20~80代 健診・人間ドッグを受けない年代別の理由と行動変容ポイント
(最終更新:2018年10月12日)
平成28年国民生活基礎調査結果の「健診・人間ドッグの受診状況:男性72.0%、女性63.1%」からも分かるように、健診や人間ドックの受診率は男性よりも女性が低い傾向にある(とりわけ専業主婦やパート勤めの女性)が、働く女性の増加で今後は女性の受診率は上がるだろう。
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目次
年代別、健診・人間ドッグを受けた者の割合
女性の健診・人間ドッグ受診率は、50~59歳が71.0%と最も高く、最も低かったのは80歳以上の50.5%、次いで30~39歳の56.2%だった。年代別にこのような差が出るのはなぜか?次の表では、健診や人間ドックを受けなかった理由を年齢階級別に掲載している。
健診・人間ドッグを受けなかった理由
受診しなかった理由(男女)には各年代ならではの特徴が表れている。各年代の1位の理由は次の通り。
- 20~29歳:めんどうだから(25.0%)
- 30~39歳:時間がとれなかったから(35.5%)
- 40~49歳:時間がとれなかったから(41.4%)
- 50~59歳:時間がとれなかったから(33.7%)
- 60~69歳:心配なときはいつでも医療機関を受診できるから(41.2%)
- 70~79歳:心配なときはいつでも医療機関を受診できるから(52.7%)
- 80歳以上:心配なときはいつでも医療機関を受診できるから(54.1%)
年代別に受診を促す方法を変えたい
20代は健康への興味関心が低い
20代は美容意識は高くても健康への関心が低い。「めんどうだから」が理由の1位に上がったのもうなずける。ダイエットを例に考えると分かりやすい。中高年女性がダイエットに取り組む際、「健康のため、病気予防のため、足腰に負担をかけないため」など「健康」を目的にする人も多いが、10~20代の若い世代は「スタイルを良くしたい。ミニスカートや水着を素敵に着こなしたい」など「外見」が目的になる。健康を意識してダイエットをする者の割合は全年代の中で最も低いと考えられる上に、いたとしてもダイエットを長期間続けるモチベーションにはなりにくい。20代は「健康の重要性についてどのように興味関心を持たせるか?」が行動変容を促すポイントになりそうだ。
30~50代は毎日が大忙し 時間的制約が大きい
30~50代は子育て・仕事・家事など毎日のタスクが多いことが「時間がとれなかった」理由と考えられる。この世代の女性は、妊娠・出産やPMSによる体調の変化、体重の変化、老化サインや更年期症状の出現、親の健康状態の変化などに直面することがきっかけとなり自分の健康意識が強くなるが、時間がないことが障害となり、意識はあっても健康管理をつい後回しにしてしまう人が多い。健診・人間ドック受診における30〜50代女性の行動変容を促すポイントは「時間の確保」だ。
乳がん検診の受診率を3倍にした佐川急便では、業務時間中に職場に乳がん検診車がやってくるという取り組みを行っている。「時間がなくて受診できない」という課題を解決している事例だ。
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60代以上、意識改革必要
60代以上は他の年代と比較して時間的制約は少ない。受診しない理由のトップは「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」だが、本来は「心配なときに医療機関に行く」のではなく「心配になる前に健診・人間ドックを受ける」のが望ましい。60歳を過ぎ時間的ゆとりができたことが安心材料となり、「いつでも医療機関を受診できる」と思っている可能性が高いが、それでは受診した時には手遅れとなり、病気の発症・進行を見逃してしまうかもしれない。60代以上の受診を促すポイントは「健康リテラシーを高め、定期的な受診の重要性を理解する」意識啓発にありそうだ。
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