パラサイト・シングルとは? 女性の悩みとニーズ(1/3)

女性の未婚率は年々上昇し、「シングル女性」「おひとりさま女性」が増えている。今回フォーカスしたいのは、経済的に自立しているシングル女性ではなく、経済的自立をしていないパラサイト・シングルの女性。マーケティング業界では注目されず、どちらかといえば日本の社会問題として注目されることが多いパラサイト・シングルだが、男女あわせて今や人口の約1割を占め一定規模の市場を形成している。

パラサイト・シングルの基礎知識

「働くママ」「(お金を稼ぐ)独身女性」「シニア女性」「(SNSを積極的に利用する)20代女性」などは各社が狙う人気ターゲットで競合が多いが、パラサイト・シングル女性をターゲットにする企業は現状少ない。競合が少ない市場で新規顧客層の開拓を狙いたい企業にとってパラサイト・シングルはビジネスチャンスかもしれない。

パラサイト・シングルの意味

パラサイト・シングルとは、社会人になってからも親元で生活し、経済的にも精神的にもいつまでも自立せず、家事など生活全般を両親に依存している未婚者を指す。パラサイト(寄生)しているように見えることから「パラサイト・シングル」と表現される。社会問題として頻繁に取り上げられるパラサイト・シングルは「(親の経済力に依存してきた結果)親が亡くなった後や親の介護が始まると、子ども本人に経済力や生活力がないために、悲惨な状況になる」と見られることが多い。しかし実家で生活していることから、収入のほとんどを自由に使えるので、時間持ち・金持ちでゆとりある生活に本人は満足している側面もある。

パラサイト・シングルの特徴

パラサイト・シングルは本人が就業しているケースと、就業せずにニートまたは引きこもりに陥っているケースの2つに大別される。

前者は、自由で気ままな実家暮らしを手放してまで一人暮らしや結婚をして家庭を持つことにメリットを感じておらず、親に経済的・精神的に依存し続け、“子ども”の状態から抜けきれていない。子どもの時と変わらず両親に世話をしてもらうことを当たり前のように感じているのが特徴とも言える。

家賃がかからず、料理をしてもらえて、洗濯やゴミ出しもしてもらえるー。パラサイト・シングルをしている方が出費も時間も大幅に節約できるのだから、あえて面倒なことや苦労をする必要はないよね」という合理的な考えを持ち合わせている。結婚せずに親と同居しているが経済的・精神的に自立しているシングル(独身者)ももちろんいるが、広く一般的に認知されているパラサイト・シングルは親への依存性の高さと、大人に成長しきれていない子どもっぽさ、実家暮らしを続けていることに対する満足感の高さが際立つ。

後者は精神疾患を患っているケースが多いため、本人に自立や一人暮らしをしたい気持ちがあっても心身の不調から自立できずに長年悩んでいる。

パラサイト・シングルは1980年代後半から増加していると言われている。35~44歳層を例に増加率を見てみよう。「親と同居の未婚者の最新の状況2016(総務省統計局)」によると、1980年には39万人で35~44歳人口の中で僅か2.2%だったが、2016年には288万人で16.3%にまで上昇。さらに、親と同居している35~44歳の未婚者288万人のうち、基礎的な生活を親に依存している可能性のある人は、1980年には僅か5万人だったが、2016年には52万人まで増加している。親と同居の未婚者数を20~54歳層で見てみると1,118万人で(2016年)、人口の約1割を占める数字になる。

出典:総務省統計研修所「親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年)」

2030年には全人口の約半数が「シングル」になるという予測も出ている(野村総合研究所)。今後「シングル」のうち「パラサイト・シングル」の割合が上がる可能性は高い。

パラサイト・シングルになる原因

では、なぜパラサイト・シングルはわずか30年で増加しているのか?以下3つの時代変化が要因と考えられる。

  • 非正規雇用者割合の増加。社会人であっても親元から自立できるたけの経済力がない
  • 「友だち親子」の増加。成人しても親への依存性が高い
  • 無理して実家暮らしをやめる必要がない(兄弟姉妹が多かった昔に比べ、少子化時代の今は、子が実家に残り続けても親の大きな家計負担になりづらい)

なお若年層のパラサイト・シングルに関しては若年層の貧困化も一因にあるが、あらゆる消費シーンにおいて「見栄・無理する」よりも「コスパ・効率」を重視する若者世代特有の経済的で賢い価値観も影響していると考えられる。

 

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