脳卒中や心臓病、怖いのになぜ予防しない?仕事との両立不安は女性が強く7.5割 世論調査

脳卒中や心臓病に対する意識や予防対策行動、社会課題などを明らかにするため、内閣府が18歳以上を対象に世論調査を実施した。ほぼ全ての人が脳卒中・心臓病を怖いと思っているものの、予防に向けた生活習慣改善に取り組んでいるのは半数以下にとどまり、自覚症状がないことや時間・お金が障壁となっていることがわかった。また、発症後の仕事との両立における不安が特に強いのは女性であることも明らかになり、共生に向けた環境の未整備が浮き彫りとなった「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」,18歳以上の男女1,656人,2024.11

脳卒中・心臓病は「怖い」、9割以上

脳卒中や心臓病の印象を聞いたところ、男女ともに9割以上が「怖い印象を持っている」と回答した。理由を尋ねたところ、男女ともにトップ5は以下だった。

  • 1位:死に至る場合があるから(女性81.2%,男性83.1%)
  • 2位:日常生活の中で、突然発症するから(女性80.5%,男性76.4%)
  • 3位:麻痺や喋りにくさなどの後遺症が残る場合があるから(女性78.5%,男性67.0%)
  • 4位:治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから(女性56.0%,男性48.5%)
  • 5位:治療費が高額になる場合があるから(女性29.9%,男性29.6%)
脳卒中や心臓病等を怖いと思う理由

【出典】内閣府「脳卒中や心臓病等に関する世論調査(表は「脳卒中や心臓病などを怖いと思う理由」の結果)

 

予防のための生活習慣改善、無関心3割

続いて、脳卒中や心臓病の予防のための生活習慣改善に対する意識・行動を聞いた。生活習慣を改善しているのは男性より女性に多く、女性46.5%、男性44.1%。「改善しようと思っていない」は女性29.4%、男性34.1%で、男女ともに3割が無関心であることがわかった。とりわけ若年層にその傾向が顕著で、無関心層は18〜39歳で5割以上、40歳以降で急減し2〜3割に(男女計)

脳卒中や心臓病の予防

【出典】内閣府「脳卒中や心臓病等に関する世論調査(グラフは「脳卒中や心臓病等の予防のために、生活習慣の改善をしようと思っているか?」の結果)

 

「改善しようと思っていない」「6ヶ月以内に改善をしようと思っている」と回答した人に、生活習慣をすぐに改善しようと思わない理由を尋ねると、最多は男女ともに「病気の自覚症状がないから」で、女性54.3%、男性50.4%。次いで女性は「生活習慣を改善するための時間的ゆとりがない(30.7%)」「生活習慣を改善するための経済的ゆとりがない(23.9%)」で、時間とお金が障壁になっていることがわかった。一方で男性は経済的ゆとりがないことよりも、生活習慣を改善することがストレスになることを理由に挙げる人が多かった。

 

発症後の勤務継続は困難、女性の方が強い不安

「現代の日本社会は、脳卒中・心臓病を発症後にも働き続けられる環境だと思うか?」という質問では、男性より女性の方が「そうは思わない」と回答する人が多く、脳卒中においては女性80.3%、男性73.7%、心臓病においては71.3%、男性64.4%で、女性の方が仕事と治療の両立に対する環境の未整備や不安を感じている様子がうかがえる結果となった。その理由として上位に挙がったのは男女ともに、職場環境が整備されていないことや、治療と仕事の両立が体力的・精神的に困難であることで、治療と仕事の両立が体力的・精神的に困難であることを理由に挙げたのは、男性より女性に多かった。

脳卒中に限定した調査になるが、実際に女性の方が男性よりも発症後の復職率が低いことがわかっており、男性62.1%に対し、女性は40.6%と半数以下にとどまっている。

 

厚労省の患者調査では、脳卒中をはじめとした脳血管疾患の治療や経過観察で通院をしている患者は推計174万人で、うち17%にあたる29.5万人が20〜64歳の就労世代。少子高齢化による労働力の高齢化で、脳卒中と仕事の両立を支援する重要性が急速に高まっているが、当事者にとって職場復帰や就労のハードルは今なお高く、職場での環境整備が急務とされている。

 

 

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