隠れ健康課題、家族の介護をする人の不安は「自分の健康」

介護ビジネスと言うと、介護をされる側の人や介護施設(法人)をサポートする商品・サービスが主流で、介護をする側にいる家族(介護者)をサポートするものは圧倒的に不足している。とりわけ必要とされているのは、介護の主担当者になりやすい女性の健康サポート。実際に「介護をする上で心配なこと・不安なこと」を聞いた調査では、「経済的なこと」よりも「自分の健康状態」を挙げる人の方が多いという結果が。

近年は「仕事と介護の両立」に関心が集まっているが、いつまで続くかわからない介護と自分の健康の両立も、大きな隠れ課題。介護者側をターゲットにした商品・サービス開発を、ぜひ検討してみては?今回は、介護者側にまつわるデータをピックアップ。

介護者はどんなクラスター?

介護者のクラスター像を紐解いてみよう。介護者は同居の家族が半数以上を占め、内訳を見ると以下。「配偶者」と「子」が多い。

  • 配偶者…23.8%
  • 子…20.7%
  • 子の配偶者…7.5%
  • その他の親族…1.7%
  • 父母…0.6%

上記(同居家族の介護者)を男女別に見ると、男性:女性=3.5:6.5で女性に圧倒的に多い。年齢を見ると男女ともに7割以上が60歳以上で、60代・70代に多い。

 

要介護度別で異なる、1日に要する介護時間

次に、介護者の1日に占める介護時間を見てみよう。要介護度別の介護時間を示しているのが次のグラフ内閣府「高齢社会白書,令和3年」。要介護度が上がるほど、介護に要する時間を「ほとんど終日」と回答する人の割合が高くなり、要介護5については56.7 %にも上る。要介護度が上がるほどに、介護者の”自分時間”が減っていくことを読み取れる。

 

介護をする上での心配・不安ゴト「自分の健康」

要支援1~要介護5の家族の介護をしている全国の20歳以上の男女1,000人を対象に実施した介護に関する調査で、「介護をするうえで心配なこと・不安なこと」を聞いたところ、「経済的なこと」を抜いて第3位となったのが「介護をしている側(自分)の健康状態」だった。(※)調査ネオマーケティング、インターネットインフィニティー

【出典】ネオマーケティング

【出典】ネオマーケティング

介護は体力・時間ともに奪われ続けるため、疲労が溜まったり不調が起きても、自分の体調管理を十分にできない。いつまで続くかわからないという心的負担も重なるため、自分自身の健康不安が大きいのだろう。

同調査では要介護度別には調査は行っていないが、おそらく要介護度が上がるほどに「健康不安」は大きくなると考えられる。

 

介護に疲れる女性たちの声

「介護離職」「介護疲れ」「介護うつ」「介護殺人」など、介護者側の問題を表現した言葉はすでに広く知られているが、ニュースや統計などで実態がフォーカスされるだけで、この社会課題を解決する商品・サポート(介護者の心身の健康をサポートする者)に着目する事業者を見かけない。

日本人の寿命はこの先も延伸し、高齢化率は上がり、認知症の人の数も増えていく。これに比例して家族を介護する人の数が増えていくのは必至。介護者側の健康づくりを訴求する商品・サービスの需要はこれから顕在化していくはずだ。

この市場での商機を検討する際は、ぜひ介護者側にいる女性たちの声に耳を傾けてほしい。コミュニティサイトには、女性たちが心身ともに疲れ果てているリアルな声が数多く投稿されている。以下はコミュニティサイト発言小町(読売新聞)で「介護疲れ」を検索してヒットしたスレッド。

 

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