セグメントとは?顧客アプローチに大切な分析手法の意味とポイント

事業戦略を策定する際に必要な考え方が「セグメンテーション」。セグメンテーションを取り入れることで不特定多数の中からターゲットを絞り効率よく顧客にアプローチできるようになるため、特に女性をターゲットにしている場合はセグメンテーションに取り組んだ方が良い。近年の女性はライフコースが多様化したことで消費傾向や価値観が複雑化し、以前のような不特定多数を対象としたマス・マーケティングではリーチが難しくなっているからだ。セグメンテーションの手法を取り入れることで女性マーケティング戦略の成果を上げるコツを取得しよう。

セグメントの基礎知識

セグメントとはそもそも何なのか?改めて言葉の意味を確認しておこう。

セグメントとは

セグメント(英語表記:segment)とは、「市場において特定の基準をもとに細分化した要素」を指す。何らかの基準で区分する作業を「セグメンテーション」と呼び、その一つ一つの要素を「セグメント」と呼ぶ。セグメント、セグメンテーションを区別なく表現することも多く、一言で分かりやすく言うなら「同じニーズや性質を持つ集団(モノ・コト・ヒト(顧客))を、小さなグループに分割していくこと」と解釈すると理解しやすい。当記事ではヒト(顧客)のセグメントに絞って解説を進めていく。

考え方の事例

  1. 100名の女性を「運動しない派」「月数回程度運動する派」「毎日運動する派」にセグメンテーションする
  2. その結果、3つのセグメント割合は次のようになった。「セグメント(a)運動しない派=50人」「セグメント(b) 月数回程度運動する派=20人」「セグメント(c):運動する派=30人」

セグメンテーションを行う理由

セグメンテーションは、不特定多数の中からターゲットを絞り、効率よく顧客にアプローチするために行う。ターゲット設定を行う際の欠かせない作業の一つ。

良いセグメンテーションは最適なマーケティング戦略の土台となるため、マーケティング戦略の成果を向上させやすく、売り上げ向上や無駄な広告費を抑えられることによるコストカットを期待できる。また、セグメンテーションを行うことで“見落としている事項”の発見にもつながる。

20~80代の1,000名の女性に、健康食品Aを販売するための戦略設計を例に考えてみる。セグメンテーションせずに販売戦略を考えると「Twitterでプロモーションしよう!」と発想するかもしれない。しかしそれでは「Twitterを積極的に使わない60~80代女性にはリーチが難しい」ことを見落としていることになる。そこで1,000名の女性を以下のように「よく見る媒体別」でセグメンテーションすることで、満遍なく1,000名の女性にリーチできる。

  • セグメント1:「SNS、アプリ利用世代(20~30代女性)」
    ⇒予算の1/3を使ってSNS広告を活用する
  • セグメント2:「雑誌世代(40~50代女性)」
    ⇒予算の1/3を使って雑誌広告で宣伝する
  • セグメント3:「テレビ、ラジオ、折り込みチラシ世代(60~80代女性)」
    ⇒予算の1/3を使ってテレビ、ラジオ、折り込みチラシで宣伝する

高度経済成長期~バブル期前後は、女性の生き方や価値観は似通っていたため「ターゲットをセグメントすることなく、全ての女性に同じようにアプローチするマス・マーケティング」で一定の成果を出すことができた。しかし女性の生き方の多様化に伴い、彼女たちの価値観や消費傾向が多様化した現在の市場ではセグメンテーションしないマス・マーケティングでは成果を出しづらい。女性の生き方が多様化したことで消費者をひとくくりにできなくなった今の時代にこそ求められるのが、特定の集団を属性ごとに分類してビジネス戦略を考える「セグメンテーション」だ。

セグメントの切り口とチェックポイント

「セグメントの切り口」と、「セグメントが成果につながるか?」を判断するためにチェックすべきポイントは各4つある。

セグメント 主な4つの切り口

  • 地理的変数(オグラフィック変数)/国や地域、総人口、人口密度、気候、風土、生活習慣 など
  • 人口動態変数(デモグラフィック変数)/年齢、性別、家族構成、所得、職業 など
  • 心理的変数(サイコグラフィック変数)/ライフスタイル、趣向、価値観、購買動機 など
  • 行動変数/商品の使用場面や利用経験、追求するベネフィットなど

