「子・孫といつも一緒がよい」は日本人特有?国際比較で見る日本人の意識

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老後における子・孫とのつきあい方に関する意識は国によって異なる。以下は、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの4カ国のみの比較だが、その違いは歴然だ。内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」

これは老後の子・孫とのつきあい方に関する調査で「いつも一緒がよい」「ときどき会うのがよい」「たまに会話をする程度でよい」「全くつきあわないのがよい」「わからない」の中から回答する。いずれの国でも最も多いのは「ときどき会って食事や会話をするのがよい」。大きな違いが見られたのは「いつも一緒がよい」を支持する人の割合で、日本が最も高く27.1%。最も低いのはスウェーデンで3.7%。アメリカ、ドイツにおいてもそれぞれ9.0%、14.2%と日本と比べると低く、日本人は欧米人と比較して子・孫といつも一緒にいたいと考える人が多いことがわかる。

とは言っても、日本人の「いつも一緒がよい」意識は変化しており、以下のグラフからもわかるとおり、そのように考える人は減少傾向にある。

この理由について、お茶の水女子大学基幹研究院 人間科学系教授 藤崎宏子さんは次のように述べている。

三世代世帯の減少、夫婦のみ世帯・単身世帯の増加という世帯構成の変化、 そして高齢者自身の家族意識の変化の影響が推察できる。すなわち、高齢者にとって 子どもや孫との関係は、今日でもなお重要であるものの、互いによい関係を保つため に、一定の距離をおくことが望ましいという考え方が、しだいに浸透してきたことを 物語っている。引用:内閣府「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」

3世代世帯が多かった時代では、子・孫が年老いた親・祖父母の面倒を一つ屋根の下で見るのが一般的だったが、最近のシニア世代の意識は変化しており、自立意識が高く、「子どもに老後の心配をさせたくない。面倒をかけたくない」と考える人が増えている。これは、戦後の家族形態の急激な変化だけではなく、子ども世代の現状(年金不安、雇用不安、多忙など)を察し、「子どもに経済的負担をかけたくない」という親心や、高齢期をサポートする商品やサービスが多く登場してきたことで自立可能性が高まっていることも関係していそうだ。

ちなみにアメリカやドイツでは、同期間における本調査の回答傾向に顕著な変化は見られないという。個人主義の欧米では、「子・孫たちといつも一緒にいたい」という考えや老後の生活を子どもに期待する概念そのものがあまりないのかもしれない。

高齢化による社会構造の変化にともない、人生の高齢期を快適に生活できるよう国内では官民一体となってさまざまな取り組みが行われ、市場に投入される高齢期向けの商品・サービスも以前と比較すると増えてきている。加えて、個人主義が日本でも進んでいることを考えると、「子・孫といつも一緖がよい」と考える日本人は今後も減少していくだろう。

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