女性の平均年収を読み解く マーケターが把握すべきポイントとは?

女性マーケティングでは平均年収の把握が重要。どの年代でどのくらいの平均所得なのか、男女でどれくらいの年収差があるのか、短大卒・高校卒などの学歴別、都道府県別、職種別の平均給与などを知っておくと、商品やサービスのマーケティング手法を考えるときの参考になる。ここでは、マーケターとして把握しておきたい女性の平均年収について解説。

平均年収の調べ方

平均年収の意味

平均年収とは、会社から1年間のうちに支給される給与の総額を指す。額面とも呼ばれる。銀行に振り込まれるのは、保険や税金が引かれた金額、すなわち手取り金額。平均年収はこの年収の平均値を指す。一部の高額所得者が平均値を上げる可能性があるため、中央値(全体の中央にくる値)のほうが実態に近いといわれている。

年収データを調べる方法

年収データは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を利用することで調べられる。この統計調査では、 企業規模や産業別、学歴別、雇用形態別のデータを見ることができる。

国税庁「 民間給与実態統計調査」を利用すると、年代別の年収データを見られる。また、上場企業の場合は、有価証券報告書にも、その企業に勤務している社員の平均年収が記載されている。 大企業の平均年収はこれで調べることが可能。

女性の年代別平均年収

女性全体の平均年収

女性の平均年収は厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」によると、377万8200円。これは、次の計算式で算出されている。

  • 377万8200円=決まって支給される現金給与額(26万3600円)×12カ月+年間賞与その他特別給与額(61万5000円)

年齢階級別に見た賃金カーブは、男性よりも女性のほうが緩やか。また男女ともに年齢階級間の格差は縮小しつつあるといえる。次に、年代別の女性の平均年収をみてみよう。

20代女性

20代女性の平均年収の特徴は、勤務している企業規模や都道府県によって、平均年収が異なること。

  • 20代女性の平均年収は、325万4150円
  • 20~24歳:297万200円=決まって支給される現金給与額(21万9400円)×12+年間賞与その他特別給与額(33万7400円)
  • 25~29歳:353万8100円=決まって支給される現金給与額(24万7200円)×12+年間賞与その他特別給与額(57万1700円)

30代女性

  • 30代女性の平均年収は、384万4450円
  • 30~34歳:376万3100円=決まって支給される現金給与額(26万2000円)×12+年間賞与その他特別給与額(61万9100円)
  • 35~39歳:392万5800円=決まって支給される現金給与額(27万2100円)×12+年間賞与その他特別給与額(66万600円)

40代女性

  • 40代女性の平均年収は、412万6950円
  • 40~44歳:408万1000円=決まって支給するされる現金給与額(28万400円)×12+年間賞与その他特別給与額(71万6200円)
  • 45~49歳:417万2900円=決まって支給するされる現金給与額(28万6400円)×12+年間賞与その他特別給与額(73万6100円)

50代女性

  • 50代女性の平均年収は、410万450円
  • 50~54歳:417万200円=決まって支給するされる現金給与額(28万6700円)×12+年間賞与その他特別給与額(72万9800円)
  • 55~59歳:403万700円=決まって支給するされる現金給与額(27万7600円)×12+年間賞与その他特別給与額(69万9500円)

60代女性

  • 60代女性の平均年収は、314万6100円
  • 60~64歳:325万800円=決まって支給される現金給与額(23万4400円)×12+年間賞与その他特別給与額(43万8000円)
  • 65~69歳:304万1400円=決まって支給される現金給与額(22万7700円)×12+年間賞与その他特別給与額(30万9000円)

業種別に見た女性の平均年収

次に、業種別の女性の平均年収をみてみよう。それぞれ年齢が上がるごとに賃金もアップしていく傾向があるが、一定年齢を超えると減少傾向に転じている。ただし経験が重視されるような業種などでは、年齢が上がるほどに賃金も上がるものもある。

情報通信業

情報通信業に勤務する女性の平均年収は、決まって支給される現金給与額(33万2500円)×12+年間賞与その他特別給与額(87万5500円)= 486万5500円。年齢階級ごとに賃金は上がるが、50~54歳をピークに下がる傾向がある。ここに挙げた業種の中では 500万に最も近く、女性でも比較的高賃金の業種である。

