女性の貧困率 何歳代から高くなるのか
女性の貧困率は50代以降から高くなる傾向にあり、さらに高齢になると相対的貧困率の男女差は大きくなる。
80歳以上になると、男性が16.6%なのに対し女性は27.1%。男女共同参画白書によると、高齢単身女性世帯や母子世帯の貧困率が高い状況にあるという(内閣府男女共同参画局「平成24年版男女共同参画白書」)。女性の年齢階層別相対的貧困率は以下。
- 20~24歳:(16.8%)
- 25~29歳:(10.7%)
- 30~34歳:(13.5%)
- 35~39歳:(13.4%)
- 40~44歳:(14.9%)
- 45~49歳:(14.0%)
- 50~54歳:(11.6%)
- 55~59歳:(16.6%)
- 60~64歳:(16.9%)
- 65~69歳:(16.7%)
- 70~74歳:(21.3%)
- 75~79歳:(26.6%)
- 80歳以上:(27.1%)
以下では、特に貧困に陥りやすいと言われている女性クラスタ―について見ていきたい。
シングルマザーの貧困
父子家庭と比較して貧困に陥りやすい母子家庭では、その要因に「母親の働き方」が挙げられる。父子家庭を支える父親と、母子家庭を支える母親、それぞれの就業状況を見ると(以下図)、大きな違いがあることがわかる。父親は正規雇用者が圧倒的に多く収入が高い一方で、母親は非正規雇用者が多く収入は父親の約半分だ。
女性の管理職比率が先進国の中でも極めていまだに低いことからも分かるように、女性が一人で働きながら子どもを育てることは金銭面のハードルが高い。
女性の管理職比率
パラサイトシングルの貧困
パラサイトシングルの貧困も近年問題視され始めている。パラサイトシングルとは「社会人になってからも親元で生活し、経済的にも精神的にもいつまでも自立せず、家事など生活全般を両親に依存している未婚者」のこと。パラサイトシングル女性が、経済的・精神的に自立しているシングル女性と異なるのは経済的にも精神的にも自立をしておらず、親に依存している点だ。
親が元気な間はパラサイトシングル女性本人にもまだ経済的余裕があるが、同居の親が介護になったり死亡した場合、もともと経済力や自立した生活力を持たないパラサイトシングルは途端に生活苦に陥ってしまう。
なお、パラサイトシングルには「就業しているタイプ」と「ニート・引きこもりタイプ」の2タイプがいて、特に貧困に陥りやすいのは後者。
パラサイトシングル女性
高齢者の貧困
OECD加盟国の65歳以上の高齢者貧困率ランキング(2015年発表)によると、第1位韓国、第2位オーストラリア、第3位アメリカ、そして日本は第4位だった。一般的に男性よりも長生きする女性は、貧困に陥るリスクが男性よりも高い。実際に、先述の通り80歳以上になると、貧困率は男性が16.6%なのに対し女性は27.1%となっている。
男女別の平均寿命
近年社会問題となっている孤独死には、さまざまな要因があると言われているが、ニッセイ基礎研究所が行った調査によると、増加する孤独死の原因について「本人の経済的な問題(貧困)が背景にある」と考える生活者が55.6%に及ぶことが分かったという。