【男女の違いvol.26】男女で異なる「独身でいる理由」の背景に潜むもの

独身男性と独身女性では結婚に対する考え方が異なることがわかる調査結果がある。平成29年版 少子化社会対策白書(内閣府)では、25〜34歳の未婚者を対象に独身でいる理由を尋ねている。結果を見ると、日本人の性別役割分業意識が背景にある様子がうかがえる。それぞれのトップ5を見てみよう。(本記事でランキング化しているのは第15回調査の結果,2015年)

女性の「独身でいる理由」

  1. 適当な相手にめぐりあわない( 51.2%)
  2. 自由さや気楽さを失いたくない(31.2%)
  3. まだ必要性を感じていない(23.9%)
  4. 趣味や娯楽を楽しみたい(20.4%)
  5. 仕事(学業)に打ち込みたい(19.1%)

 

注目したいのは、第2位の「自由さや気楽さを失いたくない」。この項目は男性の場合は第4位。女性の方が、「結婚=自由がなくなる、気楽でいられなくなる」というイメージを持っている様子がうかがえる。これは家事・育児を主導するのが女性(自分)であることを自覚していることが理由だろう。一昔前と比べると家事・育児に協力する男性は増えているが、それでもやはり主導するのは基本的には女性で、栄養バランスを気遣った食事づくり、冷蔵庫などにあるあらゆる食品の賞味・消費期限の把握や管理、子ども同士や子どもの親との人間関係構築、各イベントでの義理親への贈り物など、結婚生活の中の日々の細かい部分まで気にかけ続けることができるのも女性だ。結婚をしたら日々のタスクが今以上に増えることをわかっているので、「自由さや気楽さを失いたくないから独身でいる」女性が多いのだろう。

男性の「独身でいる理由」

  1. 適当な相手にめぐりあわない(45.3%)
  2. まだ必要性を感じていない(29.5%)
  3. 結婚資金が足りない(29.1%)
  4. 自由さや気楽さを失いたくない(28.5%)
  5. 趣味や娯楽を楽しみたい(19.4%)

 

一方で、男性側で注目したいのは第3位の「結婚資金が足りない」。この項目は女性は第6位で、男性の方が女性よりも結婚に対して経済的責任を感じている様子が見えてくる。働く女性は着実に増えているが、それでもやはり「家族を養わなくてはいけない」と感じているのは男性側ということだろう。

性別役割分業を見て育った子ども世代の結婚観

今の20代後半〜30代前半の親世代と言えば、女性の社会進出が本格化しつつも、結婚・出産後に専業主婦になったり、子どもが成長してからパートに復職した女性が多い世代。結婚を機に生き方(働き方)の路線変更をするのは女性側で、「夫は仕事、妻は家庭」という役割分業が色濃く残っている世代だ。そのような親の役割分業を見て育ってきたのが、この調査対象となった今の20代後半〜30代前半であることを踏まえると、この世代の独身女性が「自由さや気楽さを失いたくないから独身でいる」と考え、独身男性が「結婚資金が足りないから独身でいる」と考えるのは無理もない。

男性の家事・育児参加が盛んに叫ばれ、結婚・出産後も働き続ける女性が増えてきている今の30〜40代の子ども世代が20〜30代になった時に同じ質問を独身者にしたら、役割分業が背景に見えてくるこのような特徴あるランキングは見られないだろう。

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