「孤育て」の状況を打破する取り組み・サービス

子育て中の女性の間で使われている言葉、「孤育て」。「子育て」をもじった表現で、夫や親・義親、近所の人など周囲の協力を得られずに、孤立した状態で母親が1人で子育てをしている状態のことを指す。

似た状況を指す言葉に、2017年の流行語大賞にノミネートされるほど広く知られた「ワンオペ育児」があるが、こちらは、家事・育児の負担が母親ばかりにかかってくることを表現する言葉として不満・愚痴を込めて使われるのに対し、「孤育て」は、孤独感・孤立感がより深刻な場合に使われる印象がある。

「孤育て」は「ワンオペ育児」が使われるよりずっと以前から使われてきたが、昨年、過酷な育児に疲れ果てた母親が3つ子の次男を床に叩きつけて死亡させた事件の判決が世間の注目を集めたことで、精神的に追い込まれた母親のワンオペ育児が「孤育て」であることが改めて社会課題として問題視されることとなった。

孤育ての状況を打破する取り組み・サービス

「孤育て」が長く続いたり深刻化すると、子どもへの虐待だけではなく、精神的に追い詰められた母親自身が自殺を図る可能性もある。そんな状況を打破する取り組みやサービスの事例が以下。

情報発信で孤育てママに寄り添う(NHK)

NHK NEWS WEBは、サイト上で「孤育て ひとりで悩まないで」を特集。”孤育て”を感じている母親に向け、孤育ての現状、子育てとのポジティブな向き合い方、孤育てからの脱却方法などを紹介する。

実在しない保育園を運営(ホリプロ)

芸能事務所のホリプロが運営する「ホリプロ保育園」は、実在する保育園ではなく、子育てに関する情報を発信したりイベントを開催するファミリープロジェクト。リアルイベント以外では、ブログ、LINE、Twitter、Instagram、Facebook、You TubeなどSNSをフル活用して情報を発信し、今年1月にはボイスメディア「Voicy」で「ホリプロ保育園チャンネル」を開設。産後うつの話、赤ちゃんが泣き止まない話、子育ての不安の話などを取り上げていく。プロデューサーは「孤育てをしている人、あなたはひとりじゃないよ、と届けられるようなチャンネルにしていきたいです」と話している。

赤ちゃんの夜泣きが辛い…”深夜の孤育て” でつながるアプリ

システム設計のシンプルメーカー(東京・中央)は、”深夜の孤育て”にフォーカスしたコミュニケーションアプリ「夜泣きに奮闘するママ・パパを応援するアプリ“月夜のうさぎさん”」を今月リリース。赤ちゃんの夜泣きに悩む時期にいる他のママ・パパとつながり、赤ちゃんが泣いているタイミングで、スタンプを使って他のママ・パパとコミュニケーションできる。

「#孤育て」投稿に見る、女性たちの心情

「孤育て」脱却を図る商品・サービス・情報の充実化は徐々に進むが、現状はそう簡単には改善されない。「イクメン」「育休取得をするパパ」が徐々に市民権を得てきてはいるものの、現状は子育てを担う・主導するのは妻側。夫の理解や協力を得られずに「孤育て」に悩む女性は今なお多い。「孤育て」と感じながら子育てをする女性たちは何を思うのか。Twitter「#孤育て」から彼女たちの心情をピックアップした。

 

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