屋外より屋内のリスクが高い要介護者のケガ、原因は「つまずき・転倒・よろめき」
屋内と屋外では、屋内の方が要介護者にとってケガのリスクが高く、また「つまづき・転倒・よろめき」が最もケガに繋がりやすい原因であることが、「高齢者の事故防止等に関するアンケート調査」でわかった。高齢者の事故が増加していることから消費者庁が実施している調査で、過去2年間に75歳以上の要介護者と同居したことがある家族など、1,000人を対象に昨年11月に実施した。要介護者の性別割合は、女性68.6%、男性31.4%。
ケガのリスクが高いのは、屋外<屋内
屋内の主要9箇所と屋外の主要7箇所において、「ケガをした、またはケガをしそうになった」経験を場所別に聞いたところ、全体的に屋内での経験割合の方が高いことがわかった。屋内では「居間」が最もケガのリスクが高く、約6割が「ケガの経験」または「ケガをしそうになった経験」をしている。屋外では「道路」でケガをするリスクが最も高く、約5割が経験している。
■屋内
- 1位:居間(61.4%)
- 2位:寝室(58.9%)
- 3位:廊下(54.4%)
- 4位:玄関(53.7%)
- 5位:台所・食堂(51.2%)
- 6位:風呂場(49.4%)
- 7位:トイレ(46.9%)
- 8位:階段(43.3%)
- 9位:洗面所(42.7%)
■屋外
- 1位:道路(51.1%)
- 2位:自宅の庭(44.3%)
- 3位:階段(44.2%)
- 4位:病院(42.3%)
- 5位:店舗商業施設(41.5%)
- 6位:公共交通機関(36.3%)
- 7位:公園(33.0%)
ケガの原因、最多は「つまづき・転倒・よろめき」
調査では「ケガの原因、またはケガをしそうになった原因」についても場所別に聞いており、「つまづき・転倒・よろめき」「ぶつかる」「食品や薬を喉に詰まらせる」「挟む」「食品・薬以外を食べてしまう」「落ちる」「火傷する」「切る」の中で最多は、全ての場所において「つまづき・転倒・よろめき」だった。「つまづき・転倒・よろめき」が発生しやすいのは屋外より屋内で、特に「居間」「寝室」「廊下」が危険だ。いずれも経験割合が4割を超えた。以下は場所別の「つまづき・転倒・よろめき」の経験割合。
■屋内
- 1位:居間(46.2%)
- 2位:寝室(42.3%)
- 3位:廊下(40.8%)
- 4位:玄関(39.7%)
- 5位:風呂場(32.4%)
- 6位:トイレ(30.6%)
- 7位:台所・食堂(27.5%)
- 8位:洗面所(26.3%)
- 9位:階段(25.6%)
■屋外
- 1位:道路(39.0%)
- 2位:自宅の庭(29.0%)
- 3位:階段(28.2%)
- 4位:病院(27.6%)
- 5位:店舗商業施設(24.2%)
- 6位:公園(16.2%)
- 7位:公共交通機関(18.3%)
「つまづき・転倒・よろめき」の原因
そもそも、なぜ「つまづき・転倒・よろめき」が屋内外で起きるのか?原因を尋ねたところ、圧倒的に多かったのは「段差につまづいた」で約7割に上る。次いで多いのは「立ち上がった時」で、高齢者のケガ対策においては、特に「段差」と「立ち上がる瞬間」のリスク軽減が急務だ。
通院・入院が必要となった屋内でのケガの事例
「つまづき・転倒・よろめき」でケガをした人の中には、通院や入院に至った事例もあり、具体的なケースとして以下の自由回答が寄せられた。
■居間
・ 居間で車いすから滑り落ちて尻餅をついてしまった
・ 居間で車いすから滑り落ちて尻餅をついてしまったが、骨に異常はなく打撲で済んだ
■寝室
・ 自宅内でベッドから起き上がってトイレに行こうとしたとき、ほんのわずかな段差につまずいて転倒し足首骨折
・ 寝室から廊下に出るときに、ドアのちょっとした段差につまずいてしまい転んだが、手をつけたため大事には至らず、膝を擦りむいただけで済んだ
・ 自室でベッドから起きあがろうとして、ベッドから転倒し。腕の肘を強打。肘を骨折して手術入院した
■廊下
・ 杖を使って廊下を歩き途中の扉を開けたときに、扉の間に杖が引っかかり転倒した
■玄関
・ 玄関の段差でつまずき、とっさに手をつき左上腕部を骨折した
■トイレ
・ トイレから立ち上がるときにバランスを崩して前のめりに転倒して大腿骨を骨折した
■台所
・ 台所で椅子から立ち上がろうとしたら、お尻がずれて床にお尻をついて尾てい骨が骨折した
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