女性の「キダルト消費」の実態、購買行動を起こす“かわいい”のパワー 8割が「キャラグッズを所有」
本稿は、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィによる寄稿記事です。女性視点マーケティングで30年以上にわたり企業の商品開発やマーケティングを支援する同社では、女性インサイトを探る調査を常時実施しています。今回は「キダルト」に関する調査結果をご紹介。男女間の比較や女性のクラスター別に、属性で異なるキダルト消費の特徴を解き明かしていきます。
目次
女性の“キダルト消費”の実態を調査
女性の“キダルト消費”における購買行動や心理傾向、人気キャラクターの特徴を分析。さらに、購買理由を掘り下げたことで、“キダルト消費の意思決定に感情が影響している”女性特有の情緒と消費のつながりが浮き彫りになった(調査概要:15歳~80歳以上の女性811人・男性26人に、インターネット調査を2025年3月に実施)。
「キダルト」とは?認知度は低いが“行動”としては定着
「キダルト」とは、大人(Adult)が子ども(Kid)のような感性を楽しむスタイルを意味する造語。キャラクターグッズやぬいぐるみ、かわいい雑貨などを好んで所有・消費する行動も、キダルト消費の一部とされている。調査では「キダルト」という言葉の認知率は15.4%にとどまったが、回答者の多くが日常的に“キダルト的行動”を実践しており、言葉は知らなくても、行動としては定着しているという実態が見えてきた。
女性の約8割がキャラクターグッズを所有、男性との差も歴然
「キャラクター関連グッズやおもちゃ、かわいいものなどを持っているか?」という質問では、女性の77.8%が「持っている」と回答した一方で、男性は46.2%と30ポイント以上の差があり、“かわいいものを持つ”ことが女性にとって日常の一部であることがわかる。
人気3強は「海外キャラ」「サンリオ」「ディズニー」
現在持っている「キャラクター関連グッズやおもちゃ、かわいいもの」のジャンルについて調査したところ、女性全体の人気トップ3は「海外キャラ(ムーミン、スヌーピー、ミッフィーなど)」「サンリオ系」「ディズニー&ピクサー系」だった。
続いて、女性を価値観・購買動機が類似したグループ(クラスター)別で集計したところ、グループごとに違う特徴が見られた。乳・幼児期/児童・思春期ママ(16歳以下の子どもがいる女性)は、「児童書キャラクター」が約25%(全体 +8.2%)と、“子どもと一緒に楽しめるキャラクター”に高い関心がある。ヤング夫婦層(39歳以下で夫婦2人の家庭を持つ女性)は、「おもちゃ・カプセルトイ系」が33.3%(全体 +4.1%)、「プラモデル・フィギュア系」が10.0%(全体 +5.7%)と、男性にも好まれやすいグッズが全体平均より高い一方で、ヤング夫婦層の「ぬいぐるみ・人形系」の所有率は10.0%(全体 -17.4%)と低く、夫婦で楽しめるジャンルを選ぶ傾向が見られた。
クラスター別に見る、キダルトグッズの所有率・体験傾向
「キャラクター関連グッズやおもちゃ、かわいいもの」として自身が楽しむために持っているもの、また、それらに関連して行ったことのある場所を調査し、クラスター別に集計したのが次の表。プレ社会人/若手シングル(39歳以下の単身女性)は、「ぬいぐるみ・人形」「玩具(ガチャガチャ・キーホルダー・フィギュア・アクリルスタンド)」「ファッション小物(バッグ・ポーチ・財布・パスケース)」と、幅広いジャンルの所有率が高いだけでなく、「展示会・展覧会」「コラボカフェ・お店」など体験系も高い傾向にあり、総合的にアクティブに動いている様子が読み取れる。乳・幼児期/児童・思春期ママ(16歳以下の子どもがいる女性)は、「生活雑貨(タオル・ハンカチ・食器・キッチン用品)」や「文房具」が高く、子どもと共用して楽しむ行動が多く見られる。ヤング夫婦/ミドル夫婦(夫婦2人の家庭を持つ女性)は、「展示会・展覧会」や「コラボカフェ・お店」など、外出型体験が目立つ結果になった。
キャラクター関連グッズの情報収集方法、約6割がInstagramを利用
続いて「キャラクター関連グッズやおもちゃ、かわいいもの」についての情報収集方法を聞いたところ、画像で視覚的に情報が得やすい「Instagram」で情報収集する人が最も多く、他のSNSとも大きく差が開いた。他に、「実店舗」や「公式サイトやブランドのオンラインショップ」「テレビや雑誌の特集」など広く情報収集をしている。
購入頻度と金額で見る“本気度”──頻度はプレ社会人も多いが、金額はヤング夫婦層が平均の2倍に
「キャラクター関連グッズやおもちゃ、かわいいもの」を購入したり、それらに関連する場所を利用したりする「頻度」と「年間購入・利用金額」については、全体ではおよそ4割が1カ月に1回以上購入し、金額も10,000円を超える結果となった。クラスター別でみると、プレ社会人層(24歳以下の単身女性)は購入頻度は2週間に1回が16.2%と全体よりも多かったが、購入金額の平均は8,365円と低く、安価なもの(カプセルトイなど)を楽しんている。一方で、購入金額の平均が20,417円と最も高かったヤング夫婦(39歳以下で夫婦2人の家庭を持つ女性)は、購入頻度は「週1回」が16.7%、「2週間に1回」が23.3%と高く、積極的に購入して楽しんでいる。
【出典】ハー・ストーリィ(上:キャラクター関連グッズの購入頻度、下:キャラクター関連グッズの購入金額)
女性の購入理由にみる“感情・情緒”の強さ
購入理由で上位は、「見ているだけで癒される(66.7%)」「気分が上がる(58.6%)」「愛着がある(56.7%)」と情緒的な動機が多数。これは女性の消費行動における大きな特徴であり、「癒されたい」「応援したい」「共感する」という感情がそのまま購買行動を引き起こしている構造が明確に浮き彫りになった。
女性のキダルト消費から見えた購買行動の本質
キダルト市場でも、“かわいい”という気持ちが“買う”というアクションに繋がるという、感情に基づいた女性特有の消費行動が現れた。女性向けの商品開発や販促企画においては、“どのような感情に寄り添うか”という設計視点が、より一層求められると言える。
【提供元】 株式会社ハー・ストーリィ
\本稿詳細を無料ダウンロード!/
法人クラブ inher会報誌 HERSTORY REVIEW 2025年5月号「子どものような趣味や完成の大人が増加中『キダルト消費』」
女性インサイトマーケティング業歴・実績共にNO.1の専門会社、女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィです。日本の女性5,515万人をオリジナル分析した10クラスター・29ペルソナで女性インサイトを定点的に追い続けています。最新の統計データと独自の定量調査、定性調査、トレンド分析、SNS分析に基づき、生活者の潜在ニーズ(インサイト)を的確に捉え、企業のビジネス機会に繋げることで、社会課題解決と企業発展の両立を目指しています。
【編集部おすすめ記事】
■女性が「2024年に買って良かったモノ」と「2025年に買いたいモノ」
■2025年女性トレンド最前線!ペルソナ別インサイトで見る消費動向
■防災市場を動かすヒントは性差とクラスターへの着目、男女で異なる防災意識
■最優秀賞は3COINS 顧客層を見直し商品デザインを一新 女性のあした大賞
■女性の健康意識・健康行動・ヘルスリテラシーがわかる調査記事、33選
■2025女性市場キーワード「わたしLOVER」インサイト視点で読み解く消費行動