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カフェ市場を読み解く、男女で異なる選び方と楽しみ方 「飲食」から「体験」へ広がる消費

本稿は、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィによる連載記事です。女性視点マーケティングで30年以上にわたり企業の商品開発やマーケティングを支援する同社では、女性インサイトを探るため、さまざまな視点から消費行動を分析しています。今回のテーマは「カフェ活」。カフェ活にまつわる消費行動や意識を性差視点から紐解きます。

好調に伸び続けるカフェ市場

カフェ市場は一時的な落ち込みを経て成長フェーズに入り、売上や客単価はコロナ前を大きく上回る水準にある中、カフェは飲食の場にとどまらず、仕事や勉強、ひとり時間を過ごすなど多様な目的で利用されるようになりました。本稿では、ライフスタイルの変化を映す場として注目されるカフェの利用実態をテーマに取り上げていきます(調査概要:15歳~70代の男女2,053人(男性:169人、女性:1,884人)にインターネット調査を2025年6月に実施)

カフェを普段利用する、8割

カフェの利用頻度について質問したところ、「時々利用する」が60.0%と最も多く、カフェは多くの人にとって日常生活の一部となっていることがわかります。また、「よく利用する」と回答した人も全体の約2割にのぼり、頻繁にカフェを訪れる層も一定数存在していることから、継続的な接点を持つ場として定着している様子がうかがえます。

【出典】ハー・ストーリィ(カフェの利用頻度)

【出典】ハー・ストーリィ(カフェの利用頻度)

 

女性は“楽しむ空間”、男性は“飲む場所”として利用

次に、カフェの利用目的について調査したところ、男性はカフェを飲食や休憩の場として利用する傾向が強いことがわかりました。利用目的がシンプルなため、1人での利用が多いと推測されます。一方、女性は会話や限定商品の購入、家族との時間など、複数の目的を重ねて楽しむ傾向があります。さらに、飲食だけでなく、交流や気分転換の場としても活用しており、カフェチケットを贈り物として購入したり、受け取ったカフェチケットを使うためにカフェを利用する、ということも活発に行われています。こうした違いから、カフェは性別によって求める役割や価値が大きく異なる場所となっていることがわかります。

【出典】ハー・ストーリィ(カフェの利用目的)

【出典】ハー・ストーリィ(カフェの利用目的)

 

女性は“選んで楽しむ”、男性は半数以上が“ブラック”

カフェで注文するメニューや購入したことがあるグッズについての質問では、男性はブラックコーヒーの購入が圧倒的に多く購入内容も限定されており、“目的買い”の傾向が強いことがわかります。一方、女性はスイーツや甘いドリンク、グッズなどを幅広く購入しており、“ついで買い”や“体験消費”としてカフェを楽しむ様子がうかがえます。つまり女性は、コーヒーを飲むためだけでなく、気分や場の楽しさを重視してカフェを利用しているのです。

【出典】ハー・ストーリィ(カフェでの購入内容)

【出典】ハー・ストーリィ(カフェでの購入内容)

 

女性は1人でも様々な相手とも、男性は1人での利用が圧倒的

カフェを誰と利用するか、という質問をしたところ、女性は「友人・知人(52.5%)」「子ども(26.4%)」「親・兄弟姉妹(15.6%)」など、より多様な相手とカフェを利用している点が特徴的で、カフェが女性にとって人との交流や関係性を深める場として活用されていることが読み取れます。一方、男性は1人利用の比率が高く、カフェを“個人の時間”として使う傾向が強いようです。

【出典】ハー・ストーリィ(カフェを一緒に利用する相手)

【出典】ハー・ストーリィ(カフェを一緒に利用する相手)

 

よく利用するカフェは、男女ともに「スターバックス」が1位に

よく利用するカフェに関しての質問では、男女ともに1位「スターバックス」、2位「コメダ珈琲」、3位「ドトールコーヒー」の順で多い結果になりました。「スターバックス」については、男女ともに7割以上の人がよく利用すると回答しています。また、男女で「よく利用する」と答えた割合に差があるカフェは以下のとおり。

■女性の利用割合が高いカフェ:スターバックス、個人経営のカフェ、タリーズコーヒー、サンマルクカフェ、百貨店・商業施設に入っているカフェ、ゴンチャ
この結果から、女性は1人、子ども、ママ友など多様な人との利用やシーンによりカフェを選ぶため、価格帯や雰囲気もさまざまなカフェが多いと推測されます。

■男性の利用割合が高いカフェ:コメダ珈琲、ドトールコーヒー、カフェドクリエ、エクセルシオールカフェ
この結果から、男性は単独での利用がほとんどだからこそ、落ち着いた雰囲気や手頃な価格帯のもの、作業しやすい環境を好む傾向が見られます。

【出典】ハー・ストーリィ(よく利用するカフェ)

【出典】ハー・ストーリィ(よく利用するカフェ)

 

女性は「過ごす」多面的な理由、男性は「飲む」単一的な理由

次に、好きなカフェとして選んだ理由を聞いたところ、男性はカフェ本来の機能(コーヒーの質、飲食)を重視してカフェを選ぶ傾向があります。一方、女性は「限定メニュー」「会話のしやすさ」「テイクアウトしやすさ」など、利用シーンや相手に合わせて柔軟に選ぶ傾向が強く、ママ友・子ども連れ・高齢の親といった相手に応じた使い分けも見られます。このことから、女性は“使い方を選ぶ”、男性は“場所を選ぶ、という視点の違いが浮かび上がります。

【出典】ハー・ストーリィ(好きなカフェを選んだ理由の調査結果グラフ)

【出典】ハー・ストーリィ(好きなカフェを選んだ理由の調査結果グラフ)

 

カフェは「飲む場所」から「楽しむ空間」へ進化

カフェはかつての「飲食の場」から、「リラックス」「会話」「ご褒美」「推し活」など、多様な価値が重なり合う“体験の場”へと進化しています。調査結果からは、男性は飲食や休憩など目的が明確な“機能消費”が多く、1人利用中心であるのに対し、女性は会話や限定商品、家族との時間など“感情や意味”を重視する使い方が目立ちました。また、購入商品にも違いがあり、男性はブラックコーヒー中心、女性はスイーツや甘いドリンクなど嗜好性が高く多様です。こうした違いはカフェに限らず、あらゆる業種における「価値設計」や「ターゲット戦略」に活用可能です。

【提供元】 株式会社ハー・ストーリィ

【資料無料ダウンロード:本稿詳細をダウンロード可能】法人クラブ inher会報誌 HERSTORY REVIEW 2025年8月号「カフェの利用目的に見る男女の意識と行動の違い『カフェ活消費』」

女性顧客のインサイトを見える化する日本で唯一の専門コンサルティング会社、女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィです。1990年の創業以来、女性の消費行動や深層心理を継続的に研究・分析し、 企業のマーケティングや商品開発における課題解決を支援しています。職業や家族構成などの「ライフコース」と、年齢や年代といった「ライフステージ」の2軸で女性を分類し、実態に基づくデータを体系的に分析。得られた知見をもとに、企業の戦略設計や施策の最適化を行っています。

 

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