40代⼥性に特有の頭⽪汗様臭を発見、中年男性のミドル脂臭とは異なる臭気 マンダム
40代女性の頭皮には特徴的な汗様のにおいがあり、低級脂肪族アルデヒドが原因として関与している。マンダムが突き止め、「第1回 日本化粧品技術者会学術大会」で研究成果を発表した。同社はにおいケア製品の開発に向け、これまでに男女さまざまな年代・部位における体臭の実態を解明しており、生活者調査を実施する中で、体臭の変化を感じるという声を40代以降の女性から多く耳にしてきた。そこで30~54歳の女性10,000人を対象に意識調査を実施したところ、特に40代前半の女性が体臭の変化を実感しており、かつ、身体のさまざまな部位のなかでも特に頭皮臭において特徴的な実態が認められたことから、40代女性の体臭の実態を明らかにしようと、臭気評価とともに臭気成分の解析を行った。
40代女性特有、汗様の頭皮臭
40代女性に行ったアンケート調査で、「体臭の変化を実感している40代グループ」は「変化を実感していないグループ」と比較して、頭部の発汗の増加や頭皮・毛髪のべたつきを実感している割合が高いことがわかった。そこで、40代女性の体臭を詳細に理解するため、「体臭の変化を実感している40代グループ」「体臭の変化を実感していない40代グループ」「20代グループ」それぞれの体臭を鼻で直接嗅ぐ臭気評価を行った。その結果、体臭の中でも特に頭皮臭に関して、グループ間で大きな違いがあることが明らかになった。主となるにおいタイプを3グループで比較したところ、「体臭の変化を実感している40代グループ」の頭皮は “汗様臭” であることがわかった。一方、「体臭の変化を実感していない40代グループ」は “皮脂様臭” で、「20歳代グループ」の頭皮臭に近いことがわかった(図1)。「体臭の変化を実感している40代グループ」に特徴的な “汗様臭” は、水っぽく蒸れたような臭気で、40代以降の男性の頭皮臭に特徴的な、使い古した油のような臭気である “ミドル脂臭” とは大きく異なっていた。
また、頭皮の臭気強度=においの強さを比較したところ、「体臭の変化を実感している40代グループ」は、”汗様臭” の強度が有意に高いことがわかった(図2)。さらに頭皮臭の不快度を評価したところ、「体臭の変化を実感している40代グループ」は、「体臭の変化を実感していない40代グループ」よりも不快度が高いこともわかった(図3)。
以上のことから、体臭の変化を実感している40代女性は特徴的な汗様の頭皮臭があり、またその臭気強度、不快度が高いことが明らかとなった。
汗様臭の発生が、頭皮・毛髪のべたつきや頭部の発汗量増に影響か
臭気評価と原因成分の探求では、約200種の揮発性物質が検出された。汗様臭は「水っぽく蒸れたような臭気」であるという特徴から、検出された約200種の揮発成分のうち低級脂肪族アルデヒドに関連があると考え、詳しく解析したところ、汗様臭群の頭皮臭には7種の低級脂肪族アルデヒドが有意に多く含まれていることがわかった。また、汗様臭の強度と低級脂肪族アルデヒドの量は正の相関を示すこともわかった。
さらに低級脂肪族アルデヒド7種について詳細に解析したところ、汗様臭群から「ブタナール」「2-ブテナール」「3-メチルブタナール」「ペンタナール」が有意に多く検出された。これら4物質について、頭皮臭の臭気評価における汗様臭強度との関係をそれぞれ確認したところ、いずれも正の相関が認められ、「ブタナール」「3-メチルブタナール」「ペンタナール」は0.5付近の相関係数が得られた。においを持つ揮発性物質にはそれぞれ固有の嗅覚閾値(※)が存在する。低級脂肪族アルデヒド7種のうち、特に「3-メチルブタナール」は嗅覚閾値が低く、においは微量でも感じられやすいという特徴を持っていた。(※)ヒトがにおいを知覚できる化学物質の最小濃度。値が小さいほど、ヒトは微量でにおいを感じることを示す。
以上より、40代女性の多くが20代の頃に比べて変化を感じる頭皮臭は、低級脂肪族アルデヒド群のなかでも「ブタナール」「3-メチルブタナール」「ペンタナール」が強く関与した “汗様臭” であると考えられる。また、この “汗様臭” の発生が40代女性の「頭皮や毛髪のべたつき」や「頭部の発汗量」の増加実感に影響を与えている可能性があり、同社は今後、その関連性についても確認を進めていく。
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