケティング)

【出典】ワクチン接種が進んだ場合の消費増減予測(ロイヤリティマーケティング)

とは言え、コロナ禍を機に価値観が急転し、免疫力アップ、セルフメディケーション、衛生配慮に目覚めたという声は多く聞かれる。自宅に健康・美容家電などを揃え、時短や利便性など、自宅でのセルフケアにメリットを見出した女性も多い。ワクチン接種が進んだ場合のヘルスケア関連消費は、コロナの状況に関わらず今後も継続していくクラスターと、消費が落ち着くクラスターの二極化が進むのでは?そんな見方をしておくのが現実的かもしれない。

 

 

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