被害者の8割「女性」、虐待者の4割「息子」 家庭内での高齢者虐待の相談件数が過去最多に
2022年に高齢者が家族や親族などから受けた虐待の相談・通報件数は、前年比1,913 件増の38,291 件で、過去最多となったことが厚労省の発表でわかった(令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果)。10年連続で増加している。虐待件数は前年比243件増の16,669件で高止まり傾向。虐待を受けた高齢者の75.8%が女性だった。
■虐待者、最多は「息子」
- 息子…39.0%
- 夫…22.7%
- 娘…19.3%
- 妻…6.6%
- 孫…2.8%
- 息子の配偶者…2.6%
- 兄弟姉妹…2.1%
■虐待者の年齢、最多は「50~59歳」
- 50~59歳…27.0%
- 60~69歳、70〜79歳…16.2%
- 40~49歳…14.4%
- 80~89歳…13.5%
- 40歳未満…6.5%
■虐待が起きた要因、最多は「認知症」
- 認知症の症状…9,430件
- 介護疲れ・介護ストレス…9,038件
- 知識や情報の不足…7,949件
- 精神状態が安定していない…7,840件
- 被虐待者との虐待発生までの人間関係…7,748件
- 虐待者の介護力の低下や不足…7,642件
- 経済的困窮・債務…5,565件
- 他家族との関係の悪さや家族関係の問題…5,470件
- 排泄介助の困難さ…5,159件
- 孤立・補助介護者の不在等…5,932
- ケアサービスの不足…4,344件
- 虐待者の外部サービス利用への抵抗感…3,911件
- 配偶者や家族・親族の無関心、無理解、非協力…3,820件
- 「介護は家族がすべき」といった周囲の声、世間体に対するストレスやプレッシャー…1,828件
■虐待の内容、最多は「身体的虐待」
- 身体的虐待…65.3%
- 心理的虐待…39%
- 介護の放棄…19.7%
- 経済的虐待…14.9%
- 性的虐待…0.4%
介護でのストレス等が原因の「介護殺人」や、ネグレクトによって死亡した高齢者は32人だった。高齢者の虐待は介護施設でも増えており、2022年の虐待件数は856件で過去最多だった(詳細:介護施設での高齢者の虐待、過去最多 被害者の7割が女性 厚労省)。
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