シニアの大規模集客に「身体能力を披露する」場を提供
シニア層の集客手段として、シニアたちの身体能力を披露する場を提供するのは有効かもしれない。
年々向上するシニア層の身体能力
平成29年版高齢社会白書(内閣府)によると、シニア世代の身体能力は年々向上している。
大車輪をする70代、80代のボディビルダー、90代のスイマーなど、年齢を全く感じさせない身体能力を持つシニアたちが度々テレビ番組で紹介され視聴者を驚かせていることからも分かる通り、今のシニアの体力や身体能力は上がっており、もはや「○○歳だから体力はない。衰えている」と年齢だけでくくることはできない。「運動習慣」でくくるべきだろう。
高齢になっても身体能力が高い人たちに共通しているのは「長年の運動習慣があること」で、現役を退いた60代から本格的に運動を始めて身体能力を10年、20年と維持している・向上している人たちも多い。
運動習慣の有無は、現役世代とシニア世代で開きあり
平成28年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)の調査では、運動習慣がある人の割合が最も低いのは30代で、40代以降からは年齢とともに上昇している。30代が最も低いのは、結婚・出産・育児とライフステージが目まぐるしく変化し、さらに子どもに手がかかることから、他世代と比べて自分時間を確保しづらいことが関係しているだろう。
一方、自分時間を徐々に確保でき、さらに健康意識が高まる40代以降では運動を習慣化する人が男女ともに増えていく。60代以降になると4〜5割の人が運動を習慣にしている。シニア世代にとって運動することは、「ライフワーク」として日常生活に溶け込んでいると言えるだろう。以下は性別・年齢階級別の運動習慣の有無について(平成28年国民健康・栄養調査報告より)。
- 男性20代(25.9%)
- 男性30代(18.4%)
- 男性40代(20.3%)
- 男性50代(25.5%)
- 男性60代(36.6%)
- 男性70代以上(49.4%)
- 女性20代(9.9%)
- 女性30代(9.8%)
- 女性40代(13.4%)
- 女性50代(25.9%)
- 女性60代(35.9%)
- 女性70代以上(37.4%)
「披露の場」を提供 シニア世代のニーズに応える
若い世代よりも運動が習慣化しているシニア世代。しかし若い世代と比べると、所属できるスポーツコミュニティーや場所はあっても、それを披露する大会やイベントは影を潜めている感がある。例えば大規模なヨガイベントやランイベントは世界各国、日本でも行われ高い話題性があるが、対象としているのは若い世代で、当然集まるのも若い人ばかり。これでは興味があったとしてもシニア世代は入りづらい。かと言って、シニア世代を対象にした同規模のスポーツイベントや大会は、ねんりんピック以外ではそう見当たらない。また、様々な新しいスポーツが誕生しても、それらのイベント・大会はやはり若い世代向けだ。
大規模である必要はないにしても、シニア世代が日頃のトレンーニングや身体能力を本格的に披露できる場所が、日本ではまだまだ不足している印象がある。
人口ボリューム層であり、運動習慣の割合が若い世代よりも多く、若い世代よりも社会とのつながりを持ちたいニーズが強く、スポーツに熱中することが生きがいになりやすいシニア世代。これらの特徴を挙げただけでも一目瞭然、シニア世代を主役にしたスポーツイベントや大会がおおいに盛り上がることは間違いない。この世代に向けたスポーツイベントや大会には、大きな集客力を期待できる。
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