教育、学習支援業

教育、学習支援業に勤務する女性の平均年収は、決まって支給される現金給与額(32万200円)×12+年間賞与その他特別給与額(98万1100円)= 482万3500円である。年齢階級が上がるとともに、賃金も上昇しやすい業界。

金融、保険業

金融、保険業に勤務する女性の平均年収は、決まって支給される現金給与額(30万1800円)×12+年間賞与その他特別給与額(63万6500円)= 425万8100円。45〜49歳をピークに減少傾向に転じるが、比較的ゆるやかに減少していく。

医療、福祉業

医療、福祉業に勤務する女性の平均年収は、決まって支給される現金給与額(27万4000円)×12+年間賞与その他特別給与額(97万1400円)=425万9400円。55~59歳まで、年齢が上がるほど賃金も高くなる傾向がある。

宿泊業、飲食サービス業

宿泊業、飲食サービス業に勤務する女性の平均年収は、決まって支給される現金給与額(21万7700円)×12+年間賞与その他特別給与額(22万9200円)=284万1600円である。19歳までと60歳以上以外の年代で、現金給与額は20万円前半であり、年代間の賃金格差はあまりない業種。

都道府県別 女性の平均年収ランキング

都道府県別の女性の平均年収ランキングはdoda発表データ(2018年)をチェック。

平均年収 企業ランキング

平均年収の企業ランキングは東洋経済発表データ(2019年)をチェック。

女性マーケティングでは平均年収の把握が重要

年代別平均年収を把握すべき理由

女性マーケティングの基本は、ターゲット女性が歩んでいるライフコースをきちんと想定することだが、あわせて確認しておきたいのが平均年収。同じライフコース女性でも、そのライフイベントを何歳で迎えているか?で、収入・貯金額・消費行動は異なる。

ライフイベントを迎えた年齢

「離職して子育て中のママ」のAさんとBさんを例に考えてみよう。二人は同じライフコースを歩んでいるが、次のような違いがある。

  • Aさん
    23歳で結婚、24歳で子誕生
  • Bさん
    36歳で結婚、37歳で子誕生

女性マーケティング

収入・貯蓄額の違い

結婚と出産の各ライフイベントは二人の間に13年の開きがある。となると、二者間で収入・貯蓄額の違いも出てくる。

  • Aさん
    夫も20代と仮定すると、夫婦ともに給料は少なく(=世帯年収が低い)、貯蓄額も少ない
  • Bさん
    夫も30代と仮定すると、夫婦ともにある程度の役職についていることもあり給料は20代の頃よりアップ(=世帯年収が高い)。貯蓄額も20代の夫婦よりも多い

消費行動の違い

収入・貯蓄額の違いは、以下のような消費行動の違いを生み出す。

  • Aさん
    (例)子どもは公立の幼稚園、安い賃貸アパートに住む、車はまだ購入しない、など
  • Bさん
    (例)子どもは私立の幼稚園、新築一軒家を購入、夫婦一台ずつ新車を購入、など

例えば車を販売しようと思ったとき、ライフコースだけでターゲティングを行っていると、Aさん、Bさん両方にアプローチすることになる。しかし、ライフコース×年齢別平均年収でターゲティングを行っていればBさんのみにアプローチすれば良いことが見えてくるので効率的にアプローチできる。

平均年収データの活用方法

ただし、最近は働き方・生き方の多様化で、同じ年代でも年収差が広がっている。「パラキャリ女子」に代表されるように、副業で稼ぐ女性、不動産や株などの資産運用に積極的な女性、ギグワークで複数の収入先を持つ女性など、年収アップを実現する女性が登場している(ただし彼女たちは、年収アップだけではなく、仕事を通じた自己実現を目的にしている場合もある)。よって、年代・年齢別平均年収データをマーケティングに当てはめることが必ずしも正解なわけではないが、補足情報として年代・年齢別平均年収を把握しておきたい。

 

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