食品・飲料業界の世界トレンドは「健康とフレーバーの両立」、 健康状態・薬・加齢による味覚変化のニーズも商機
食品・飲料に今求められるフレーバーは、健康志向との両立。13カ国で展開する市場調査会社のミンテルが、食品・飲料業界の新トレンドやビジネスチャンスを探った調査結果から考察し、先月末に発表した。
今、求められるフレーバーは健康志向との両立
現代の消費者は、慣れ親しんだ味を楽しむ一方で、新しいフレーバーを求める傾向が強まっており、中国では40%の消費者が「新しい食品やフレーバーを探して試すことが多い」と回答し、韓国でも23%が同様の意欲を示した。消費者のフレーバー探索への関心の高まりは、各企業にとって個性的なフレーバーを打ち出す絶好のチャンスで、オーストラリアでは34%、タイでは33%の消費者が、異文化のフレーバーを試してみたいと回答。しかし消費者は、おいしさだけでなく機能性や健康面でのメリットも求めており、食品・飲料には、嗜好性と健康のバランスを取る工夫が求められる。
今後の注目は「風味増強剤」、味覚障害に応える視点は新たな商機
今後は、食品・飲料の体験を高める「風味増強剤」が注目を集める。風味は、食品・飲料において最も重要な要素であると広く認識されている一方で、人々の味覚は、健康状態、薬の服用、加齢など様々な要因が影響し、味覚障害は、個人の食習慣、栄養摂取、QOLを大きく低下する可能性がある。現在、味覚障害を補うための製品開発は限られているため、風味増強というコンセプトは、メーカー各社が視野を広げ、消費者のニーズに応えることができる有意義なチャンスとなる。加えて、「食感」の重要性も高まっている。例えば、「歯ごたえ」のある食感は健康的な印象を与えるだけでなく、嗜好性にも関わる要素となる。そのため、多感覚体験を生かした製品開発が今後のカギとなる。
AI技術がフレーバー開発を加速
AIがフレーバーの開発を加速させる可能性がある。AI技術を活用することで、ユニークでパーソナライズされた味覚体験や、ニッチな市場向けの製品開発が可能になる。しかし、食品・飲料分野におけるAIの役割に対しては消費者の懐疑的な声もあるため、各社はAI活用の透明性を高めながら、利点をしっかりと伝えることが求められる。
女性の健康食品の選択基準は?
小林製薬の紅麹サプリを巡る問題で、健康食品への不信感や動揺が消費者の間で広がっています。特に男性よりも健康意識・健康行動者率が高い女性による “健康食品の摂取控え” が懸念されることから、健康食品を普段摂取している20〜70代女性を対象に、健康食品に対するイメージの変化や、今後の摂取意向、今後の健康食品の選択基準を調査しました。女性たちのリアルな声からは、今後の健康食品の開発・販促・コミュニケーション設計のヒントを見つけることができます。詳細は「紅麹サプリ問題で、健康食品の選択基準に変化 女性消費者分析でわかった88キーワード」へ。
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