人口黄金期のベトナムで健康食品市場が拡大、女性消費者のニーズと課題は?
近年、ベトナムでは健康意識が高まっており、特に若い世代でサプリメントや健康食品・飲料の消費が増加しているという。背景にあるのは、健康・福祉に対する消費者の関心の高まり、一定の可処分所得を持った中間層の増加、予防医療へのシフトなどで、市場規模は拡大傾向にあり、2025年には87億USD(約1.3兆円)に達する見込みだ。
JETROが今年3月に公開したレポートによると(健康食品調査)、女性の主なニーズは「ダイエット」「妊活」「アンチエイジング」「美容」で、性・年代によって期待している効果は異なるという。また、普段は健康食品を摂取していない属性であっても、妊娠・出産・育児・病気など特定の状況・目的で利用を検討する傾向があり、そういった状況下にある親類・知人への贈答品として、高価格帯のものを選ぶ傾向があるとのこと。
ベトナムは、生産年齢人口(15歳以 上~ 65歳未満)が15歳未満と65歳以上を合わせた人口よりも多い「人口黄金期」にあり、消費市場が堅調に成長していることから、日本企業にとっても有望市場だ。人口構造からみて、特に就業世代の需要が大きいと考えられる(高齢化は2050年までに突入するとみられることから、高齢者・介護市場の需要が伸びるのはもう少し後になりそうだ)。だが、ここ10年で多くのベトナム国内事業者が参入し競争は激化。すでに多様な商品が流通しており、ベトナム産品は輸入品と比較し「低価格」であること、またベトナム産品は現地ニーズを理解しており信頼性もあることから、長寿国というブランドがあり、また安心・安全を強みとしている日本企業の製品であっても、参入は容易ではなさそうだ。
輸入・販売時における規制はもちろんのこと、例えばパッケージデザインの”見せ方”における課題も指摘されており、ベトナム市場に合わせた製品のパッケージが求められている。実際にベトナムのホーチミン市のスーパーマーケットチェーン購買担当者は、次のように述べている。「日本の製品パッケージは実用的ではなく、人目を引くものでもなく、英語表記もないものが多いので、その製品が何なのか、どのような機能があるかが分かりにくいです。韓国を筆頭に、他の国の製品の場合、ベトナム市場に合わせたパッケージデザインがされ、英語化あるいはベトナム語になっているものもあります。ベトナムでの製品のパッケージングのためにOEMを行う企業もあります(同レポートより)」。
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