セグメントのチェックポイント

  • Rank(優先順位)/顧客層を重要度で分け、ランクづけをしているかどうか
  • Realistic(有効規模)/当該セグメントで売上高と利益を確保できそうか、想定している顧客が十分にいなければ利益を上げられない
  • Reach(到達可能性)/想定している顧客層に的確に商品やサービスを提供できるか
  • Response(測定可能性)/セグメント化した顧客層からの反応を測定し、分析できるか。結果を検証できなければ、選定した顧客層が正しいかどうかがわからない

女性ターゲットのセグメンテーションのポイント

女性をターゲットにするならセグメンテーションは最も重要な作業の一つだ。生き方が多様化しているだけでなく、出産、妊娠、結婚、介護、離婚などライフイベントを迎える度に生き方、働き方、価値観、消費行動が大きく変化するためセグメンテーションを行わないとニーズを捉えづらい。適切なセグメンテーションを行えばニーズを把握しやすくなるので、マーケティング戦略が明確になり結果的にターゲット女性へのリーチ率を格段に向上させることができる。

女性ターゲットのセグメンテーションのポイント

以下は、女性マーケティング支援事業を行う弊社ウーマンズが、クライアント企業のターゲティング開発で実際に用いるセグメンテーションの流れの一部。以下の流れで進めていく。

  1. 「中間層女性」か「富裕層女性」か?でセグメント
    中間層と富裕層対象では、マーケティング戦略が大きく変わるため2に進む前に策定しておきたい。策定後2へ進む
  2. 「年代」×「働き方」×「ライフステージ」でセグメント
    ⇒消費傾向、ターゲット女性に響くトレンドやキーワード、受容されやすい価格帯、リーチしやすい販売戦略などが具体的に見えてくる
  3. 各社の業界、商品・サービス特性にあわせたセグメント
    (例)フィットネス施設⇒「健康関心層」か「健康無関心層」か?
    (例)自動車メーカー⇒「趣味利用派層」か「(子どもの送り迎えなど)実用派層」か「(自分は運転せず)夫のみ運転派層」か?
    ⇒2と同様、ターゲット女性に響くトレンドやキーワード、受容されやすい価格帯、リーチしやすい販売戦略などが具体的に見えてくる

ざっくりとはしているが、まずは上記流れに沿ってセグメントを行うと、とらえどころのなかった女性ターゲットの人物像が明確になる。

女性ターゲットをセグメンテーションするときの注意点

女性ターゲットをセグメンテーションするときの主な注意点は以下の通り。

(1)30歳代、40歳代などと年代でひとくくりにしない

同じ30代女性でも例えば「シングル」「子育て中専業主婦」「働くママ」では全く異なる生活行動、消費行動、価値観を持っている。年齢でひとくくりにしてしまうと、「結局誰の心にも刺さらない」状態に陥ってしまうので注意したい。

(2)「働く女性」「働くママ」「アクティブシニア女性」「富裕層女性」など、流行りの女性キーワードでひとくくりにしない

同じ「働く女性」でも例えば以下のように多様な働く女性が存在しており、それぞれが全く異なる生活行動、消費行動、価値観を持っている。ひとくくりにしてしまうと、「結局誰の心にも刺さらない」状態に陥ってしまうので注意したい。富裕層女性も近年注目されているが、同じ富裕層女性でもどのタイプの富裕層女性かによって「質素型消費」を好むのか「(SNSで見せることを前提とした)ミーハー型消費」を好むのか、などが異なる。

(3)デジタル度合を考慮する

近年登場する商品・サービスは最先端技術をふんだんに取り入れたデジタルなものが多い。しかし「デジタルを積極的に取り入れる派」「ほどほど派」「敬遠する派」のうち「ほどほど派」「敬遠する派」の方が現状は圧倒的に多い。女性は男性と比較して商品やサービスを直観的に理解したいからだ。新規開発や販売戦略設計では「デジタル度合」も考慮してセグメンテーションしたい。

 

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